心の乱れとは - 心の乱れとは 〜第27乱〜

今日は平和だった。
どのくらい平和だったかというと、エレベーターのドアに挟まって「未熟でござる」と
反省している忍者に「反省ではなくまず他人の迷惑というものを考えるべき」という
趣旨の説教をしたら「うるさい曲者!」と手裏剣で攻撃されるくらい平和だった。

今日も家に帰る時間になったので家路に着く。
荷物をおいて携帯電話を確認してみると、不在着信が一件。
留守番電話を再生してみる。

「三月の本が五冊になる過程をドアは待ってくれないけど、夏の一部は三桁の迷い”ね”だからそうあろうとするのかもね」

――メッセージ終了、と機械音声が流れ、通話終了する。
やはり彼女からだった。

うん?
三月の本?

三月について書かれた本なのか。花粉がすごい月ですよ、とか、三寒四温ですよ、とか。
あるいは彼女は毎年三月だけ日記をつけてるのか?
あ、年に一回しか刊行されない、そう、卒業文集のことを言っているのかも。
そしてそれが5冊になった。
小学校、中学校、高校。あとは、専門学校を2回?
いや、専門学校を2回卒業した話を聞いたことがないし、彼女はそんなに専門的じゃない。
卒業文章ではない、な。
その本が五冊になる過程というのだから三月の本が増減するということで、
何も増えるとは限らず、減っているかもしれないし、
果たして、そもそも現実に本の冊数が増減することを言っているのか?

そう、現実に起こる現象ではなくて文字の話かもしれない。
『三月』という文字は『五冊』という文字の形に割と近い。
『三月本』をうまく組み替えると『五冊』という文字になるのでは。

――そう思って組み替えたが、かなり無理矢理でないと成立しなかったので
この考えは違ったようだ。

他に三月の本が五冊になる過程、というので考えられるのは――。
彼女はやはり日記をつけていて。
三月が繰り返される世界を四回過ごしていて、そろそろ五回目です、
という事を伝えたかったのか。
ううん、違うな。
もし実際そうだとしてもこちらは三月じゃないから時間軸が合わないし
繰り返される世界で日記だけ増えてたら変だ。
あ、もしかして三月の本が五冊で3×5=15。
1年3ヶ月を指すのか?
それをドアは待ってくれない。
え、ドア?
アミューズメント施設にタイムリミットになると閉まるドアがあったとしても
1年3ヶ月がタイムリミットのドアはちょっと斬新すぎる。
ということは本物のドアじゃなくて比喩的な、心のトビラのような意味でのドアではなかろうか。
1年3ヶ月あれば必ず夏を通過する。
ここで夏の一部につながりそうだ。
夏を飛ばしちゃううっかりした1年がありうるか、という可能性まで考慮すると
もう収拾つかなくなるので夏は必ず通過するとして。
夏の一部は三桁の迷い”ね”だからそうあろうとする、
というのは夏の一部分が迷ってる”ね”でいっぱいということで。
迷ってる”ね”ってなんだ。
迷わない”ね”と迷う”ね”がある?
寝、値、根、音、d(^-^)ネ!、と試しに”ね”を並べてみても到底三桁には届かない。
しかも”ね”が入ってる言葉を探せたところでそれが迷っているというのに繋がらない。

ね!ね?

子を”ね”と読めば迷子という言葉にはなるが、だとしたらただの謎解きだ。
彼女がそんな無意味な謎解き要素を入れる理由が無い。
迷い”寝”だと夢遊病みたいなニュアンスが混じるが、夏の一部というのを組み合わせると
熱帯夜にひんやりしたところを求めて寝返りをうつ様子を指しているとも考えられないか。
つい迷い寝してしまって、それが三桁にも及ぶ。
多い!
これじゃ夏の一部どころか毎日くらいだ。
いや、回数という意味ではなく夏の風物詩のひとつに数えられるという意味での一部、であれば通じるか。

だから、整理してみると、1年3ヶ月も過ぎるころに心を閉ざしてしまうのは
夏の迷い寝で眠れずにいろいろな事を考えてしまうから仕方ないことなんだ、
と、そういう事を言っているのか?

つまりは彼女の心が閉じようとしている。

いや、違う。
この憶測は間違っていなければ困る。
最初に彼女と会ったのがいつか。
考えない。
汗が垂れるのは蒸し暑いからで、耳の奥がキーンと鳴るのは静かなせいだ。

ともかく今日も平和だった。
明日も平和だろう。
そしてなんとなく、明日必ず彼女に会おう。

後書き

ビビンバ吉田です。
こっちに投稿するのが久しぶりですネイ。

心の乱れとはというこのシリーズも
飽きずにちまちま書いております。

一度きちんと中〜長編にしたいと構成や世界観を
考えて書き出してみるのですが
どうも何かが違ってて、消すというのを繰り返してます。

難しいですなあ。
ただ、書いてて一番楽しいのでいつか書き切りたいです。

ぱろしょ出張所 というブログの方でもたまに更新してます。
よろしければそちらもどうぞ−。

この小説について

タイトル 心の乱れとは 〜第27乱〜
初版 2012年6月18日
改訂 2012年6月18日
小説ID 4399
閲覧数 6011
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