Merci - 【水色の雨】

あれから、1ヶ月がすぎた。
あの日、ジャクソンや零王、弥生や和磨が迎えに来てくれてうれしかった。
…やっぱり1人でここまで来たんじゃないんだよね?
結局、私たちはあのバトルライブの予選を通過した。なんだかんだ言って、私の我侭に付き合ってくれた4人には感謝している。
見事予選が通過できたのも、彼達のおかげよね、きっと。

「さて、今日はここまでにしておこうか」

そう言った私は、赤いエレキギター『ジャクソン』をスタンドにかけた。私の声に反応した和磨も、青いエレキベース『ゼウス』をスタンドにかける。

「最近結構上手くいってるよね。この調子じゃ優勝も夢じゃないっ!!」
「だな、お前も歌詞のど忘れなくなってきたしな」

零王がドラムの間からちょこっと顔を出して、笑いながら言ってきた。その言葉に私はムッとする。

「何よー。零王だってやっと音荒くなくなってきてじゃない」
「やっとってなんだよ、俺は昔からだ」
「そんなことないだろ〜零王〜?」

その会話に笑顔で和磨が入ってきた。片手に、さっきの休憩時間で買ってきたサイダーを持っている。
その横で弥生がペットボトルの水に口をつけていた。

こんなに笑って、バトルライブも優勝!ってなると思っていた。
それが、残り2週間で本番を迎える事になっていた私達の身に、とある事件が起きるまでは―――――


「じゃぁまた明日ね〜」
「おう、気ぃつけろよ」

口々に別れの言葉を交わしてから、私とジャクソンは自宅マンションまで歩いて帰っていった。
辺りはすでに暗くなり始めている。夕日が傾き、1番星が見え始めていた。

「あと2週間でバンドバトルかぁ…」
「だな、お前もここまで頑張ってきたんだ。きっと大丈夫さ」
「あはは、そっか。ありがとう」

私とジャクソンは見慣れた道を歩く。
今から2年前の高校生の時も、よく時雨――兄貴と一緒に歩いていた頃を思い出した。
確かあの時は、私が風邪を引いて兄貴におぶってもらいながら帰った。
あの時は恥ずかしかったけれど、今思えばいい思い出だったかもしれない。
私はそんな事を思い出して、微笑した。

「何笑ってるんだよ」
「んーん、何にも」
「なんだそれ」
「さ、早く帰ろっ!!」

私はのんきに歩いているジャクソンを置いてさっさと先に進んだ。

・・・それが悪夢の始まりだった。


私はチカチカした信号を無理やり走った。
後ろからジャクソンが危ないぞーと、呑気に言っているのが聞こえた気がした。
向こう側へ渡るには、あと2つの白線。





―――私はその2本の白線を、渡りきることはできなかった。



*********



「ジャクソンっ!!!」

最初に血相を変えて病院に飛び込んできたのは、零王だった。
その後に続いて残りのバンドメンバーも駆け込んでくる。
周りにいた看護師が「静かにしてください。周りの患者さんにご迷惑ですよ」と注意する声がした。
それにもかかわらず、何があった、どうしてだ、なんでなんだと口々に彼等は言っていた。

あの時俺は、後ろから紫音が横断歩道を渡っている姿を見ていた。その横断歩道を渡るとすぐに家に着く事ができた。
だけど残り少しで紫音は、俺のマスターは俺の目の前から消えて行った。信号無視のトラックとともに。

「おい、今紫音は?!何処にいんだよっ!!」

零王の奴に揺さぶられて、俺は下を向いていた顔を零王に向けた。

「今は・・・手術中だって」

俺はかすれた、弱々しい声でしか答える事ができなかった。
‘俺の目の前からまた、大切な奴が消えていくのか?
 俺のマスターがまた、死んでいくのか?’
そんな疑問が頭を過ぎった。


*********

気がついたら、目の前は白かった。前も後ろも、左も右もわからない。
ただ分かるのは、どこからともなく懐かしいメロディーが聞こえる事。足を進める。音の聞こえるその先へ。
だんだんあたりに色がついてきた。
赤、緑、青、黄色、紫、桃色・・・徐々に明るく彩られていった。そして、その音の先にいたのはギターを弾いてる、懐かしい彼の姿。

『紫音、お前はここに来るべきではないよ』
「兄貴…?なんで・・・なんで兄貴が・・・」

懐かしい彼は優しい顔をした。

『お前にはまだやることがあるよ』
「何よ、それ・・・」
『お前には、ジャクソンが居る。ジャクソンと一緒にやることがあるだろう?』

懐かしい彼はそっと、頭をなでた。そして小声で言う。

『俺が叶えられなかった夢、お前に託したからな』

懐かしい彼は、虹の色を落として消えていった。


―――私も何も無かったその部屋に、水色と言う雨を降らせて消えていった。

後書き

久しぶりです。
お元気ですか?今年ももう終わりますね。

と、いいますか。
今年受験生なんですよね。
こんなことしてる場合じゃないみたいな。
受験まであと1ヶ月も無いんですけどね。
この調子じゃヤバイみたいなね。


久々すぎて何書いてるか分かりません←
あばばばばばばば。


12月15日・一部訂正させていただいきました。

この小説について

タイトル 【水色の雨】
初版 2011年12月13日
改訂 2011年12月15日
小説ID 4337
閲覧数 621
合計★ 2
亞華羽の写真
ぬし
作家名 ★亞華羽
作家ID 687
投稿数 17
★の数 14
活動度 2678
自由気ままな、亞華羽[Ageha]です(`・ω・´)v
気分屋なんで不定期です。
よろしくお願いします。

コメント (2)

★那由他 2011年12月14日 20時39分55秒
こんばんは。那由他と申します。
ご無沙汰しております。
御作を拝読いたしました。つたないコメントになりますが、感じたこと、思ったことを書いておきます。

最初に文中で気になった箇所を挙げておきます。

>そう言った私は、スタンドに赤いエレキギター『ジャクソン』をスタンドにかけた。
「スタンド」が一文のなかに重複しています。


物語に急展開がありましたね。でも、「それが、残り2週間で本番を迎える事になっていた私達の身に、とある事件が起きるまでは―――――」という回想らしき一文があるということは死んだりしなかったのかな、とも思いました。臨死体験のシーンが興味深かったです。

途中で「私」の紫音から「俺」のジャクソンへと視点が切り換わる箇所がありますが、ジャクソンのいる場所が病院であることを触れておいた方がいいかもしれません。初読のときは事故現場にいるものだと思いこんでしまいましたので。

簡単になってしまいましたが、コメントは以上です。
次回の作品も期待しております。これからもがんばってください。
それでは失礼いたします。

P.S
受験の方、がんばってください。
★亞華羽 コメントのみ 2011年12月15日 13時27分12秒
こんにちは。お久しぶりです。
コメント、評価ありがとうございます。
とてつもなく恐縮です…!!!

私も那由他さんのコメントで気がつきました…。
おかしいですね、スタンドが重複してること。気がつきませんでした。ありがとうございます!
はい、とても急な展開になってしまいましたよね←
臨死体験のシーンはちょっとこってみました。真っ白な部屋に1つ、また1つ色が増えていくという発想がたまたま思いついたので、それをいかしてみました。

ありがとうございます。少々訂正させていただきます。
やはり病院ということを書かないとわからないですもんね!
書こうと思って書き忘れました…すみません。

期待してくださるなんて…!!
とてもありがとうございます。
後書きにも書きましたが、実は受験生なので不定期更新ですが、よろしくお願いします。

今回は貴重なご意見、ありがとうございました。
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