TWINS - 第一章伍 狂桜3

 あの馬鹿が!1人で狂桜に向かうなんてどういう神経をしているんだ!
俺は思った。今まであいつは1人で戦ったことなんて一度もありはしないのに、何故1人で狂桜に向かっていったのか。よくは分からないが、前回。畏月の時に1人、何もしなかったことを気にしているとか、そんなばかげたことに違いない。

 裏庭に付くとモスグリーンの髪の少女が、吼えていた。
「『リーフカッター』!」
間違いなく、聖だった。どうしてあいつはこうなんだ。何か思い立ったらすぐ行動する。へんなところで積極的な奴だ。

 聖が放った、硬質化された葉が、黒くて長い髪の女子の元へ向かう。しかし、黒い髪の女子は、宙に浮かび、それをよけた。
「あらあら、この程度?私によけられるなんてたいしたこと無いのね。10年まえのほうが手ごたえあったわ。」
ほほ、と女は笑った。「10年まえ」と女はいった。恐らくあれが、狂桜だろう。
「『バベル・グラブリィ』」
重力を、狂桜の上にのせた。だんっと狂桜は、地面にたたきつけられ、砂煙が舞った。
「せ、聖夜!?どうしてここに。」
「どうしたもこうしたもねぇだろうが!話は後だ。一気に畳み掛けるぞ。」
「う、うん。『ウッドロートシルガ』!」
狂桜のいる位置の地面から、木の根っこが数本、飛び出した。恐らく、狂桜に命中したのだろう。血が数滴地面に落ちた。
「『ガエルガグラビティ』」
さっきのバベル・グラビリィよりも強烈な。重力が、狂桜の上にのしかかる。蛙のように狂桜がつぶれる。
「聖!」
「『ウッドニードルランサー』」
聖の最強の術、針か槍かどっちかにしろと思うネーミングだがまぁいいだろう。それは、木の枝が集まり巨大な槍(針?)になって上から落ちてくるというもの。あれを食らったら、人間は死ぬ。ただし、怪魔はどうかは分からないが。さらに、重力の中でそれは倍重くなるから、怪魔でも死ぬかもしれない。
「ぐ、おおおおお!」
叫んでいる。やっぱり、死ぬかもしれない。

「何ちゃって。」
後ろから、声がした。狂桜の声だ。
「「!?」」
「さっきので倒せたと思った?そりゃあ、重力は重かったけど、あたしだって重力使いなのよ?」
くそっ、そういえばさっき浮いていた!俺は困難ばっかかよ畜生!
自分の不甲斐無さに嫌悪する。なんでいつもこうなんだ畏月の時だってそうだった。
「聖夜と聖から離れろ!『雷砲』!」
紅葉の声がした後後ろから、狂桜の叫び声がした。多分、紅葉の雷の球体が当たったのだろう、あれは何気に痛いから。
「はぁはぁはぁ、あなた達ゾロゾロと・・・・・・・。」
息が荒い狂桜に、俺は言い放つ。
「仲間がいて何が悪い。じゃあな。『グラビティ・アル・ボルツ』!」
重力の塊、重力の槍が、狂桜に突き刺さる。見事命中し、狂桜は消えた。狂桜との戦いは、終了した。

「「この馬鹿が!!」」
部室に戻り、それぞれの席に座るなり、俺と紅葉は叫んだ。
「なんで1人で戦ったりしたんだ!お前1人でかなう相手じゃないだろう!」
俺は言った。聖は、俺たち4人の中で一番、能力偏差値は低いのだ。忍より上ではあるが、それでもこいつは1人で戦闘できるような奴じゃない。
「そうだよ聖ちゃん、どうして?」
椛が言う。
「だ、だって、この間。わたし、何もできなかったから・・・・・・。忍君だって、情報くれたりして役に立ってるのに、わたし、何も役に立ってないから。」
聖はうつむいて言った。うな垂れたモスグリーンの前髪の間から、涙が落ちるのが見えた。
「聖。」
紅葉は、聖の肩に手を置いた。
「お前はさ、なんで役に立ちたいわけ?」
「えと、あの、役に立たなかったら忍君も、紅葉君も、椛ちゃんも放れて言っちゃいそうな気がして。」
「アホ。」
肩から手を離し、その手で聖の頭を小突く。
「そんな、メリット、デメリット考えて俺たちは友人付き合いしてねぇよ。聖は、俺たちの仲間なんだよ。大事な、な。忍だって、そんなこと考えちゃいないさ。だから、聖はそのまんまでいいの。椛なんてあれだぜ?役に立ったどころか、俺たちにかぜ引かせたんだ。聖が見捨てられるなら、椛はとっくの大昔に捨てられてるよ。」
「ちょっと何それ!」
確かに、前回俺たちは風邪を引かされた。あれは、多分忘れることは無いだろう。
「だって、さぁ、あれホントきつかったんだぜ?なぁ、聖夜。」
「おー、助けに行った瞬間攻撃されたもんな。」
「だ、あれはごめんって何度も言ったじゃん!あの後ジュースだっておごったし!」
「それでも、ひどいと思いますよ。椛先輩。」
「忍君までー!」
俺たちの口論が何が楽しかったのか、聖はクスリと笑った。

 狂桜、狂わせる桜。それと俺たちが会うことは、もう無い。

後書き

聖夜視点って言ったけど、あんまり紅葉と変わってない。どうしよう。まぁ、いいか、こいつら似たもの同士だし。



 

この小説について

タイトル 第一章伍 狂桜3
初版 2010年3月26日
改訂 2010年3月27日
小説ID 3875
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海月奏香の写真
熟練
作家名 ★海月奏香
作家ID 648
投稿数 16
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活動度 1736
えーと、海月奏香です。くらげじゃないですよ、うみづきですよ。間違ってくらげなんて言われたら泣きますよ!

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