TWINS - 第二分の三章 恋華弐

 チューハイを飲みながら、俺は紅葉に椛を嫁にもらっていいかとたずねた。紅葉は茫然としていた。そして、やがて口を開いた。
「いや、俺に聞かれても困るだろ。」
 紅葉ははっきりとそういった。
「だってさ、そんなこと親父に言うもんじゃないか?俺に言われたってそんなのしらねーよ。勝手に持ってけ。としか言いようがない。」
「いや、まぁ、そうだけど。一応兄ってそういうこと気にしないか?」
「年がある程度はなれてたらな。こんだけ年が近いのに妹の心配してるのはお前だけだ。」
 確かに、俺にはシスコンとよく言われるが、俺の場合は仕方がないと思う。何せ聖は、人付き合いが下手で、おまけに近所の男子たちにはよくからかわれていたのだから、俺がそばにいなければ、あいつは学校で一人ぼっちだったのだそういう風に、何年も過ごせば、聖が心配で仕方なくなる。
「まぁ、なんだ。そういうのは俺じゃなくて親父に言ってくれ。そして、告白してからそういうことは言ってくれ。」
ぐっ。意外と痛いとこつくよな。こいつ。
「努力する。」
「そうしろ。」
俺たちは、もう一口チューハイを口に運んだ。カシスの香りと味が口の中で流れた。

 缶一本分のチューハイを飲み終わった後。空き缶を床に落ちていたビニール袋に詰め込んだあと、ポテトチップスをつまみながら、俺は言った。
「なぁ、お前ってやっぱり聖が好きなのか?」
 缶一本分のチューハイぐらいで酔っ払ったつもりはないが、結構直球にこういうことを聞けるくらいには、自我を失ってるらしい。紅葉は、食べていたポテトチップスを噛み砕いて、その噛み砕いた欠片はフローリングの床に落ちた。
「な、何を言い出すんだよお前は!?ちょっと酔ってんじゃねぇの!?」
「お前のほうが酔っ払ってるんじゃないか?」
異様にテンションが高かった。いや、動揺していたというほうが正しいか。まぁいつもよりも突っ込みのキレがいいのは事実だ。
「あ、あのな。普通の男同士ってこういう話はしないと思うんだ。」
「いや、俺たちを一概に普通と言っていいものかかどうかが不明だと思うぞ。」
「そんなもんどうだっていい!」
「とりあえず落ち着け。水はここだ。」
いつも、机の上においてあるペットボトルを差し出した。勉強中あるいは読書中にのどが渇いたとき用の水だ。そのペットボトルを俺から奪い取って、紅葉はごくごくと飲んだ。8分目まで入っていた水を4分目くらいにまで減らして、俺に返してきた。
「えっとだな。まぁ好きか嫌いかと聞かれれば好きだけどな。お前みたく嫁にしたいとかは、よく分からん。」
「そうか。」
紅葉の言う言葉に俺はそう、短く返した。
 紅葉は多分自覚がないだけだろう、そうじゃなければ、狂桜の時俺と一緒に本気で聖を怒りはしなかっただろうし、聖のところに向かおうとした風水鳥に、10万ボルト(100万ボルト)を食らわしたりはしなかっただろう。
 あの焦り様なら、自覚するのはもう少しといった所だろうか。

 どうやら、俺の妹の恋が成就するのは、もう少しだけ先らしい。
                                                          
 翌日、紅葉が帰って、聖が帰ってきた。なにやら、少し恥ずかしげに、顔を赤らめて、俯きながら帰ってきた。「何かあったのか」とたずねると、何もないと返ってきたがそうとは思えない。病気ではないだろうが、あの顔を赤らめようなら、大方紅葉と言葉を交わして、何か褒められたりしたのだろう。そういえば椛が結ったのか、髪がツインテールになっていた。

 そして数分後、聖がこっちの部屋にやってきた。
「ねぇ、聖夜。紅葉君って好きな子いるのかなぁ。」
黙った。なんと返せばいいのか分からなかった。「お前だ」と普通に返せるわけはない、何せ本人が自覚していないんだから。
「さぁ、男同士ってあんまそういう話しないし。お前が直接聞けばいい話だ。」
「う、うん。わかった。頑張る。」
「ん。」
そうして、聖が部屋から出て行った。

 さて、聖も頑張るようだし、俺も頑張ってみるか。

 そう思いながら、明日の準備をした。 

後書き

さぁ、恋愛編、後2回で双方決着が付きます。

あー、女子視点は難しい!

この小説について

タイトル 第二分の三章 恋華弐
初版 2010年3月31日
改訂 2010年4月10日
小説ID 3885
閲覧数 738
合計★ 3
海月奏香の写真
熟練
作家名 ★海月奏香
作家ID 648
投稿数 16
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活動度 1736
えーと、海月奏香です。くらげじゃないですよ、うみづきですよ。間違ってくらげなんて言われたら泣きますよ!

コメント (2)

★友恵 2010年3月31日 21時54分32秒
どうもー
最初から全部読ませていただきましたよー!

ふふ、恋愛に入った瞬間によしっ!と心の中でガッツポーズを繰り出しましたw

キャラクターがみんな個性的で好きですね、もうニヤニヤしながら見守っています
後二回の恋愛編、頑張ってくださいね!

またお話しましょ!
海月奏香 コメントのみ 2010年4月1日 11時33分04秒
ありがとうございます!

友恵さんのも面白かったです!
そうですか、友恵さんは恋愛系がお好きなんですね。

キャラクターのことをお褒め下さりありがとうございます。
後2回、うー、女子視点なんですよねー、難しい。

またお話しましょうね〜
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