ランニングボーイ - アクション SIDE A

ランニング ボーイ

アクションSIDE A



迷宮と言われている場所に、奇跡は起こらない、 そう信じていた。
ヒトの意識には完全性というものは無いということは冷静な判断で昔から学者によって提唱されていた。
故に、死とは完全な喪失ではなく、
死とは、生とそれ程の変化をもたらすものでもない…

ただ、ヒトは生きることに執着する
何故だろう
それはプログラムとしての性でしかない…

遺伝子に刻み込まれた生存という本能によって、個体としての存在を維持している。
それは安全装置であるにもかかわらず、なぜか、人々を苦しめている。
それは時として、生きていくうえでの役割の支障にさえなってしまう。

だから人類は行った…種族として…自分たちの力で自らの性さえ弄って変えてしまうことを…



火星前線はとてもあわただしかった。
ガーティの存在について
人類は、200年振りの戦争を経験していた。
実際、ガーティの存在について、人類が得ている情報はごく限られていた。
あるものは、進んだ高度技術を有する彼らを宇宙の神とさえ認識してしまう種類の人間もいた。
とあるものは、戦う必要性を強調した。

火星の地下に何らかの秘密が眠っている
そういった期待、むしろ今となっては期待といった悠長な言い回しは不適切だが、火星自体とてつもなく遠い昔には、大洋と緑に包まれた恵まれた環境の惑星だったと20世紀の頃より言われ、推測されていたことだ。

しかし太古に何らかの理由により大気ははぎ取られ、紫外線の降り注ぐ場所として
本来の生命のゆりかごとして機能しなくなっていったとされ…
21世紀中期の火星探査では、そこに何らかの生物が存在していたことをつきとめられた
しかしそれは 遺跡とか化石のレベルで、
はるか昔に彼らは滅び去った その時点でそう結論づけられていた…

しかし、ガーティは人類が地球という惑星で、種としての進化を続けているころ
火星の地下で地下都市を築き、秘かなる生存を続けていた。


人類が火星にコロニーを築き、何万人という入植者が移民していったそのすぐ後…
移民者たちは、火星の地下に地下水脈を発見した
それは飲料水、及び、生活用水としての活用が可能だった。

当然かなり昔より指摘されていた、極地の地下から中緯度の地下の永久凍土層の存在も証明された…
安全とされていた地下水を生活に活用するようになった入植者たちは、徐々に身体が汚染されていった。
ガーティはそういった形から人類の前に、その存在を現わし始めた。



イチル ハヤトは体力的に優れていた…
先天的な遺伝情報による彼の特色であると同時に
彼には、生まれつき 自らが傷つくことを怖れない特性を備えていた。
彼には 自らの死すら否定する概念が備わっていなくて
戦士としての適正では最適な ゛地球軍゛ としての一員として優れた存在であった。


彼の育った、信州のユニヴァーサルプラントは、まだ恵まれた自然が残されていた。
地球の温暖化によって極地の氷層が消失していったため、東京は首都として機能しなくなった。
日本政府が次に選んだ首都は、あえて近代的なイメージではなかった。
21世紀以降の社会は自然崇拝へと目覚めていったし、なにより環境の崩壊が人間たちをそういった価値観に導いていったのかもしれない。

ともあれ
大いなる自然と、調和された自然美の中にバイオテクノロジーは極力、合理的なことに関してのみ許される特権となっていった。

ユニヴァーサルプラントは世界に四か所創られていた…
日本の信州
ロシアのカザフスタン
中国の桂林
スリランカの海上都市…

そこでのみ世界中の 科学技術の優先的な活用が許されている聖域といった場所としての意味合いが込められていた…。

23世紀の世界は科学技術は格段なる進歩を遂げていた
それと同時に、倫理観、宗教的意味合いを持った価値観が世界中に浸透していったが
そういった意識に至る経緯として、人類の種としての今後の進展がすでに将来的に望めないといった共通した世界人類の認識とともに根付いていった価値観だった。



バースディ はハヤトにとって、思いがけず早くやってきた
ここ信州のユニヴァーサルプラントで誕生した彼にとって 15という記号のつけられたバースディは個人差は多種多様だが、彼らバイオジーンにとっての生まれながらに備わった適正を各自のコントロールによって充分に引き出せれるレベルに、カリキュラムを通じてクリアーされたことを意味する成人としての記念の時だった…

午前11時20分
ハヤトの寝室のブラインドカーテンが開き暖かく明るい日差しが差し込んでくる。
ヴォルフガング アマデウス モーツァルト の田園が緩やかな音響で部屋中に鳴り奏でている、そして イチル ハヤトはゆっくり温水槽から身体を起こす…
水槽の中の液体は使用者の体温と同調され
それら成分は毎日の活動によってのボディのダメージを100パーセント修復してくれる効果を持っていた…

「人類に未来を…」
「おはようございます…人類に未来を…」
最初にフォログラムヴィジョンとして水槽の横に現れたのはチーフ のイリィアだった。

「おめでとう…きょうのバースディにつき
今後のキミの進路が決定した…今日がその出発だ」

「そうですか…」
「キミ は戦地に兵士として派遣される…」
「そうですか…それは楽しみです」
「よく出来た仔だ…」

ハヤトは短髪だったライトブルーの頭髪をスプレーをかけて
180パーセント増量させ肩まで伸びたロングヘアーに今日の気分通りに合わせると
電子コンタクトレンズを両頬に軽く着けると
個室兼寝室の自室を出た

ハヤトは東洋人特有の 弥生人的顔立ちをした風貌と恵まれたその体格は妙に不釣り合いだが、異性からみるとそれが妙に味わい深くチャーミングに見えるらしい
プラント内の居室につながる廊下は円筒形の内壁をしており、シルバーメタリックの壁に紫のLEDっぽい照明がばらばらに取り付けられていた

理由あって ハヤト の起床が遅いのには理由があった
火星に配属される彼には
火星という環境 特に一日約25時間というサイクルに身体のリズムを慣らしておく必要があったから…毎日の生活で 多くの仲間の生活サイクルとは一時間長めの生活サイクルによってズレはどうしても生じてくるものだった。


照明は至って地味で、マスタードイエローの巨大な円形のスペースに所狭しとオレンジとブラックのツートンカラーのチャアとテーブルが囲むように並べられている…

窓が見えるほうの区画のチェアに腰を下ろす…
三秒でハヤトがただ独り座っているテーブルにチキンコンソメスープと人参のフレークにミルクがかけられたシリアルが現れる

彼だけにとっては朝食のメニューには上の空で
窓の外を惜しみ深く眺めながらシリアルをそそる

大して美味しくもない 実際美味しいものだ
しかし彼の嗜好は もっとライトなボリュームの軍隊食に合わせるために
訓練とコーディネイトを受けていた。

窓の外はそろそろ正午の真上からの陽光で光と影のコントラストがより強くなっている
遠くに見える連なった峰々
林檎の木々が覆いしげる施設を取り巻くガーデンエリアの調和の取れた景観
何もかも、あと数時間で見納めと思うと余計感慨深いものがある


食事などおろそかにして、しばらく物思いにふけっていると
一般メンバーの昼食時間となりこの広かった食堂エリアがかなり混みあってきた。
「ハヤト くん…」
それはそろそろ今夜の出発が近づき支度のため自室に戻ろうかと思った時
いつも聴き馴染んだ 低音的に近い女性の声が彼を呼びとめた
「そこ、いいかしら…?」
「あっ ああ」
「バースディおめでとう」
「あたしも、つかんだ情報によると火星行きになるかも
あたしはあなたほど優秀じゃないから、あなたより3歳も年上なのに配属はもっと先になるようね…」
「頑張るといいさ…」
ジェーンは時々感情を抑えて 意志とは正反対のことを言う
実際、ハヤトの旅立ちを心から祝ってなどいない
彼女は人一倍自尊心が高く、仲間に先を越されることを喜んで真から祝福するような性格ではない。
彼女が男勝りなのは彼女のショートヘアーの髪型が物語っている…
彫が深く それでも釣り目の印象から東洋人としての顔の特徴が強い…
「まぁ あちらで待ってるさ、友達として…」
「ひとつ聞きたいの」
「なに…?」
「本当に怖くないの 火星に行くこと、戦いが酷さを増しているって噂よ」
「ああっ これも自分では選べない生まれつきの特性かな
何か人間じゃないような気がしてきたよ…俺って」
「あたしは誰にも負けたくないって強い感情を抑えきれない、それと同時に火星で自分の実力を発揮したいといった感情と同時に、もし、火星に配属され実戦になったときのことがとても怖い…想像するだけで逃げ出したくなる
どうしてもなの、どうしてもなの、抑えきれない様々な感情があたしにはコントロール出来ない」
ディソーダーだ、彼女は間違いない
だからバースディに達する段階になかなか発展できないんだ。
「はははっ 大丈夫だよ、
僕たちソルジャーは戦争に適したように感情の中で 恐怖 の部分は削除され生まれ来る
しかし 美しいものを見たりして感動したりする感情は健在だ
だから、実際は恐怖なんて感情を完全に抑え込むことなんて不可能なのかもしれないよ…僕だってあるよ…たまに怖いって思う時は」
それはハヤトのついた大嘘だった。
それらは、ハヤトにとって完全に削除されている恐怖 といった感情以外の まだまだ健在な思いやりといったものに近い感情が発した ジェーンに向けての配慮故の言葉だった。

実際に怒りと恐怖は同居すべき深い因果を持った コイン の裏表のようなものだ。
恐怖がないほど穏やかに生きられる
だから ハヤト は実に充足した精神状態を持っていた いつも 常に…

「戦争は 怖い いつの時代も人々は同じように感じてきたって本で読んだ
けれど、僕たちは明日を切り開く礎にならないと…
じゃ お別れだ 同志ジェーン また 火星で会おう」
「お元気で…」
その反応は少し怒った感情が込められていた
15歳にしてやっとバースディを迎えられたハヤト…
18歳にさしかかっても一向にバースディはやってこないジェーン
それは、名誉だけの意味合いが込められているだけでなく、死活問題なのだ…
20歳になってバースディを迎えられないバイオジーンは低下層人種としてのレッテルを貼られ、危険かつ希望など全く見出せない仕事場に配属されてしまう…

戦場で死の危険を潜り抜け動き回ることも似たようなものだが、その社会的扱いは兵士としてはエリートとしての生活と身分が保証されていた。



サイクル ステーションでの生活は、いささか、地球暮らしの若者にとっては窮屈と聞く…しかし ハヤトには全てを円滑に運んで行く適正が組み込まれていた…

ジョイ について語るなら、彼はハヤトとよく似ている
もちろん内面的に
彼は西洋人の遺伝子保有者で遺伝子改良も受けていない
彼はハヤトよりも一回り年上で、よく話が合った。
彼は社会でいろいろな経験をしてきており、ヒトを見抜く目を持っていた。

彼には遺伝子改良種 もしくは 自然種 そういった隔たりでヒトを見ない
彼は古いタイプの人間なのかもしれない
彼はハヤトの感情に左右されない部分を物理的なものとしてより、ハヤトの人徳として捉えて、ハヤト自身をとても高く評価していた。



サイクルステーションは地球と火星との軌道を、それぞれの公転周期による距離の誤差を計算に入れながら、240基、地球と火星とを回遊している。
火星での戦争がはじまるとついに、スローパーディション財団は宇宙ビジネスで儲けようとする。それを批判する層も限られているので余計始末が悪い…


今の季節の火星と地球との航路はとても距離が短く、退屈しない旅になるとハヤトはにらんでいた…ジョイとの毎日も楽しかった。
「本気で 他人を殴ろうと思ったことってないってホントかい…?」
ジョイは三度目の質問を切り出してきた。

二人とも窓によりかかって宇宙空間を見ている
時々通り過ぎる 塵 のほかに深闇の景色に映って見えるものと言えばお互いの顔だ
これはこれで楽しい、ハヤトは三度目の質問に、毎回用意した違ったそれぞれの視点で答えようとしていた。
「僕は、女友達がいた… いま信州にいる
僕の古里さ…彼女は何度も僕を殴ろうとした
でも 
原因は僕が作ったものじゃない、けど、僕は悪いことをしたと反省している」

「それって表向きは恋愛じゃないな…憎悪を一方的に受けている
ただ、その女性のことについて余りにも情報が少なくてなんともいえないがな…」
「ジョイは恋をよくしたの…」
「楽しくない恋愛ならたっぷりとな…」
「へえっ」
「最初につきあった女性とは支障が多すぎた、お互いの性格、考え方、社会的立場」
「それって辛いね」
「でも その子との想いでは最高に輝いている」
「楽しくないのにかい…?」
「でもさ、何もかもお膳立てができていたり、スムーズに行く恋をほんとの恋愛と言えるかい…? 俺はさ その子と付き合って苦しいことが多かった でもその子は俺をちゃんと見てくれていたからこう言えるんだろうね…」

「俺はいまこう感じた…初めてキミを卑下する、君の感情の安定さが余りにも完璧すぎてキミは一生、 いくら表向きにいろんな女性と付き合っても キミは恋の本当の部分を知らないで終わるんだろうな…故郷に残してきた子はとても可哀そうだ…多分キミはもうその子のことは忘れて、その子の幸せを祈るんだな」

その日以来、ジョイ は冷たく僕をあしらうようになった。
僕には何ともなかった。
ただ、ジョイに何か悪い気分にしたなら僕のほうから謝ろうと考えていた…。

サイクルステーションは火星の月 フォボスの基地とドッキングした。

僕は、リラクゼーションユニットで暖かい飲み物を楽しみながら、間近に迫っている火星の渓谷をスコープで眺めて楽しんでいた。

よく見ると渓谷のあちらこちらで、火の玉が小さく炸裂している
「花火のようだ…僕はそう思った。」



マリネリス戦線は厳しいの一言に尽きる そう聞いた、僕の中には使命感があった
何とかして、火星での戦争を早く終わらせて、太陽系に平和な世界を築くこと
僕は、ヒトがよくいう戦争に行くことは怖いとか、傷つくことが悲しいとか
そういった想いがよくわからない
でも、そういったものを感じたい…多くの人々と接するたびそういった想いが募っていくようになった。
医療管理官にそのことを話したら
あなたにも本来の当たり前の人間に備わっているような感情のある程度の部分は備わっていると聞かされた
それは自分でも分かっていた

それに付け加えて
感情はヒトを苦しめる
そう言っていた

そのことが僕にもよくわかった
僕には自分に備わっていない部分について深く悩み
寂しさを感じていた

それが、自分で感情の一部分だと感じた時、救われた気がした…

そこに至るまでは多くの人たちとのかかわりだったのだと思うと
感謝の気持ちと
他者を愛する気持ちがわいてきた

それも感情だとすぐにわかった…
僕たちは愛する人間という名の同胞を守るために戦う、筋書きは全てできていた





翌日降下命令が下された
僕たち遺伝子改良種が12名
狭い ユニット に押し込まれ
出撃の時間を待つ

僕たちに攻撃的な感情もない
果たして僕たちは戦えるのか…

マリネリスの最東部地区の街
そこは最近まで人たちが住んでいた。
多くの人たちがガーティの犠牲になった…そう聞いている。

シャトルはため息を三度ついたかのような大きな音と共にホバリングモードから着地した。

アーディガン軍曹はとてもたくましい体つきをしている
僕たちは彼のことについて何にも知らない…ただ、彼は改良種ではない。

僕たちは赤と黒で彩られた迷彩の戦闘服に身を包み
ゴーストタウンの市中央エリアの円形の建物に突入していった。

吐く息は白く、気温も低い…
火星がテラフォーミング つまり地球型惑星への改造とちゅうだとしても気圧はより低く建物の内部に入らないと救われた気にならない…

ターゲットは身の丈3メートルのメタリックなモンスターだ
一般にそれらがガーティと呼ばれている。

階段にさしかかり
Aグループは階段を、Bグループはエレベーターを降りることとなった
僕はAグループに割り当てられた
それぞれ6名づつ
行動は迅速に

イリアは体力面では我が隊随一だ
闇の中先頭を進むイリアが悲鳴を挙げた…
「ガーティだ撃て、撃て」
僕とスチュアートは同時に叫んでいた
それは、作業を猛烈な勢いで進めているような小気味よさで
とにかく次の行動に出る判断を下すのが楽しくて楽しくて仕方がなかった。



そこに倒れていたのは
元地球軍兵士らしい雰囲気の老人が数名だった。
発光灯が全てを映していた
「ガーティは人間なのか、少なくとも人間と同じ姿をしているのか…?」
ノアはそう言いながら
襲ってきた元兵士らしい手からナイフを取り上げた…
「彼らは 地球軍の兵士だ、それも我々より1世代前の」
左腕からの出血を抑えながらイリアが言った

アーディガン軍曹がシャトルから通信を送ってきた
安全な、あまりにも彼らとは違った安全な場所から

「いいか、君たち
君たちに初めてガーティについての存在について詳細を告げる…」
「ガーティとはかなりの微小サイズのナノロボットと考えたほうがいい…
しかも それはウィルスに特質が似ている
人間の怒りと恐怖の感情に強く反応して活性化、感染を繰り返す
ガーティウィルスに支配された人間は怒りと恐怖の感情を制御できなくなってガーティの支配を全身に受ける。」

「それで 俺たちのような感情をコントロールされた兵士が必要だったわけだ。」
とノア…
「でもさ、マシーンを使って戦争すればいいんだ…なんでわざわざまわりくどい戦術を我々に課せるんだ…?」
「計画がある…」
そう言い終えると通信は遮断された。

地下7階はかなり薄暗い…


感情に反応して、その個体に感染するウィルス
そういったものについて
人類は未知なる戦いを余儀なくされていた。

そのことに気がつかない
初期の頃の戦いによって
旧世代の兵士は彼らガーティの操り人形
つまりは 支配された 個体と化して
今も この火星にうごめいている

彼ら 新世代兵士に課せられた任務は余りにも酷だった…

同胞を敵とみなし始末しなければいけない
彼らが感情のある領域を持たない部分も ある意味戦いにおいて必要な要素だった
つまり勝利するためには
彼らガーティに支配されないためには

それとは別の意味も込められていた
かつて同胞と呼ばれていた旧世代の仲間ともいうべき兵士を始末するためには
余計な感情は不必要だった

しかし
かれら新世代兵士においても
同胞を愛する気持ちは ハヤト に於いて見られるよう
愛とか慈しみに似た感情は 生育過程で生じてしまうことは明らかなデータとして認識されていた。
それは結果的に
彼ら新世代兵士に苦痛として与えられる宿命となった…

この場合 マシーンを兵士の代わりとして使うことが望ましく思われた
しかし
計画には別の側面が存在していた。


負傷しているものが一人いるにせよ
依然 隊は無傷に近かった
彼らの精神状態よりは…

12名は合流して更に地下へと前進していった。
灯りはハンドライトだけでは不十分だった
彼らは恐怖と怒りは無いにしろ
罪悪感を酷く感じていた
それは 上司であり 彼らを上手く使用する権限と義務を有したアーディガン軍曹の失態でもあった。
しかし、こう言った状況に於いてベストな判断が果たして下せれるだろうか…?

彼ら新世代兵士には愛情、義務感、完全性に於いて
本来の人類以上の優位性が認められていた
それは、彼ら新世代兵士には一切告げられていたわけではない

社会的に見て
人類は変わっていかなければならなかった
旧人類としての汚点を繰り返さないため
新しい人類による世界の構築が必要だった。




地面はぼこぼこしていた
それ以外に、ナビゲーションの示す方位に従って地下へと更に突き進んでいく。

少しづつだが
気温の暖かさを感じられてきているようだった…
メルプルは格闘家だった
柔道に向いた体格
しかし体重が多すぎて肥満傾向にある
メイプルは突然笑い出した
すると
メイプルの身体が突然地面に引き込まれていった
地面に穴があいたのだ

メイプルは笑いながら落下していった
火星の重力なら、彼が重傷を負うこともあるまい
そう確信しながら空いた地面をハヤトは覗き込んだ

またたく光だった
そこには途方もない空間が拡がっていた…

薄紫でしかもオレンジに似た温かみのある光も反射していた
遥か下方に向かって蜂の巣のような六角形のプラントが続いて伸びている

様々な縦に無限に長いかのような建物
そして若干霧も湛えていて遠くはかすんでいる
しかしそこは、火星本来の過酷な環境とは程遠い
「うわああああっ…」
12名の兵士たちは恐怖心など無くただただ無邪気だった
ここへ遊びに来たかのようなそんな様子でかわるがわる底へ続く裂け目から
未知なる世界への好奇心をメラメラと高めていた…

後書き

後篇に於いて
本題とも言うべき哲学的なテーマについて掘り下げたいと思います。
恐怖と怒りについての考察と
死に対する人間の感情とか…
そういったテーマをなるべく有意義に引き出せるべく頑張ります。

この小説について

タイトル アクション SIDE A
初版 2011年2月7日
改訂 2011年2月7日
小説ID 4201
閲覧数 724
合計★ 0
エーテルの写真
ぬし
作家名 ★エーテル
作家ID 179
投稿数 38
★の数 72
活動度 6746

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