夢の楽園 - 第7章:何もなかった手のひら


第7章:何もなかった手のひら


『ロアン』
 この世界に来てずっと隣で笑っていてくれた彼女が。
 もういない。
「いないんだ・・・・・・」
 窓側のベッドで夜空を眺めながらエオはその声を聞いた。
 きっと彼からエオの表情は窺えない。
 もしかしたらもう寝てしまったと思っているかもしれない。
 ちらりと机の上の時計を見ると夜中の3時をさしていた。
 ザウラがもう休もうと部屋を出て何時間も経った。
 あれからロアンは一向に寝ようとしない。
 きっと疲れて眠たいはずなのに。
 部屋の中は暗い。
 エオが眠れないとロアンが気を使ったのだろう。
 だが気を使っているのはロアンだけではない。
「シェラ・・・・・・」
「お前はあいつがいないと随分弱いんだな」
 バッとロアンは顔を拭いた。
 エオがベッドから起き上がるのが暗闇でもなんとなく分かった。
「エオ・・・・・・寝てたんじゃ。起こしちゃったか?」
「人に気を使う前にその不安定な心境をどうにかしたらどうだ」
 はっきりというところはエオらしい。
 がロアンはその言葉にあまり反応を見せなかった。
「エオの言うとおりだ。オレは弱い」
「・・・・・・・・・・・・」
 あっさり今の自分を受け入れ、ロアンはベッドに沈む。
「皆さ、出会って間もないんだ・・・・・・」
 ベッドにうつ伏せになって枕で顔を隠しながらかすれている声でロアンは言う。
「でも、時間なんて関係ないって・・・・・・今は、こんなにも皆が大切なんだ。エオには奇麗事に聞こえるか?」
「・・・・・・・・・・・・」
 エオはロアンから視線を下ろす。
「どうすれば良いのかわからない。守りたいのに、守れなかった。シェラが何を思って言ってしまったのか、今はなんとなく分かる。でも、それを踏み倒してオレはシェラに会いに行ってもいいのかな? こんなの、わがままなんじゃ・・・・・・」
「お前は、シェラが大切なんだろ? なら、拒む理由はどこにもない。シェラはお前と研究所を逃げた。今更あいつらが恋しくなって出て行ったんじゃない。心のどこかで・・・・・・なぁロアン? お前はもう分かってるんだろう。それでいて、勇気がない」
「・・・・・・・・・・・・」
 返事はない。
「否定されるかもしれない、とでも思っているのか? なら、それまでじゃないか。進まずに、進めるわけがない。もし否定されて、傷ついても。それでもあいつが大事なら、迎に行くのがお前じゃないのか? そんな弱さの為に、シェラを置き去りにするのか」
「っ」
 ロアンが枕から顔を上げた。
「エオは――」
「分かるさ」
 ロアンが言い出す前に、彼は自分の言葉でそれを妨げる。
「分かる。大切な人間を失えば、辛いという事は。だが、辛いからこそそれを取り戻そうと手を伸ばす。ちがうか?」
 カチカチカチと、部屋に置いてある時計の秒針の音が沈黙した空気に響く。
 そしてエオは立ち上がる。
「今からでも遅くない。お前はどうしたい?」
 数秒の沈黙の後。
「・・・・・・シェラに・・・・・・」
 ロアンはベッドのシーツを握った。
「シェラに、会いたいっ!」



 カチカチカチ。
 部屋に置いてある目覚まし時計が時を刻む。
 そこに2人の人間の影がある。
 1人は青髪の青年。1人は薄いオレンジ色の髪をした青年。
 2人は向かい合ってベッドに腰掛けていた。
 ぽつり、1人が呟いた。
「何が、いけなかったんだろうか」
 向かい側に座るラウディスは、親友のザウラを目の前にし苦笑する。
 何がいけないなんてことはなかった。
 ザウラは知りたい。どうしてシェラが自ら組織に捕まったのか。
 ロアンが止めたにもかかわらず、ロアンと逃亡を共にした彼女がどうして今更に姿を消すようなまねをしたのか。
「別に、お前は悪くない。俺もロアンもエオも」
「じゃあ、なんでシェラは出て行ったんだ?」
 泣きそうな子供のような顔で俯いていたザウラは顔を上げる。
 ぽりぽりとラウディスは自分の頭をかいた。
「まー、これは俺の勝手な考えだけどさ、シェラはきっと怖かったんだ」
「怖い・・・・・・?」
 何が怖いというのだろう。
 その言葉を耳にしたザウラの顔はそう聞いていた。
「そう。俺たちとこれからもこうやって過ごすことが。自分の所為で皆が傷つくんじゃないか。この前みたいに狙われてしまうんじゃないか」
「・・・・・・・・・・・・」
「エオが来る前、シェラは少しほっとした顔をしていた。きっと目を覚ましたロアンが何か言ったんだろう。でも俺たちの居場所がばれて、やっぱり自分がって思ったんじゃないか? 食事中も暗い顔してたしな」
 確かに食事中にシェラはロアンに話しかけられても生半可な返事だったり、会話に加わってこようとしていなかった。
「お前・・・・・・」
 ザウラが目を見開く。
「見てないようで見てるんだな」
「おい! 俺の純情を返せ!!」
 食事を誰よりがっついてした彼だ。
 あの中で一番頼りなく見えて仕方ない。
悪い悪いとここにきて初めてザウラは笑った。
ラウディスは微笑む。
「なァザウラ。覚えてるか? 俺たちが出会ったときのこと」
「・・・・・・ああ」
 ザウラは窓の外を眺めて語りだすラウを眺めた。
「突然さ、詰まらなそうにしてる俺にお前が話しかけてきて」
――『なぁ、どうしてそんな詰まらなそうな顔してるんだ?』
「あんときのお前失礼気まわりないなー」
 ザウラは顔を少し赤くする。
 2人が出会ったのは3年ほど前。
 物語りは、どこから始まっていたのだろう。


 ――つまんね。
 町の大通りを1人の青年がとことこ歩いている。
 薄いオレンジ色の髪の毛をしており、猫背だった。
 青年は考える。 
 この世界は上手く息ができない。
 正確に言えば、上手く息ができなくなった。
 1つの光を、失ってから。
 自分がここに居る意味はあるのだろうか。
 そんな疑問が毎日頭の片隅に残る。
 きっとあるはず。そう考えてはみるものの、自分の中に住まう悪魔みたいな存在が、そんなものは無いと否定している。 
 いっそここで死んでしまえば良いんじゃないんだろうか。
 そうすれば楽だ。きっと楽。
 考えるうちに青年は無意識に街を出て森の中へと迷い込む。
 気づいた時にはここがどこだか全く判らなくて、でもそれでも良いと思った。
 自分もこれでいいんだと。
 どれぐらいの時間が過ぎたのか、時計を持ってくるのを忘れた。
 この世界はずっと暗い。
 たまに月や星が世界を照らすけれど、雲に隠れればもう闇の世界。
「その闇に、俺も混じってしまえばいい」
 そうすれば、消えてしまえる。
『またな』
 そう言った彼の手を、自分が止めていれば。
「なぁ」
 ふと、後から声がする。
 青年は振り返った。
 森の中に平然と座っている自分にある男が近づいてくるのが分かる。
「どうしてそんな詰まらなそうな顔してるんだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
 何かと思えば、意味が判らない。
「詰まらなさそうな・・・・・・って別にそんなことねぇよ」
「いや。長年の感だ。お前は今絶対に退屈をしている」
 青年は怪訝な目でその話しかけてきた青年を見た。
 暗闇の中で妙に目立っている青い髪に、緑の瞳。
「長年て・・・・・・俺と同じぐらいじゃないかお前」
「退屈してることは認めるんだ?」
 やりずらい相手だと思った。
「だったらなんだよ」
 そっぽを向いてそっけなく返した。
 初対面なので当然といえば当然な態度だが。
「俺ここら辺に住んでるんだ。良かったらうちに来ないか?」
「はぁ? お前バカか。誰が始めてあった奴の家なんかに」
 振り返る青年に、彼は真っ直ぐ瞳を向ける。
「お前、放っておいたらこのまま死にそうだからな」
「!!」
 カッとした。
 お前に何が判るんだ。
 青年は立ち上がる。
「図星か?」
「ちがう! 俺はこのまま死んだりなんか――」
 ――死んだりなんか、なんだ? 本当に俺は?
「何があったから知らないが、辛い時こそ笑えとか言うじゃないか」
「――笑え? 笑えってなんだよ!!」
 青年は気づけば相手に掴みかかっていた。
「辛い時に笑うなんてあるわけないじゃないか! どうしたら笑える!? お前は笑えるって言うのか!?」
 青年の手に力が入り、青髪の青年も彼の胸倉を掴む。
「死にそうな奴に言われたくない」
「勝手に話しかけてきて勝手に言いたい放題いいやがって! 仕方なかったじゃないか!!」
 ――まて。初めてあったやつに何言ってんだよ俺は。
「いつものように見送ったんだ! またへらへら笑って帰ってくるって! いなくなるなんて・・・・・・分からなかったんだ! 屋根に上って遊んでた子供を助けたって聞いた! でも、自分が足踏み外したって! そんなの誰が分かったんだよ!」
 ――言いたくないのに。勝手に口が動く。
 青髪の青年の胸倉を掴んでいた両手から力が抜ける。
「笑えるわけないじゃないか! あいつは俺の光だった! 生きている道だった! それを失って――」
 ぽん・・・・・・。
 優しく、誰かの手のひらが自分の頭を撫でた。
「すまない」
「っ・・・・・・・・・・・・」
 なんでなんだろうとずっと彼は考えた。
 誰にも今まであんなことを言ったことはなかった。
 今まで溜め込んでいた何かが全部出て行った。
「俺の家に来ないか? 詰まらないんだったら」
 最初にされた質問が、再びされた。
 青年は青髪の彼から手を離した。
 ぷらんと、力なく両手がたれる。
「・・・・・・詰まらないさ、きっと行ったって。でも・・・・・・」
 彼は頷いた。
 そして笑顔を見た。
 初対面の奴に笑いかけるなんてやっぱり自分と会わないと思った。
「俺はザウラ。お前は?」
「ラウディス」
 2人がこの世界の史実を知るのは、もう少し先の話だ。


「・・・・・・」
「辛い時こそ笑え、だっけ?」
 それを教えたはずのザウラは酷く思い顔で、それを受け入れなかったラウディスは今ほんの少し微笑みを見せている。
「簡単な事だ。お前のしたいようにすればいい」
「ラウ・・・・・・でも、どうしたら」
 少々呆れた様子でラウはザウラの頭をくしゃくしゃにした。
「助けたいんだろう? そうすりゃいいじゃないか。それに早くしないと――」
 ラウディスがそういいきる前に、一つ部屋を挟んだ向かい側の部屋から大きく扉が開け放てる音がした。
「!?」
 ザウラは素直に体をビクリとさせて、ラウは「あーあ」と呟いた。
「だから言っただろ。早くしないとあいつら出て行くぞって」
「んな!」
 驚愕してザウラはベッドから立ち上がった。
 自然に体が彼らを足音を追う。
 ラウは微笑んでその後姿を追った。



 寒い。
 そこは牢屋の中だった。
 冷たい床に冷たい壁。
 何もない、虚無。
「ロアン・・・・・・」
 小さく呟くその声に、
「おや。ロアンとは、あの少年のことですか?」
「!」
 落ち着いた声で話しかける人物がいた。
 黒髪に眼鏡、アルベールだ。
「ネオン様に貴女が戻ってきたことは伝えました」
 アルベールから視線を斜め下に下ろし、シェラはその言葉には反応はしなかった。
「・・・・・・貴方が言った、私が失敗作じゃないって・・・・・・」
 シェラは檻の外から薄い笑顔を浮かべる彼に問う。
 その薄い笑顔のままアルベールは言った。
「次期に分かりますよ」
「・・・・・・」
 これでよかったのだろうか。
 ふと、迷いが出てしまった。
 シェラは首を横に振る。
「・・・・・・貴女は、考えたことがありますか?」
 冷たい瞳で、アルベールは言った。
「自分に、どうして『心』があるのか」
「・・・・・・」
 シェラはアンドロイドの人形。つまりは嫌な言い方をすれば鉄の塊だ。
 ネオンという「人間」が居なければ生まれることなど決してなかった作り物。
 自分は人間ではない。だが、心はある。
「・・・・・・最初は、『心』が「何」かなんて、分からなかった・・・・・・。ただ、こんな場所で自分は何をしてんだろう。そう考え始めて、考え初めて直ぐに、ロアンに出会った」
「・・・・・・・・・・・・」
「ロアンは、私を誤って起こしてしまった。それだけだった。でも、眠っていた私を起こしてくれたのはロアン。ロアンが居たから、私は『心』がどんなものなのか知れた。貴方が言うように、私は機械でできていて、人間ではないけれど。それでも、『心』がある。それがなんでか考えたことが無いといえば、そうじゃないけど・・・・・・。心を私に教えてくれた、ロアンが私は好き」
 ハッキリと言い切った。
 それが私の誇りだとでも言わんばかりに。
 アルベールは瞳を閉じる。
「子供ですね。貴女は機械だ。人間の底まで見通せるわけがない。人とは強欲で自分勝手で卑怯者だ」
 その言葉をシェラは否定しない。
 自分も、知っている。
「・・・・・・貴女は幸せものだ。何故「偽者」の貴女にそれは訪れ、「本物」の私には訪れなかったのか」
 何かを訴えている様子はなく、アルベールは瞳にシェラを映した。
 純粋にも見えるその瞳に、不安そうなシェラの顔が映る。
「私は、貴女を――」
『侵入者です・侵入者です』
 赤いランプが点滅し、放送が基地内の隅々まで行き届く。
 ある部屋では机に両手の平を力強く叩きつけ、金髪の男が立ち上がり、ある部屋では控えていた基地の兵たちが動き出した。
 そしてこの牢屋では、話を中断してアルベールがあるやや天井近くにあるモニターに電源を入れる。
 そこには。
「っ・・・・・・! ロアン!」
 シェラを奪還するため、動き出した者達の姿が映し出された。
「貴方を、連れ戻しにってところでしょうか。了解をうけたわけでは・・・・・・なかったでしょうね」
 アルベールはシェラを向かえに出向いた日のことを思い出す。
 ロアンがシェラを止めようとしていたところを自分は間じかで見ていた。
「どうします? 私としては貴女が追い返してくれると助かるのですが」
「・・・・・・・・・・・・」
 何かに押しつぶされたようにシェラは胸が苦しかった。
「ま。無理でしょうね」
 アルベールは白衣を翻して部屋を出る。
 ゆっくり閉まる扉の隙間から見えたのは俯いた彼女だった。
 ――まさか、エオまで来るとはな。
ふっと2人の人間の顔が浮かぶ。
「こりないやつだ・・・・・・。そんなにあの二人が大事か、エオ」


「やはり、来てしまうのか・・・・・・」
 腹を割った様子で、モニターに姿を見せた少年たちを凝視しネオンは呟いた。
 額に汗を流し、アルベールに連絡を取る。
 着信音が響いた。
『はい』
「アルベール。侵入者だ」
 みなまで言わずとも、その言葉が支持している言葉は分かる。
『ちなみに、こんな電話がなくても独断ででも私は動きましたよ』
 電話を切ると、ネオンは再びモニターに顔を向ける。
 彼の目に映っているのは、ロアンだった。
 エオがいつかのように兵達をなぎ倒し、ロアンと一緒に駆け出す。
 この広い基地でシェラのいる牢屋が簡単に見つかりはしないだろう。
 組織のほうが二人を捕まえるのに有利は有利だ。
 だが、ネオンはその部屋から一歩も足を動かそうとはしない。
「・・・・・・・・・・・・」
 ただ彼らの行く末を見定めるかのように瞳にモニターを映すだけだった。
 ――どうすればいい。いや、どうするもこうするもないんだ・・・・・・。
「あのアンドロイドを万が一に発動されては困る」
 ネオンは決意を胸に、部屋を飛び出した。
 何がなんでも、使われるわけにはいかないのだ。
 最悪の場合、アンドロイドは処分だ。
 心の中で呟きながら、ロアンの顔を思い浮かべる。
「これは、誰の悪戯だろうか」
 歯をギリと鳴らし、さらに早足になる。
 モニターで少年たちがどこにいるのかある程度は分かった。
 そこにネオンが向かうと、倒れている大勢の兵達がちらほらと見えた。
「お前たち・・・・・・だらしないな」
 ある者は床に大の字で倒れ、ある者は壁に背中を持たれつけてわき腹を押さえている。
「す、すみませ・・・・・・ネオン様」
 声がかすかに出せる兵が、皆の代表で言葉を紡ぐ。
「無理はするな。休んでおけ」
言い残して、奥に進む。
 あの黒髪の少年は前にもここに侵入し、何人もの見張りを倒したことは知っていた。
 この調子で兵達が倒されれば最悪の場合牢屋はあっという間に見つかってしまうかもしれない。
 自分が今何をすべきなのか。
 向かった先に何かあるのか。
 それでも、向き合わなければならないと知りながら。
 ネオンは少年たちの元へ進む。



 少年たちは、それぞれの思いを引き連れて廊下を走る。
「いたぞー!」
 後から大量と言っても過言ではない人の数が追いかけてくる。
 倒しても倒しても切が無い。
 ここに来るのは2度目の少年たちだが、やはり碌な場所ではないと思う。
「こんだけいるってなんかおかしくない・・・・・・?」
「それ言ったら終わるから言うな」
 少し自分が崩壊気味な2人がうんざりしたような表情で呟く。
 目の前からも兵が現れ、走っていた足が止まる。
 その姿が、ある少女の眼にも映る。
「ロアン・・・・・・エオ」
 どうすればいいのか判らない。
 自分は、何のためにここに来たのだろう。
 傷つけたくないと思った。
 いつも彼が、彼らが傷ついてしまうのは自分の所為だと思った。
 だから。
 ――守っているつもりだったのに・・・・・・。結局私は・・・・・・。
「逃げていた、だけなの?」
 涙声で、体が床に崩れた。
 機械の自分がこんなにも感情を表す。
 それをアルベールはどう思うのかと問うた。
 心があることを後悔したことはない。
 寧ろ、この『感情』を与えてくれたのはロアンだ。
 後悔どころか、嬉しさを感じる。
 だからこそ、彼女は彼を守りたいと思った。
 守られるのではなく。自分が守るのだと。
 けれど、果たして自分はロアンたちを守れただろうか?
 あの、アルベールの突きつけるような瞳は、もしかしたら分かっていたのかもしれない。
 シェラは、守りたいと願いながら、未来を考えるのが怖かったのだ。
 このまま自分がロアンの隣にいて、果たして何が待っているのか。
 もし、絶望しかそこにないのだとしたら。
 ここで別れてしまった方がお互い――。
 そんなことを言って。
 つまりはただの口実に過ぎない。
 ロアンの気持ちを無視し、考えることをやめ自分の中で結論をつけた。
 今モニターに彼の顔が映り、気づく。
 誰より、自分が彼といることを否定したのだと。
「ちがう・・・・・・私は」
 いつか言いかけた言葉。
 本当は自分は、何を求めていたのだろう?

後書き

初めまして、お久しぶりです五月です。

昔の文章は見ててうがーっとなるのですが、当時の思いが、拙くてもこの作品には詰まっていると思っています。
楽しんでいただければ幸いです。

この小説について

タイトル 第7章:何もなかった手のひら
初版 2012年3月26日
改訂 2012年3月26日
小説ID 4378
閲覧数 595
合計★ 0
五月の写真
作家名 ★五月
作家ID 497
投稿数 60
★の数 166
活動度 11432
一言・・・・・・頑張ります。

http://simotukiharuka.blog.so-net.ne.jp/
自分の小説ブログです。
ここに載せた小説についていろいろ書いてます。

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