市長と秘書 - ショートショート −面接会場の市長−


秘「市長! 今日は市職員候補の面接ですよ。準備はいいですね?」
市「任せてくれ。ところで面接会場に枕は持ち込んでいいのかな?」
秘「ダメに決まってるでしょう」
カッ。ドサリ。

市「いきなり役に立ったな、枕」
秘「というか、なんで私は市長に面接なんて任せちゃったんでしょうか」
市「気にするな」
秘「気にしますよ……1つ言っときますが、流石の私も面接現場で市長を撃つわけにはいきません。くれぐれも自重をお願いします」
市「おう、任せとけ。いろんな意味で」
秘「いろんな意味でなくていいですから。では最初の方、どうぞー」
「はい」
 カチャ。←ドア開ける音 バタン。←ドア閉める音
市「ふはは、良くぞここまで来たものだケーロヨーン」
秘「何出合い頭にラスボスのような事を言い出すんですか。あとその語尾。……(←懐を弄って銃を持ってない事を思い出す)ゲフゲフン。ようこそ。まずはお掛け下さい」
「はい」
秘「ではまず、うちに面接した動機をお聞かせ願えますか」
市「さあ、洗いざらい吐いちまいな……クニのオフクロさんも泣いてるぜ……」
秘「なんで取り調べの刑事口調なんですか。……(←銃を持ってない事がとてももどかしい)ゴフゴフ」
「はい、公務員に小さい頃から憧れていまして、ここに勤めさせていただければこれ幸いと思いました」
市「話にオチがないな。20点」
「はい?」
秘「お気になさらず。何か資格などはお持ちですか?」
「あ−、特にないです」
市「うむ、私も特に持ってないぞ」
秘「あなたには聞いてません。……(←撃てない事が徐々にストレスになりはじめる)コフンコフン」
市「どうした、さっきからやけに咳き込んでるぞ」
秘「いえ、大した事ではないです。何か自分で自信のある事はありますか?」
「資格こそないですが、パソコンに関しては強いと思うような気がなきにしもあらずです」
市「微妙に自信なさげなコメントだな」
秘「では、もしここに勤める事になったら、どんな仕事でも勤めきれるというような覚悟はありますか?」
「はい」
市「いいえ」
秘「……(←撃てるならもう4回も撃ってるのに、と思っている)分かりました。では、取り敢えずお下がり下さい」
「はい」
 カチャ。バタン。
市「なんだ、もう少し質問するべきだったんじゃないか」
秘「いえ、まあ、市長がいなければ」
市「はっはっは、人気者はつらい」
秘「な ん で や !」
市「君、銃がないとキレ易いのは問題じゃないか」
秘「クールダウン、クールダウン……では、次の方どうぞ」
 カチャ。バタン。
市「はばないすでー」
秘「別れの挨拶はまだ早いです。思いっきり日本語発音だし。ではまず、うちに面接に来た動機をどうぞ」
「生活が苦しく、安定した職である公務員になりたいと思って参りました」
市「話が重い上に笑うべき点がない。10点」
秘「資格などはお持ちですか?」
「はい、危険物取扱者乙種第4類を持っています」
市「君にぴったりの資格じゃないか? 危険物取扱者」
秘「どうしてですか?」
市「銃」
秘「銃は危険物に入らなかったと思いますが」
市「じゃあ君自体」
秘「……(←市長を撃ちたくて仕方なくなってきた、が自重)ゲフゲフッ。考慮に入れておきますね」
「ありがとうございます」
秘「では……もしここに勤める事になったら、どんな仕事でも勤め上げられるというような気概はありますか?」
「勿論です」
市「ないともー!」
秘「……(←段々投げたくなってきた)分かりました。では、取り敢えずお下がり下さい」
「はい」
 カチャ。バタン。
市「君の面接は短いな」
秘「ええ、まあ短いというか短くせざるを得ないというか」
市「お、そうだ、DJ風に面接すればいいんじゃないか」
秘「どんな風なんですか、それは」
市「指定の番号に電話を掛けてだな」
秘「はい」
市「お仕事は5番目に電話した方にお任せいたします、とか」
秘「はい、次の方どうぞー」
 カチャ。バタン。
市「ワレワレハ、ウチュージンダー」
秘「えー、まずうちに面接に来た理由をどうぞ」
「はい、コムーインは解雇されないと聞き及びまして」
市「ちょっと面白い。だがそれだけだ。30点」
秘「資格・特技などはお持ちでしょうか」
「英検2級を持っています。これはコムイーンになら活かせるかと思いました」
秘「成る程成る程。配慮しておきます。では、どのような仕事でも受けられる! という気合いはお有りですか?」
「コムインーなら任せておいて下さい!」
市「君はあれかね、伸ばす音の位置を安定させられないのかね」
秘「……(←ちょっとそう思ってた)はい、ではお下がり下さい」
「はい」
 カチャ。バタン。
市「なんか碌な人材が来てないような気がするんだが」
秘「まあ、我が市の事ですからね」
市「そうか。って、そんな自分を卑下するな」
秘「市長を卑下してるんですけどね」
市「はっはっは」
秘「……(←もう悟りが開けそう)はい、では次の方ー」
 カチャ。バタン。
市「地獄へようこそ! ここが二丁目二十二番地だ」
秘「はい、ではまずうちに面接に来た理由をどうぞ」
「ここの職場は一週間が日日日日日土日という事を聞いて参りました」
市「なんでバレてるんだ。しかしボケならナイス。50点」
秘「いえ、そのような事は決してありません。実際私は月月火水木金金です。資格・特技などはお持ちですか」
「特になにもないですが、ここの職場は何もない人間でも勤まると聞き及んでいます」
市「そうでもないぞ。お笑いと銃のセンスがいる」
秘「この人の言う事は無視して構いません。では、もしここに勤めたならば、どんな事でもやってやるぜ! という気力はお持ちですか?」
「もしここに勤めたならば、嘘ですが、どんな事でも喜んでやりましょう!」
秘「嘘なんですか……?」
市「ほう。では私がここで、私の靴を舐めたら採用する、と言ったら?」
「口からの出任せですが勿論舐めましょう!」
秘「どっちみち嘘じゃないですか。もういいですから、はい、お下がり下さい」
「はい」
 カチャ。バタン。
市「今ので終わりか?」
秘「はい、今日の面接予定者は3人……あれ?」
市「おや? 座敷童子さんか?」
秘「違うと思います」
市「ふうぅー、いい汗かいたな」
秘「いえ、まだです。すみませーん、火炎放射器を持って来ていただけますかー?」
市「汚物でも消毒するのか」
秘「そこまで言ってませんが、それに近い事です。では最後のボケをどうぞ、市長」
市「今日の面接の私と掛けまして、単細胞生物の思考とときます」
秘「その心は?」
市「特に何も考えていないでしょう」
秘「オチを考えて発言して下さい」
 ゴォ−。←火炎放射 ドサリ。
 こんがり。

後書き


特別読み切り 〜闇に舞い降りた市長〜
「市長! 麻雀タ−イムです!」
「ツモ! 發のみ一億点!」
「悪質過ぎるイカサマですね」
カッ。ドサリ。
                          完



私は公務員の面接試験を受けた事がないので、総ては想像です。
ついでに言うと勿論フィクションですよ、言われるまでもないかとは思いますが。
一部分に某マンガのインスパイアを受けた箇所が……ゲフゲフン。

本文最初の4行で完結してるじゃないかというツッコミは受け付けません。

この小説について

タイトル ショートショート −面接会場の市長−
初版 2010年2月14日
改訂 2010年2月14日
小説ID 3795
閲覧数 1575
合計★ 0
W.KOHICHIの写真
作家名 ★W.KOHICHI
作家ID 27
投稿数 89
★の数 542
活動度 10380

コメント (0)

名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。