Merci - 【思い出の海の丘で】

双子の兄、時雨が死んでから1年がたった。
相変わらず脳裏に焼きつく兄との思い出――
人懐っこい優しい兄だった――

あの時の思い出の海辺にある丘にアタシはいます。
兄の墓の前でアタシはただ立ちすくんでいた。

「あれからもう1年たったんだね」

そういって墓と同じ目線になってしゃがみこむ。
後ろから海の風が弱く吹いた。まるで兄からの返事のようで―――
アタシはそっと十字架が彫られた兄の墓の隣に兄の好きだったネリネという紫色の花を添えた。

「嶺兄ちゃんも相変わらずバイオリンにはげんでるよ」

1番上の兄、嶺は都市では有名な音楽大学の講師を務めている。
小さい頃から習っているバイオリンで嶺は実力をつけ、大学側から頼まれ、講師をしている。
――――そういえば大学からオファーが来た時、兄ちゃんはこの世界にはいなかったかな。

「言い忘れたけど、嶺兄ちゃん憧れだった音楽大学の講師になれたんだよ」

アタシは墓をじっと見つめた。なんだか本当に兄と話してるような感覚になった。

「兄ちゃん、今頃天国では何してるのかな?また馬鹿やったりしてんのかな?」

アタシは笑いながら冗談を言った。きっと兄が生きていたら『馬鹿とは何だ馬鹿とは!!』とか言ってチョップしてくるんだろうな。

アタシはお墓の隣に座って前にある海を眺めた。

『―――――ジャクソンとは上手くやってるか―――――』

ふと、兄の声が聞こえた気がした。急いで辺りを確認する。
―――居るわけもないのに探してしまう自分が惨めに見えた。
変わりに墓を見てアタシは答えた。

「―――うん。なんとか上手くやってるよ……」

アタシは海に再び目を向ける。夕日が沈み始めていた。

ジャクソン――それは兄と仲が良かったギターの名前。
ワインレッド色のエレキギター。兄が使うとジャクソンは笑顔だった。
兄はギターが上手かった。高校時代に組んだバンドは学校で人気が高くて、文化祭では地域の人たちも来るほどすごい賑わいようだった。

病に兄が倒れた時に『ジャクソンを頼むよ――』と弱々しく笑って言った。

兄が卒業と共にこの世を去ってからはバンドのメンバーそれぞれが違う道を歩んでいったと、ベースの幼馴染の悠一が葬式の時に言っていた。

アタシは順々に最近起きた内容を兄に話した。
―――聞こえてるのかもどうか分からぬままアタシは話を続けた。

「こないだ、緋雨姉ちゃんが結婚したんだよ?あの緋雨姉ちゃんが。アタシ笑っちゃったよー…
 けど、ウェリングドレス薄水色で綺麗だったなぁ。兄ちゃんにも見せたかったよ」

10歳離れた姉の緋雨はこないだめでたく高校時代の同級生とゴールインを果たした。

―――お前はどうなんだよ?

そう聞かれた気がした。気のせいかもしれないけど。

「アタシは相変わらずジャクソンと仲良くやってますよーっと。あ、そういえば最近アタシのバンドのキーボードやってる子とベースやってる男子が付き合い始めてー…
 まぁアタシはいないんだけどさー兄ちゃんと違ってー」

兄は人気バンドのギターとボーカルだけあって女子にも人気があった。もちろん男子にも。

そんな兄にアタシは憧れていた。
いつか一緒にギターをやりたかったのに何で逝ってしまったのだろう。

神様、どうして兄を選んだんですか?
神様、どうしてこんなにも悲劇を選んだんですか?
―――どうして…こんなにも早くアタシから大切なものを奪ってしまうのですか?

そんな事を考えていると、隣に青年が歩いてきた。アタシはその方向に顔を向ける。
めんどくさそうにとことこと歩いてきたのはジャクソンだった。
風で流れた長めの髪を耳にかけ立ち上がった。

「終わったか?」
「うん、ジャクソンも兄ちゃんと話す?」

ジャクソンは墓の前にしゃがんで手を合わせる。
しばらく目をとじてからすっと立ち上がった。

「行くか…」

そう一言言って墓に背を向けてジャクソンは歩き出した。
アタシはもう一度兄に向かって一言呟いてジャクソンの背中を追いかけるようにして走っていった。
墓の隣にあるネリネの花が風で少し散っていった。

ネリネ、花言葉は




――――――また会う日を楽しみに―――――――



後書き

こんにちは、さようなら(。・ω・。)
探さないで下さいw

読み方確認↓↓
双子の兄→時雨[しぐれ]
1番上の兄→嶺[れい]
10歳離れた姉→緋雨[ひあめ]
ベースの幼馴染→悠一[ゆういち]
ギター→ジャクソン[じゃくそん]
↑こいつは読めるか。



うん。擬人化の話です。笑
これから擬人化らしくなるので・・・!!楽しみにー(・ω・∩)


2011・12・19 一部訂正しました。すみません。

この小説について

タイトル 【思い出の海の丘で】
初版 2010年9月23日
改訂 2011年12月19日
小説ID 4059
閲覧数 961
合計★ 2
亞華羽の写真
ぬし
作家名 ★亞華羽
作家ID 687
投稿数 17
★の数 14
活動度 2678
自由気ままな、亞華羽[Ageha]です(`・ω・´)v
気分屋なんで不定期です。
よろしくお願いします。

コメント (4)

★流魂 レム コメントのみ 2010年10月12日 18時51分02秒
小説宣伝版よりお邪魔しました。
アドバイス等あれば……との事でしたので、稚拙ながら私が気付いた所を少々指摘させて頂きますね。

とりあえず……“アタシは……”から始まる文章が非常に多かったのが気に掛かりました。
小説において同じ表現を繰り返し使う事は避けた方が良いので、出来るのであれば別の言葉で表現できるようになれば……との印象を受けました。
本人しか居ない事が解っている状況であれば、場合によっては“アタシは……”という表現をそのまま削除してしまっても良いと思います。

あと、誤字が……
ウェリングドレスは直しておいた方が宜しいかと。(汗)

他にも細かい部分はありますが、あまりそれを言っても詮無き事なので。

話の内容としては、流石にこの時点ではまだ何とも言えません。
突拍子もなくジャクソン君が人間として登場しているのが気になりますが。
おそらく、この後の展開にてジャクソン君については説明がなされると考えられますので、ここではあえてスルーしたものだとは思いますけれども。

現段階では、まだ話が始まってすらいないので評価は付けられません。
また他のものも読まさせて頂いてから評価させて頂きますね。
★亞華羽 コメントのみ 2010年10月13日 18時01分26秒
いやーありがとうございますっ!!!
本当にありがとうございますっ!!!

そうなんですよね、私も『アタシ…?アタシ・・・?』みたく思ってたんですけど、思いつかなくてですね・・・泣
これ日本語デスカ・・・?ってなってましたよ、画面越しで←

あ・・・やってしまった・・・!!!
すいません、本当にすいません・・・探さないで下さい・・・。

んージャクソンが人間登場なのは色々事情があったりなかったり。
初期は紫音が持ってる感じでお墓の前で弾く〜的な感じだったんですけど、いまいちピンとこなくてですね。
もういっそ人間で登場させるかってことになりまして・・・。
ジャクソンの謎←はのちのち分かってくると思うので楽しみにしていて下さい(・ω・)
あ、でもこいつダメだwって思ったら楽しみにしなくt((ry

ひょ・・・評価なんて大丈夫ですよ((何
私は誰かに読んでいただければそれで満足です。笑

流魂レムさんってもはやプロですか!!w
とても評論家的な指摘ありがたいです。
これからも部活やらなんやらの忙しさの中頑張って更新したいと思うので、よろしくお願いします(・ω・´)
★アクアビット 2010年10月16日 6時57分03秒
亞華羽さんは、ジャクソン君が大好きなんですね。
「めんどくさそうに」歩いてくるところがイイです。
あの一文で、ジャクソン君を感じました。
先が楽しみです。
★亞華羽 コメントのみ 2010年10月16日 17時41分53秒

>>アクアビットさん
コメント、ありがとうございます。
そうなんです←
私、ジャクソンファンなんです←←
「めんどくさそうに」のところウケてくれてありがとうございます!!
先が楽しみなんて言って頂けるだけで、もう死んでもいい・・・(´ω`)...

これから忙しい中、更新したいと思うのでよろしくお願いします!
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