TWINS - 第一章壱 畏月1

 あれから、半年以上たって、今現在6月、初夏。少なくとも平和だった。それに若干がっかりしていた、俺と椛は、ちょっと飽きかけていた。
「ちょっと全然七不思議的なものが起こらないんだけど!」
と、部室で椛は憤慨する。短くしくしているターコイスブルーの髪が揺れる、この髪の色は外人の血が入っているとかでなったのではないし、染めたわけでもない。完全なる天然だ。何故こんな色なのか両親もわかってない。本人曰く「能力が水だからじゃない?」とのこと。ちなみに俺はクロムイエローの髪をしている、まぁ、これも能力に関係しているじゃないだろうかといえる。

「椛、んなこといったって起こらないものは起こらないんだよ。仕方ないだろう。」
アイボリーブラックの髪を前髪だけ長くして、前髪の下に眼鏡を掛けている聖夜が言う、聖夜は若干近視で本を読むときや、授業中に眼鏡を掛けている、今は読書中のようだ。
「でも、半年も起こらないんだったらちょっと変だよね。」
長い直毛のモスグリーンの髪の聖は言った。
 確かに、変である、七不思議なんていつでも起こるような感じなのに、半年、何も起こらなかった。化座沼先輩に言ってみても、「うーん。わかりませんねぇ」としか帰ってこなかった。ここ半年、俺達は自主練習(というなの練習試合)しかやっていない。
「確かに変だよな。」
「変!というか暇!」
「椛、気持ちはわかるが落ち着け。」
夏になると機嫌が悪くなるんだよな。こいつ。これも能力が関係しているのか、単なる体質なのか、おそらく両方だろうが、熱がりなんだよなこいつ。今日みたいに梅雨も明けて夏が来たって感じの気温だと不機嫌MAXなんだ。
「だって!半年も、私たち試合しかやってないんだよ!?詰まんない詰まんないつーまーんーなーいー!!」
「だからってなぁ。」
ガラッ
俺が言いかけるとドアが開いた。ここに他に部員はいない。集め方なんて誰もわからないし、集める必要もなかったからだ。

そこにいたのは、少年だった。灰色の髪を持ったあどけない感じの少年。ライトノベルによく出てくる女装が似合いそうな少年だ。
「あ、あの、ここ、オカルト部ですよね!?」
「ああ、そうだ。とりあえず落ち着け、お前は何年何組の誰だ?」
少年の言葉に聖夜が冷淡に返した。
「あ、えと。ぼくは1年6組の貝谷忍(かいやしのぶ)といいます。えっと、化座沼敬己の従弟です。あの、七不思議のひとつが、じょ、女子トイレで。」
「「「「!?」」」」
少年の言葉に、4人は一斉に立ち上がった。そして椛が驚愕より好奇心が勝った顔で
「女子トイレ!?どこの?案内!!」
単語しかしゃべっていないから訳が分からないけれどなんとなく言いたいことがわかるのって俺の妹だからだろうな。
「えっと、とにかく来てください!」

 そして、西校舎3階廊下にある女子トイレに、俺らは案内された。流石に放課後とはいえ、俺と聖夜が女子トイレには入れないからと、椛と聖が見に行った。忍(貝谷とは呼びにくいので)の話によるとこうである。
 3階にある図書室で、忍は読書しに来ていたそうだ。30分程度たったそのとき、女子の悲鳴が聞こえた。慌てて悲鳴の発生した場所らしき女子トイレに向かったらしい。するとそこには体中に切り傷を負った女子が2名倒れていたそうだ。倒れた女子は「月が、月が」と唸っていたという。

「うーん。別に何もおかしな所はなかった感じなんだけどね。ところどころ何かこう、切り裂かれたみたいな、こう聖ちゃんの「リーフカッター」みたいな感じ。」
「鎌鼬ってことか?」
「うん。」
「とりあえず、あの先輩に聞いてみるぞ。」
「そうだね。」
そういいながら、俺達はいったん部室に戻った。

 部室にあるテレビ電話(あの先輩の自前)であの人に電話を掛ける。
「化座沼先輩お久しぶりー!」
画面にあの先輩の顔が映った瞬間、椛が叫んだ。やっと七不思議のひとつが起こったから嬉しいんだろう。
 代表で聖夜が内容を話す。すると、先輩は少し考えて、こういった。
「畏月(おそれづき)、ですね。」
「「「「畏月!?」」」」
先輩の答えに、俺達は聞き返した。
「畏月。その名の通り畏れられる月。この学校の七不思議の1つ、「鏡に映る月」を起こすものです。」
「どんな怪魔なんだよ。それは。」
聖夜が相変わらず先輩に向けるような口調ではない口調で告げる。
「まぁまぁ、聖夜君。落ち着いてください。畏月は、人を切る怪魔です。鎌鼬みたいなものですね。アレの手順はこうです。まず、人がいて尚且つその人が鏡を見ている状況を探します。そして、その鏡に月を映す。そして、その人はまず間違いなく、振り返るでしょう。」
「どうして?鏡に月が映ったりするなんて別に普通じゃない?」
椛が言う、しかし、それは間違った質問だ。
「たしかに、秋や冬だったらおかしいとも思わないでしょうこの学校のトイレの水道は窓側にありますから。しかし、この季節、放課後に月が出ることなんてめったにないときだったら?放課後四時ごろに月が出たとしたら?」
「あ!」
「誰でも振り返ってしまう。まぁ、秋や冬でも同じことですが。そして、振り返った瞬間相手を切りつける。これがアレの手口です。」
畏月とは、結構頭が回るようだ。そして、その相手を俺達はしなければならない上に、それを必ず滅しなければならない。

後書き

 えー、今回で七不思議を語る予定だったんだけどなぁ。どんどん遅くなっているような。畏月っていうのは、何かむちゃくちゃ適当です。とあるジャンプコミックスを読んでいて、畏という漢字が浮かび、月というのを足してみたらいい感じになったので採用しました。

この小説について

タイトル 第一章壱 畏月1
初版 2010年3月22日
改訂 2010年3月25日
小説ID 3863
閲覧数 786
合計★ 3
海月奏香の写真
熟練
作家名 ★海月奏香
作家ID 648
投稿数 16
★の数 16
活動度 1736
えーと、海月奏香です。くらげじゃないですよ、うみづきですよ。間違ってくらげなんて言われたら泣きますよ!

コメント (2)

★丘 圭介 2010年3月23日 21時26分14秒
はじめまして! 丘 圭介です。
序章から読ませていただきました。
では、感想を。
淡々とした文章からの世界観の引き出し方はとても上手く出来ていると思います。
このままの世界観でどのように七不思議が起こるのか、とても楽しみです!
では、失礼しました。
★海月奏香 コメントのみ 2010年3月23日 22時27分36秒
 どうも!丘さん
お褒め頂ありがとうございます!
光栄です!

七不思議のさっき更新しましたのでお読みください!
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