BLUE SAVE FORCE - 第一話 悠

第一話    悠

高校生活というものに特に期待はしていなかった
たまたま志望校に受かった悠は、そのあと次なる目標を見いだせず
ただ抜け殻のように毎日教室の窓から校庭を眺めていた。

五月というのはそれまでの悠にとって大好きな時期だった。
しかしいま自分とは無関係と思っていた五月病がリアルに感じられて仕方がなかった。

悠は15歳にしては背も高く
少々大人びて見える
しかし運動ときたらからっきしダメで
そのことを特にコンプレックスとしてまではいなかったが
彼はなんとなくクラスでの人気が自分に向かないことに少々苛立ちを感じていた

ヒーローになりたい
そんな願望を持つのは悠の歳ではごく当たり前だが
クラスの女子たちが自分の隣の席の男子を取り囲むように楽しそうに話しているのを聞くと少々腹立たしく感じられた。

ヒーローになりたい
とあるクラスメイトの言葉「一生懸命勉強して一流大学に入って一流企業に入ればそれでヒーローだ」のアドバイスもなんとなくリアリティを感じない。

ヒーローになりたい
目立ちたいといった気持ちをはちきれんばかりに膨らませて
その結果情緒不安定になり
CDショップで万引きして停学になった奴
入学した時は友達になれそうだったが今は彼にかかわるまいと思っている
ヒーローになりたい
ネットゲームにはまることが多くなった。
悠はそこではヒーローだった
将来IT企業で通用するほどのデジタル関連の知識がある

ヒーローになりたい
女手一つで彼の面倒を見てくれている四歳年上の姉は間違いなく世間的にはヒーローならぬヒロインだ

……


五月の末のとある日
放課後上級生に呼びとめられてクラブに入らないかと誘われる

そのクラブ活動は何かと聞いてみると、サッカー という
悠は自分が運動音痴と知っていながら一応その熱心な勧誘に折れて参加することを承諾する
しかし、ただ下手といっても体格に恵まれない奴がドジったりしているとそれ程目立たないが
悠の場合、期待度をもって見られていた以上
その結果はより目立ってしまう
「思ったより下手だな……」
その先輩の言葉は抑え気味だったが
サッカーの部活はその日だけで終わった


一学期の中間テストの時期
悠はよく考えると、入学以来ちゃんと勉強していなかったことに愕然とする

ノートをちゃんととっていなかったし
ごまかしようがなった

テスト直前のプリントの採点で最悪の結果を出してしまったことで
悠は奮起する
ノートをとってなかったから
仕方なく書店に行って参考書を買う
全科目
しかしおこずかいは少々危機的になる
自宅では悠は姉と顔を会わせることがほとんどなかった。

今は亡くなってしまった両親の残してくれた分譲マンションの最上階が自宅だったから景色はよかった
特に夜景は
徐々に日が暮れるのが遅くなってきている現在でも、夜景のとばりが下りる頃は姉は出て行ってしまう
夜のアルバイトのため…
土日は劇団通いでやはり自宅に居ない

悠の姉は仕事の合間将来女優を目指していてそのレッスンに精を出していた

中学生の頃、悠は姉が多忙を極めて自宅に寄り付かないことに酷く寂しく感じていた

しかし高校に入ったころから
自分のほうから姉と顔を会わせることを拒むようになった。

学校が終わって
しばらくハンバーガーショップで時間をつぶして
姉が出て行ったころ自宅に戻るようになっていた

姉の 彩 は特に優等生的なところがあった
彼女は高校では成績優秀で進路指導で名門大学の進学を勧められていた

そんな折だった
両親の乗った自家用車が交差点でハンドルさばきを誤って
トラックと正面衝突したのは
そんな頃から
姉の彩は変わっていった

援助交際でアルバイトだけでは足りない生活費を手にしていた

一回り以上年の離れた
もしくは初老の男性複数と同時援助交際をしていた

勘のいい悠はそのことに早くから気が付いていた
だから
姉と顔を会わせることはたまらなかった

平凡な顔立ちの悠とは違って
彩は人の目を引く容姿をしていた



悠にとって
姉の頑張りが
自分にとってプレッシャーとなっていた
本当はとても感謝しなければいけない姉に対して、悠は言い知れぬ苛立ちを感じていた

どうせならいっそ、お金がないから学校を辞めて働きなさいとまで言われたほうが
幾分か楽だと悠は思っていた。

しかし 彩 は全く弱音を吐かない
彼女はまるでドリーマーとしての自分を強調して幸福そうに装っている

それが 悠 にはたまらなかった。

だからだ
悠は自分が進学から遠ざかることで
姉にここ以上の負担をかけまいと思っていた

それと、優等生な姉に対する憎悪は
勉強に対する 憎悪 が近いところにあるということも……
姉の彩は悠が欲しがるものは何でも買い与えていた

悠はそれが彩にとって
悠が道に反れない最良の方法と勘違いしていた

高校入試合格のお祝いとして
モービルシューズを買ってもらってからが
悠の行動半径を広くした

モービルシューズは二年前の発売当初それ程人気は出なかったが
交通網の整備対応で確実に売り上げを伸ばしていた

モービルシューズとは小型の高性能モーターが搭載された自動走行用スニーカーシューズだ
上手く履きこなせれば
昔のスクーター並みの走行速度が出せる

悠はそれを得意に
千葉のスラムニュー秋葉原のあたりまで足を延ばすようになっていた

そこは十年前の落下隕石衝突した場所として
地球上では手に入らない貴重鉱石を落下隕石から採取して
全く新しい技術テクノロジーの発進塔として日本中から注目を集めていた

後書き

一応長いものになります
一応こういった始まり方ですが
SFで宇宙にまで舞台は拡がっていきます

この小説について

タイトル 第一話 悠
初版 2011年7月23日
改訂 2011年7月23日
小説ID 4298
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ぬし
作家名 ★エーテル
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