暗殺委員会 - 夏日の音色

キルアルカ
 僕の長い長い夏休みが幕を開ける。それは淡い水色一色で淡々と描かれていた。
 八月、炎天下のもと僕は遠く離れた従兄弟の家に泊まり込みしていた。夏休みとは良いものだ。
 従兄弟が突然走り出す。僕はその背中を追いかけていく。太陽はジリジリと焼き付けるようにコンクリートに反射して、陽炎が揺らめいていた。
 
 僕の名前はサリュー=エヴァン。西暦4356年生まれの18才。あれから世界は至って平凡に暮らしていた。
 昔と違うところは技術面くらいだろう。空を飛ぶ車、光の速さのジェットコースターなど僕らの時代では珍しくもなんともないような世界だった。
 
 そんな僕が体験した、14才の素敵な初恋。彼女とは切なくて、甘くて、痛い恋をした。

 


僕らの恋はきっと



小さな、小さな存在。




従兄弟と走っていた時に、白いワンピースにレースの傘をさした女の子を見かけた。
 その時は何も気にしなかったが、彼女がずっとこちらを見ていたので僕は夜中に家を抜け出し、コッソリと彼女に会いにいった。
 
 従兄弟の家は僕の住んでる街より技術が発展していなくって、自然体のような木々で家ができていたから彼女もきっとこの辺の子なのかな、と思っていた。

「どうしたの?」

僕が声を書掛けると彼女はくるくると傘を回しながら「こんにちは」って言った。
 腰くらいまである長い髪、大きな紅色の瞳、清潔感のある白い服に似合う白い肌。
 今思えば、相当な美人だった。

「君、いつもここに来てるの?」

「うん。」

「何しに来てるの?」

「・・秘密」

 彼女は人差し指を口にあて、僕に笑いかけた。僕は胸がドキドキしてしまって、彼女の顔をまともに見られなかった。

「あなたの名前は?」

 彼女に聞かれた。まるで水が透き通るような綺麗な声だということを覚えている。

 僕はなんとなく、両親のことを思い出しそうになっていた。
 僕の両親は、僕が幼いころ離婚した。父と母は離婚するその日まで、二人の関係が壊れていたことを僕に悟らせなかった。
 父と母のどちらかが愛を失ってしまったのかは解らない。あるいは、愛自体が自然に色あせてしまったのかもしれない。
 
 どちらにせよ、離婚届けにサインした後で、僕の選択を待っていた両親は
、その時、僕が生まれてから初めて夫婦ではなくなっていた。

 青ざめた顔で静かに座っている母は、ぞっとするほど美しかったし、
 苦い薬を飲んだ後の表情を作っている父は、はっとするほど素敵な大人に見えた。

 僕は見知らぬ男と女を見ているような気がして、呆然としていた。
 僕はこの見たこともない男と女と共に、何年も暮らしてきたのだと思うと、とても不思議な気がしてならなかった。
 僕は、少し迷ったのちに父のほうをおそるおそる見て微笑んだ。その時、母は眉をしかめて苦しさに耐えているようだった。

 僕は母だって好きだった。でも、父と一緒に生活していくことを選んだ。だって僕も父も男だったから。
 そして、僕の選択は正しかった。家を出るとき、母を迎えに来たのは若い男の人だった。母は決して幸福そうには見えなかった。だけど彼女は、幸福そうに見えた僕たちとの生活よりも、そちらのほうを選んだのだ。

 時には、不幸のほうを選ばざるを得ないのだなあ、と、僕は寂しげな後ろ姿を見てそう思った。
 男と女のことに関する限り、時には幸福よりも不幸のほうが人を引き付けるものだということを僕は、その時、学んだのだった。

 少女の表情を見て、僕はそのことを思い出したのだ。子供っぽい質問をする僕を彼女は優しく微笑みながら返す。その時の横顔には、あのときの母と同質のものがうかんでいた。
 それは、男と女をよく知らない僕を恐がらせ、そして、引き付ける。
 少し、危ない気がする、と僕は思う。それなのに、体に悪い煙草を吸う人たちが、格好良く見えるのと同じように、僕をとりこにしてしまうのだ。

「僕はサリュー・・。サリュー=エヴァン」

「私は凍地 愛。『愛らしい』の方の愛。」

彼女からはとても良い香りがした。

「君の家はどこ?」

 彼女は後ろを指指す。

「後ろ・・・・?」

 しかし後ろは森だ。

「過去だよ。私の住んでるところは」

「かっ・・過去??」

後書き

 はじめまして、キルです。これは未来少年と過去少女の素敵な物語。

刻を越えても、君を愛すよーーーー

この小説について

タイトル 夏日の音色
初版 2013年2月11日
改訂 2013年2月11日
小説ID 4459
閲覧数 678
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コメント (1)

速浜風香 コメントのみ 2013年3月4日 17時30分11秒
よっ リア友きたよ~ 続きが気になる・・・
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