御影石幻明の日常生活 - 御影石幻明の日常生活 0日目

登場人物紹介(変な名前が多いのは気にしないように。作者の趣味です):
 
御影石幻明(みかげいしげんめい):主人公。高校二年生。男。何故か銭湯に行くのが好き。あまり人のいない時間帯をねらうのが得意。時計屋の長男。
 
鏡柱良(かがみばしらりょう):主人公の相方(?)。男。幻明と同じクラス。名前の通り良識があるが、基本的に冷たい奴。幻明に銭湯によく連れて行かれる。剣道大好きっ子。
 
薬屋小夜子(くすりやさよこ):主人公の友人。女。自分からはあまりしゃべらない。何を考えてるかよくわからない。きっと『心の乱れとは』の彼女みたいな性格。故に友達があまりいないエロゲー的なキャラクター(身も蓋もない表現)。
 
白川秀一(しらかわしゅういち):銭湯でバイトをしているお兄さん。大学2年生。大学で人形劇同好会に所属。思考がとてもアレな人。
〜〜〜〜〜

生活パターン1 〜小夜子の昼食〜
「幻明、4時間目終わったよ」
俺は隣の席の良に言われて顔を上げる。
「……おお、光陰矢のごとしとはまさにこのことか。授業に集中してたから終わったことに気付かなかった」
「寝てただけだろ。アホなこと言ってると昼飯食べる時間なくなるよ」
「……的確なつっこみありがとう」
「どういたしまして」
俺はつっこまれて少しヤな気分になりつつ右斜め後ろの席に座っている小夜ちゃんの方へと目をやる。
「………ちょっと小夜ちゃん。それ、何……?」
「スイカ〜」
机の上には大玉のスイカがまるまる1個のっていた。
「……昼飯?」
「スイカスペシャルぅ〜」
小夜ちゃんはウケをねらっているのか、本気なのかわからない。
毎度意表をつくことをするのでこっちも慣れているはずなのだが、それでもやはりひきつっていた良が聞く。
「もしかして、塩も持ってきたとか…?」
「無論」
上着のポケットから塩の瓶が出てくる。
さらに小夜ちゃんはバッグから包丁を取り出して(銃刀法違反)まっぷたつに切り、軽く塩をかけた。
「……」
「…」
俺と良が言葉がでてこないまま彼女を呆然と見ていると、
「塩、欲しいの?」
「いや、どうせならスイカの方くれよ」
「あ、そうか…。じゃあ御影石くんはスイカスペシャルの”シャ”の部分、良くんは”イカス”の部分ね」
小夜ちゃんは俺らに少しずつスイカスペシャルをわけてくれた。
「あ、ありがとう小夜子ちゃん。それじゃいただきます」
「でも小夜ちゃん、昼飯それで本当に平気なのか?」
「お弁当は別に持ってきてある」
それを聞いて俺も良も安心した。
「そういや小夜子ちゃんって、いつもは購買とか学食じゃなかった?」
「ああ、そうだよな。イヤじゃなかったらどんな弁当か見せてくれないか?」
「いいよ」
そういって小夜ちゃんは再びバッグからごそごそと探し、弁当を机にとりだしてフタを開ける。
「え?白飯じゃないか。おかずないのか?」
その弁当箱には何ものっていない白飯のじゅうたんが敷かれていた。しかし小夜ちゃんは反論する。
「白飯じゃないよ。酢飯
「おかずは?」
「スイカ」
「主食は?」
「酢飯」
「飲み物は?」
「スイカの汁」
「………」
「……」
「……」
小夜ちゃんはもくもくと酢飯を食べ始めた。
俺と良はスイカをしゃくしゃくと食べつつ、『食べ合わせ』について考えていた。


生活パターン2 〜あんきも論議〜
「あんきもマン(兄)参上!」
「6点」←100点満点
「……」
良は俺が場を盛り上げようとして言ったことに対し、厳しい採点をしくさった。
「あんきもマンって……。ほんっとに幻明、アホだね。意味不明だし。特に面白いワケでもないし」
「……」
俺は良から目をそらすと、ふと小夜ちゃんと目が合った。
すると、小夜ちゃんは自分を指さして、
「(妹)」
話がわかると思った。


生活パターン3 〜小夜子の疑問〜
「御影石くんってどこの森の出身?」
「は?森?」

生活パターン4 〜銭湯に行く〜
「こんばんはー。はい料金」
いつものように良を無理矢理連れて銭湯にやってきた。
中に入って何歩か奥にはいると銭湯らしい湿気の多い空気を感じる。
「やぁ幻明くん。いつもながら客のいない時間をねらうのうまいねぇ」
番台の上に座ってノートパソコンを開いているメガネの兄さんに320円を払う。言うまでもないが320円は貢いでいるのではなく、銭湯の料金だ。
「こんばんは、秀一さん。はい、320円」
良もあらかじめポケットに入れておいた料金をそのまま取り出して払う。
「秀一さんはほんと、相変わらずパソコンばっかやってますよね」
「まぁ、趣味だから。それに番台にいるだけの時間帯ってのは暇なんだよ」
メガネお兄さんこと、秀一さんはキーボードでなにやらカタカタと打ち込んでいる。
「で、今日は何やってるんですか?」
良が聞く。
「人形劇のシナリオを書いてるんだ」
「へぇ、ちょっと見せてくれませんか?」
「ああ、いいよ」
良がノートパソコンをのぞきこむのにつられ、俺も横からのぞく。良は、画面を見て一節を声に出して読む。
「『ナレーション:海賊Bは思わず船体にめりこもうとしてしまった。』。『海賊B:失敬失敬。』」
「なんすかこれ」
「ネタ」
俺がつっこむと秀一さんは二文字であっさり答えた。
「だって、シナリオっていったじゃないですか」
良も俺に続いて言う。
「いや、こういうネタをつなぎあわせて一本のシナリオにまとめるんだよ、僕は」
「でもこれって別のとつなげられるか疑問なんですけど……」
「大丈夫。海上交通関係の話になる予定だから。きっと
知的なその笑顔といい加減な言動。秀一さんらしかった。
海賊が『失敬失敬』などと言う場面がどう使われるのか、是非とも知りたいものだ。
「ま、いいや……。そんじゃ風呂入ってきます」
俺と良が番台を離れると秀一さんはまたキーボードでカタカタ打ち込み始めた。
無意識なのか、秀一さんは打ち込むと同時にシナリオを口に出しているのが聞こえる。
「『海賊C:マレーシアってどこネシア?』 『通行人:そこの角を曲がってすぐです』 『海賊C:ありがとうございまネシア』」
秀一さんは至って真顔だった。
あれも一種のポーカーフェイスとみなしてよいのか、風呂につかりながら良と考えてみようと思った。

生活パターン5 〜小夜子のさらに疑問〜
「御影石くんって水戸黄門のお供?」
「違うよ」

生活パターン6 〜小夜子のもっと疑問〜
「御影石くんって、縦?横?」
「あえて言うなら縦かな……」←疲れてきた


生活パターン7 〜月の輪熊とキタキツネ〜
「俺、実は鬼の一族の末裔なんだ」
「すごーい」
「……」
良の、信用してなさ炸裂の返答。すごいと言いつつ真顔なのがさらにムカつく。
「僕も実はペンギンの一族の末裔なんだ」
「すごーい」
「……」
すごく不毛なやりとり。
しかもどっちかっていうと鬼よりペンギンの一族の末裔の方がインパクトがある気がする。
「ときに良、さっきから小夜ちゃんが挙動不審なのは気のせいか?」
「いや、僕も気になってた」
「正確に言えば何故しゃがんで机の下にもぐり、2体のぬいぐるみを手で操ってひょっこり机の上に出して俺らのしゃべりにあわせてぬいぐるみ劇を繰り広げているかだな」
「うん」
小夜ちゃんは俺のしゃべりに月の輪熊、良のしゃべりにキタキツネの動きをシンクロさせていた。当の本人はもちろん無言。
「その体勢、疲れるだろ……」

良の後ろの席、つまり俺の斜め後ろの席をのぞきこむと、膝をつき頭が机の上に出ないように背中を丸めているのがわかる。

「……」(笑顔で答えてる)

まぁ、意図はつかめないが、とりあえず楽しんでいることが伝わってきたので、俺は努めて話を続けようと思った。
「おい良。月の輪熊対キタキツネ戦を執り行おう」
「ん?……ああ、いいよ」
良は俺のこの上なく簡単な説明だけで何をやりたいか理解したようだ。さすが親友。
「良ギツネ!俺を倒してみろ!グォーーッ!!」
「幻明グマ、容赦はしない!」
小夜ちゃんは幻明グマに雄叫びポーズをとらせ良ギツネにはビシッと幻明グマを指ささせる。
「クマチョップ!」
幻明グマが良ギツネにデシッとチョップをかます。
「うう……やったなっ。お返しだ!キツネキーック!」
良ギツネがびよーんと飛んで跳び蹴り。幻明グマはふっとばされる。
「なかなかやるな…。…いくぞ、クマ的シャケ漁攻撃!」
幻明グマは良ギツネを狩るように両前足でがしゅっと攻撃する。良ギツネはきっと大ダメージだ。
「くぅ…っ、今のは効いた……。しかしまだまだ、キツネ爪!」
小夜ちゃんはアドリブで良ギツネに何度かフェイントを交えさせて幻明グマを狩った。
幻明グマは痛そうにいったんうずくまる。
「キツネのくせに…。これならどうだ!」俺が技の名称を言う前に幻明グマは額に右前足をやる。だが、俺が想像していた技の型のイメージとぴったり一致した。
「いくぞっ!月の輪サンシャイン!
良ギツネはビビビーッと電波をうけたがごとくしびれたようになる。
そしてコンコンといかにもキツネっぽい咳き込みをして、立ち上がった。まだ戦闘可能らしい。「月の輪なのにサンシャインとは……。だがこれでとどめだ、必殺!『北の国から』!
小夜ちゃんは”あのテーマ”を歌い、それにともなって発生したらしい良ギツネの持つ理解不能な力によって幻明グマは倒されてしまった。
「…ちっ、俺の負けだ……。本物の狩猟者はお前だ……ガクッ」
よくわからないセリフを残して幻明グマは机から姿を消した。
次いで、良ギツネもひっこめて、今度は小夜ちゃん自身が机の下から出てきた。
「ふぅ、疲れたぁ」
そういう小夜ちゃんはうれしそうだ。
「もう少し下準備ができてれば面白いバトルが出来たんだが、即興じゃこんなもんか」
「ううん、充分面白かったよ」
俺からいわせれば高校生にもなって学校でぬいぐるみ劇をやろうと思い立った方がよっぽど面白いと思うが。
「でも、なんで突然こんなこと?」
イスに座ってぬいぐるみを机に置くのと同時に良が聞く。
「昨日たまたまお店のショーウィンドウに並んでるの見てつい買っちゃって。それで」
「へぇ、2つとも昨日買ったばっかりか」
道理でやたらきれいなわけだ。
「買ったのは3つだけどね」
小夜ちゃんは新たにポケットから青い毛並みをした猫のぬいぐるみを取り出した。
「で、この2つあげる」
ずぃっと、俺の方に月の輪熊、良の方にキタキツネを差し出す。
「へ?くれるの?」
「2人ともこのぬいぐるみとシンクロしてたからね。きっとぬいぐるみも2人にもらわれた方が喜ぶよ」
「……じゃあもらうか。ありがとう、幻明グマは俺の分身として扱わせてもらうな」
「小夜子ちゃん、ありがとう。でも、ぬいぐるみなんて、何年ぶりに触ったかな……」
幻明は月の輪熊のぬいぐるみを手に入れた!
良はキタキツネのぬいぐるみを手に入れた!
「これで今度から3人ぬいぐるみ劇が出来るね♪」
小夜ちゃんが高校2年の健全な男子にとんでもないことを提案する。
「え〜〜?!俺らもやるクマか?やりたくないクマ〜〜!
「むしろやる気満々だね、幻明」
「何故わかるクマか」
「その言動から察してわからないほうがどうかしてるよ」
「む……しまったクマ」
「もういいよ」
良に呆れられた。
「じゃあぬいぐるみ劇やってくれるんだね♪」
高校生でぬいぐるみ劇をやろうと思い立つ娘なぞそうはいない。それを考えると小夜ちゃんはやはり危篤、もとい奇特だと思う。もしくは単におバカさんなのかもしれない。
「まあ、周囲の目がかなり気になるけど……良、お前もやるよな?」
「幻明がやるってんなら」
良も半ば投げやりな返答をした。
こうして俺らは齢17にしてぬいぐるみを扱うことになった。
少し恥ずかしいが、20を過ぎてもぬいぐるみやら人形やらを集めまくってる秀一さんを考えてみると、まだまだマシだと思った。

生活パターン8 〜小夜子のまだまだ疑問〜
「御影石くん?」
「存在そのものに疑問を持たないでくれ」

生活パターン9 〜気になる秀一〜
がらがら、ぴしゃん。←ドアの開け閉めの音
「秀一さん、秀一さん!大変です、大変です!」
「幻明くん。どうしたんだ?」
俺はいつもように銭湯の番台に座りつつパソコンをやってる秀一さんの隣まで来て立ち止まり、
「…………」
ニヤリ。
「…え?何……?」
たったったった……。
がらがら、がたたん、がたっ、がたっ、ぴしゃん。←ドアがちょっと開け閉めしづらかった音
「ああっ!幻明くんっ!何、何が大変なんだ!気になるじゃないかーー!!」
俺は気になっている秀一さんを後目に銭湯を出た。
俺って悪者だと思った。

生活パターン10 〜小夜子のばっちり疑問〜
「大地の精霊って聞くと万難地天より先に魔装機神ザムジードが思い浮かぶ?」
「どっちかっていうと、そうだな」
「だよね♪」
「2人とも変なところで意気投合してるねぇ……」


後書き

幻明君シリーズの一番最初のです。
これが書かれたのは2000年の11月……。5年も前だよ?!
しかも習作というか試作品なのでキャラクターの性格があやふや。
天葉はこの回ではまだでてませんでした。
つーか昔のネタは見直すのも恥ずかしい。うわー

この小説について

タイトル 御影石幻明の日常生活 0日目
初版 2000年11月11日
改訂 2005年7月12日
小説ID 458
閲覧数 1414
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ビビンバ吉田の写真
作家名 ★ビビンバ吉田
作家ID 3
投稿数 148
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