勇者→貧乏魔王 - 再会−魔王と勇者−

「魔王様! 敵の軍勢を確認しました!!! 勇者とその仲間だと思われます!!!」五日後、俺達魔王軍は、魔王城を出発し、大陸の南東を目指し歩いていたが、もう勇者を発見したか。早いな。
「そうか、わかった。ご苦労だったな。」
「はっ、そんな言葉、私には身に余ります。」幹部の手下が、恐縮、といった感じで礼をする。
「引き続き、皆を引っ張っていってくれ。頼んだぞ。」
「はっ!!!」そういって、多くの軍勢の指揮を執る。全く、俺は勇者のままだったらこんなやつらと戦わなくちゃならなかったのか···。多いくせに、一人一人の戦力が高い。めんどくさかったな···。
「全ては魔王様のため!!! それと、俺たちの家族のためだ、いくぞ!!!」
「おお!!!」気合いの入った声が聞こえる。悪魔にも、純粋な心があったのか―いや、これでは悪魔への偏見だ。こう言うべきか? 悪魔は人間よりも純粋かもしれない。家族を思い、養うため、汗水流して働く。…まあ、方法は置いといて。
もし俺が勇者のままだったら、コイツらを理由も知らず斬り殺す所だった。生活に苦しんでいて、仕方なく盗みをしていた奴等を。実は、誰よりも自分を犠牲に出来るコイツらを。
そんなこんなしているうちに、勇者とはどんどん近くなっていく。本当に戦うべきなのか? コイツらはなにも知らず、本物の魔王である勇者を殺しに行くのか? 金のためだけに? 本当にそれでいいのだろうか?もっと戦わずに解決出来ることは無いのか?
「ついにきたか勇者よ!」あれ、これ俺の台詞。誰が···ってあの幹部か。
「俺達は訳あってさっさとお前らを倒さなければならない。皆のもの、行くぞ!」挨拶も手短に、魔王の軍勢は一斉に突撃した。俺は事前に、

「いいか、魔法使いはポンコツだ。注意するのは剣士の攻撃だ。あとは···わかってるよな?」
「「「「勇者だけを狙え!!!」」」」よし、よくわかっているじゃないか。

とまぁ、こんなことを言っておいた、が···その軍勢は動いた直後、止まってしまった。まるで物凄いオーラを感じたかのように。ざっ、と勇者が通るところに道が出来る。皆勇者を恐れている。
「うっ······!」物凄いオーラだ。ただ、これは勇者のような正のオーラではない。どこか、正のオーラを打ち消す、負の、暗いオーラを発している。
「おい、魔王様よ、お前、勇者を襲って金を奪おうって考えか? 甘いな。」そういって、何をするかと思えば、俺の方へ近づいてきた。

「ふざけるな!!!」ばしぃぃっ!!! 勇者―本物の魔王―は、俺を平手で叩いた。
「コイツらは俺の大事な手下だ!手塩にかけて育ててきたんだ!罪を犯すな、人を襲うな、そんなことは散々言ってきた。それでもやっている。だから、だから俺は、皮肉にも勇者になってみたい、なんて思っちまったんだ! 仲間にも裏切られない、美味いメシも喰えるし、持て囃されるし楽しいし。いいことだらけだ。だから俺は、このまま勇者でいる。そして魔王、お前を倒す!! 」
そんな。俺は、そんなこと思ってもみなかった。持て囃されることをプレッシャーにしか感じなかった。期待が重すぎた。だから俺は、魔王になりたいと思ったんだ。魔王であるからには、勇者にひれ伏す訳にはいかない。

「せああぁぁぁっ!!!」俺と勇者は、一旦距離をとって、同時に飛び込んだ。剣と剣がぶつかり、鍔迫り合いになる。もう、どちらにも余裕はない。あるのは、勇者でいたい、魔王でいたいと言う欲望だけだ。どちらも、一歩も引かなかった。しかし、ここは勇者が不利だ。力は互角。ただ、精神力が違いすぎる。勇者は個人の思いだが、魔王は、それこそ手下全体の心を、願いを背負っている。
「やめだ。こんなことしたって、意味がない。」勇者―本物の魔王の方の声だった。
「ここで俺がお前を倒してもたおさなくても、俺の勇者生活は終っちまう。お前もそうだろ。」思わず剣から力が抜ける。カラン、シャリン。二振りの剣が地面と接する。それはそうだ。要は金なんだ、勇者の首なんか、一銭の価値もない。必要な金を手に入れ、帰るだけだ。
「ここには手下を養うだけの金はある。のんびり暮らせ。」そういって、俺に麻袋をわたす。しかし、俺は一抹の疑問があった。なぜ俺はあの時すっからかんだったのに、金が貯まっているんだ? そう思って、俺は考えを巡らせる。働かなければ入ってこない金額。何故こんなに金銭的な余裕があるんだ?
···ひょっとして。俺は、あるひとつの考えを口にする。

「お前、ひょっとして魔王に戻りたいんじゃないのか?」
「······ッ!」
「手下が心配で、こっそり働いて、金貯めてたんだろ?無理するな。俺も最近···と言うか、魔王も大変だなぁって思ったんだ。手下のこと全員を気遣わなきゃいけないしな。お前は、今まで気遣ってきたんだろ? だったら続けろ。自分でやって来たことを途中で投げ出すな。まぁ俺は言えないけど。」
「ふふ···、はははははは!!!!!!」
「な、なにが可笑しいんだ!」
「いや、その通りだなぁって、思ったんだよ。確かに、コイツらを育てたのは俺だ。だから、俺はコイツらをこれからも育てていかなくちゃいけない。当たり前だよな。俺、魔王に戻る。確か、戻りたい、って思えば戻れるんだっけか。よし行くぞ、」

(元に、戻りたい····。)瞬間、視界がブラックアウトした。

目をあけると、すっかり元に戻っていた。なにもなかったかのように。
「あ、勇者さーん、そんなとこにいたんですか?出発しますよ。」少女の声。後ろにはみんなの姿がある。俺は一つの提案をしてみる。
「なぁ、魔王を倒さなくてもいいんじゃないかな?魔王関連では人は殺されてないし、盗まれた金額も少しだ。だからさ、俺達が援助すれば、もう、悪さはしないと思うんだよね。」
「でも、王は殺されたんじゃ···」
「ああ、あれか? あれはな、病気で死んだだけだ。考えても見ろよ、歩けないじじいが戦場に出て、魔王に攻撃されるか?」
「え、じゃああれウソ?」
「ま、そうなるな。罪のないやつを倒す必要はない。むしろ世界全部の人が仲良くなればいいじゃないか。」
「それもそうだね。じゃあ、渡しにいこうか、魔王城まで。」
「「「おう!!!」」」今日も、俺達は、歩く。魔王城まで。しかし、以前の殺伐とした雰囲気は、穏やかなものに変わっていた。

おしまい!!!

後書き

おわりかた、適当に見えるかもしれませんが、僕なりにまとめてみた方です。許してください!
次のシリーズも書けたらいいなぁ、なんて思ってます。
では

この小説について

タイトル 再会−魔王と勇者−
初版 2013年5月7日
改訂 2013年5月7日
小説ID 4501
閲覧数 1161
合計★ 2
川原晴輝の写真
ぬし
作家名 ★川原晴輝
作家ID 812
投稿数 7
★の数 21
活動度 2195
川原晴輝、中二やってます。AKBの渡辺麻友とラノベと読者さんのコメントが大好きです。どうかコメントは甘口で宜しくお願いします。

コメント (2)

★齋岐ナユ 2013年5月8日 1時02分52秒


なんだか凄く文章力がUPしてませんか?(笑

投稿初期段階の作品からチラホラ見てましたが、徐々にテンポが『美味しく』なってるように思えます。



ただ、キャラクターやストーリー設定が作者サマのセンスに寄りすぎていて、読者としてはなかなか共感しにくい部分も多数ある気がいたします。なので、読み手が自力で再現(頭ん中でね)出来る位、登場人物ひとりひとりの設定(体型・顔・性格など)を文中で綿密に表現すると、なかなか読みやすい作品になるのではないかと思います。

あまりにも長すぎる説明になってしまった、みたいなトラブルには気をつけて(笑


加えて、作品のメッセージ性を、読者の不意をつくようなグッドタイミングなシーンでさりげなくアピールするのも、作品の味を良くする方法のひとつです。

小説は料理です。(笑)


……と、一年間長編をほったらかしにして消えていた、どうしようもないモノカキが呟いてみました(笑



私は、あらかじめ、あらすじ・ストーリー展開・人物設定・テーマなどを紙に書き出してから執筆作業に移っています。ぜひ、試してみて下さい。



若干の「上から目線」は、どうぞお許し下さい。


次回作、楽しみにしています。

さいきなゆ。


p.s

某カノジョにも、書いた作品を見せてあげてはどうですかね??(笑

★川原晴輝 コメントのみ 2013年5月8日 5時35分42秒
コメントありがとうございます、川原晴輝です。
どちらかというとどんどん突っ走って書いちゃうので、説明不足の所や無駄な所が多くなってしまいましたね。
これから、もっともっと頑張っていこうと思うので――乞うご期待!!!
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