TWINS - 第二分の三章 恋華四

「終わんないーーーーーーー!」
夕日が差し込む教室の中で、大声をあげた女子高生の姿がそこにあった。っていうか、私なんだけど。

 私の名前は、暦川椛。ってもう知ってる人もいるよね?まぁいいや。どこにでもいる普通の女の子。
 今私が何をしてるかというと、明日提出鉢巻刺繍。「弐年弐組」と入れなければならない。今時そんなことやらなくてもいいと思うんだけど、担任の川村先生が言うからこんなことになっている。自分のは自分でということなのに、友達のほとんどが「やっといてー」とか何とか言ってきて、さらに男子にまで押し付けられて今に至る。
「もー!自分の分くらい自分でやりなよ!私実行委員だけど、それだって皆に押し付けられたからだし!もう!」
「もーもー言うな、牛かお前」
「きゃあっ!?」
さっきまで1人だったのに、なんでドアが開いてて、しかもそこに聖夜くんがいるの!?

「人の顔みて「きゃあ」とはなんだ「きゃあ」とは、ちょっと傷ついたぞ。」
「い、いやね。急に離しかけられたから吃驚しちゃって。」
「で、何やってんだよ。」
「何って、鉢巻作りだよ。」
「聖は1人一枚っつってたけど。」
出来上がってない鉢巻の一つを手にとって聖夜君は言った。まだ出来上がってないのが、12、3枚ある。
「ん、ああ、皆に押し付けられちゃった。」
「ちゃったじゃねぇよ。ったく。」
と、誰かのロッカーから裁縫道具を引っ張り出してそれをこっちに持ってきて箱を開く。
「さすが、家庭科部なだけあって、裁縫箱も用意してんのな。」
といいながら、針に糸を通す。
「ていうかそれ誰の?」
「椎名優輝」
「しいな?ああ、椎名君!そういえば家庭科部だったね。」
椎名優輝君っていうのは、私のクラスの男子で家庭科部の男の子、優しいし、可愛い顔してるから結構人気あるの。
「勝手に借りて大丈夫?」
「バレなきゃ問題ない。」
なんていいながら、出来上がってない鉢巻を手にとってチャコペンで私が書いた「弐年弐組」の「弐」の一部分に針をさす。
「こんなとこ見られたら、またファンの子が怒るね。」
放課後、男女が2人きり。なんとまぁベタなシュチュエーション。高校生にもなってそんなことだけで「あの2人は付き合ってる」なんて妄想する人いないと思うけど、聖夜くんのファンクラブの女の子たちは、そういう想像を容易にしてしまうのだ。
「知るか。去年と同じ事やるようなら、黙ってないけどな。」
「また、やった人たち全員まとめて退学?」
「当然。」

 去年の9月、まだオカルト部に入る前のこと。

「またか。」
「も、椛ちゃん平気?」
中身が空っぽな靴箱を見て私と聖ちゃんが言った。今月に入ってからこれで、何度目かはもう覚えていなかった。
「いったい私が何したって言うのか。」
ローファーがなくなっていた。最近よくある。授業を受けて、帰ろうとすると、靴がない。仕方がないから、体育用の靴で帰る。1週間に1度はそれをした。
「まただな。」
「ちっ」
私たちが靴箱を前にして動かなかったことに何か疑問を思ったのか、紅葉と聖夜君がこっちに来た。
「聖夜君、舌打ちしないの。もう慣れたし。いいよ。ほら帰ろ。」
「う、うん。」
本当は、全然平気じゃなかった。心が痛かった。家では紅葉がお風呂入ってるとかそういうことしてる時に、1人でひっそりないていた。「なんで私が!」と1人わめいていた。
 そんなのが1ヶ月か2ヵ月過ぎた頃、女子のグループに体育倉庫呼び出された。
「あんたさ、ウザイよね。」
「聖夜君と毎日毎日一緒に帰ってさ。彼女でもないのに。」
ああ、そういうことか。私はようやく理解した。つまりこの子達は、私が聖夜君の隣にいるのが許せないんだ。この子達は聖夜君のことが好きなんだ。本気ではないだろうけど。
「だって、仕方ないじゃん。紅葉と仲いいんだし、聖ちゃんのお兄さんだし一緒に帰ったって別に問題ないじゃない。」
「ふん。そういって、聖夜君に近づいてることなんかお見通しなんだから!」
「どうせ、紅葉君に頼んだんでしょ。」
「なわけないじゃん。あいつが勝手に聖夜君と仲良くなったの!もういい!?聖ちゃんたち待ってるの。」
「いいわけないでしょうが!」
女のこの1人は、私の髪をぐいと掴んだ。(この頃の私の髪は長かった)頭皮に激痛が走る
「痛い!放してよ!」
「放してほしかったら、聖夜君に2度と近寄らないって誓いなさい。」
何それ、私何もしてないじゃない。こんな事しなくたって、紹介くらいならいくらでもしてあげたのに
「こんな事したら聖夜君に嫌われるよ!?いいの?」
「よくないわよ!よくないけどあんたが聖夜君の横にいるのがむかつくの!」
「そんなの!」
知るもんか!といって私は水で、爪を作って引っ張られている髪を切った。
「「「!?」」」
1人は私の髪を持って唖然としていた。2人は私弐目をやって茫然としていた。
ガラリ
 唐突にドアが開いた。そこにいたのは聖夜君だった。女の子たちは「きゃあ」と叫んだ。私はただ黙って彼を見ていた。彼は私を、正確には私の短くなった髪を見た。そのとき、何かが切れた音がした。糸が切れたにしてはやけに音が大きいし、近い。
「てめぇら、こいつに何しやがった!」
気づけば、聖夜君が叫びながら、壁を殴りつけていた

後書き

あれ?何か長くなっちゃった。まぁいいや、ごめんなさい。続きます

この小説について

タイトル 第二分の三章 恋華四
初版 2010年4月4日
改訂 2010年4月10日
小説ID 3894
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海月奏香の写真
熟練
作家名 ★海月奏香
作家ID 648
投稿数 16
★の数 16
活動度 1736
えーと、海月奏香です。くらげじゃないですよ、うみづきですよ。間違ってくらげなんて言われたら泣きますよ!

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