Poem Shot<とある日の、過去からの巧妙なる陰謀との対話>

どれくらい遠い過去に遡ればいいのだろうか?
俺は「いつから」このことに拘るようになったのであろう。実際、思い出せない、始まりはいつであろうか。
もしかしてこれは俺に限定されない、万人に共通する疑問なのであろうか? その事さえも解らない、どうしてだろう。
目の前は暗くも無ければ明るくも無い部屋。つんと澄ました時計の針が、今午前4時を摺り足で通りすぎた。
耳を澄ませなくてもYouTubeからのジャズ・メロディが勝手に流れている。
ドラムにトランペット、ピアノとウッド・ベース、静かだがそれぞれの個性が主張する賑やかしい演奏だ。
これらは俺のようにあての無い人の魂に向けて、頼んでもいないのに好い曲を揃えていやがる。相当に懐かしい曲だ。
これらの曲の持つビューティフルはいったい何なのだ。俺にとって、このミュージックとの出会いにどれだけの意味がある。
それをいつもと言ってしまえばそれまでだ。人の眠りにつくべき時間に起き上がり、目的もなく考えている。
地球上のこの時間帯に、いったいどれだけの魂が同じ考えを共有しているのであろうか? 俺には解らない。
だいいち人間が思考力を身につけなくてはいけない道理を、最初に義務付けた野郎は誰なのだ!

俺はいったいどこに向かっているのだ。

この夜の狭間でどれくらい俺は、懺悔をすればいいのだろうか?
ここまでの全てと言っていいくらいに、俺は偽りの海に漂った。正直者の肉片を顔にかぶり、虚栄の笑顔を身につけて。
そう言えばそれらは習わなくても、たぶん産まれる前から一緒だったと思う。
この卑屈さは何なのだろう。うろたえるほどに臆病になる時がある。この脆弱な魂は俺だけのものなのか?
そして「この世に俺だけか」と疑う輩は、果たしてどれぐらいいるのであろうか、それともいないのであろうか。
誰かに問い掛けるほどに、俺はシャイな勇気など持ち合わせてはいない。
それに、
それで好いように思い込んでいる俺が、先程から隣で赤いベロを出している。

・・・・静寂・・・・静寂・・・・

深々と雪でも降りそうな夜。
すりガラスの窓を開け放つと、宇宙からの冷気が一挙に浸入して私の小部屋を凍らせる。
佇む俺の肉体は瞬時に硬直して動きを止める。だが、俺の内側のマグマは侵される事を知らない。
たとえ相手が、宇宙の果てまでを蝕しする強靭なデビルであっても、俺は決して死なないだろう。
きっと、宇宙と言う横暴な不思議に、唾を飛ばして嘲笑ってやる! 俺は死なない! と。

宙(そら)が満天の星屑に満たされているかぎり、何処かで誰かが呼びかける、この俺に。

孤独だとか一人ぼっちだとか言わなくても、宙は全ての命を孕んでいるに違いない。
大洪水で多くの人々が叫んでいようが、大干ばつで多くの子供が餓死しようが、知らぬ顔をしてただ抱え込む。
俺はそんな宇宙(おおぞら)が大好きだ。ニヒルで寛大な仏のように振舞う、俺はそんな宇宙が大好きだ。
感極まって殺してしまいたいほどに、宇宙(あなた)が好きだ。

どれくらい遠い過去を目指せばいいのだろうか?

いつかきっと俺は、『元初(がんしょ)の時間』にまで登りつめて、イノチのカラクリを暴いてみせる!


H24/12/12

後書き

この詩(死)にはあまり近寄らないで下さい。
非常に危険です。

この小説について

タイトル Poem Shot<とある日の、過去からの巧妙なる陰謀との対話>
初版 2012年12月12日
改訂 2012年12月12日
小説ID 4438
閲覧数 598
合計★ 5
そら てんごの写真
ぬし
作家名 ★そら てんご
作家ID 675
投稿数 30
★の数 106
活動度 7730

コメント (2)

★堀田 実 2012年12月13日 3時47分34秒
読みました。凄いですね、感銘を受けました。
音楽を通しての内面の語りから宇宙にジャンプするような表現方法ができるなんて素晴らしいと思いました。
仏教の神仏が現代的に宇宙に置き換えられているように感じます。いつか出版が決まったら教えて下さい。
そら てんご コメントのみ 2012年12月19日 8時07分24秒
堀田 実さん
過大すぎる感想を戴き、少々戸惑っています(笑)
即興的に深く考えずにできたものの、言葉がストレートでメッセージ色の強すぎがあるかも知れません。
おそらく抵抗感を感じる人の方が多いように作者的には思っています。
好き嫌いがハッキリと分かれる作品かも。
でも、本人的には巧みな比喩力がもともとありませんので、これも一つの個性と言い聞かせて、がんばります。ありがとう。
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。