根暗川 は生徒会長になりたいわけではない

『僕はこの学校の伝統を終わらせる努力をする』

そのひと言はその場にいた生徒、先生、全ての人間の耳に、心に届いた。
根暗川 、(ねくらがわ ひかる)彼は第100回生徒会選挙、生徒会長立候補者。誰よりも気だるく誰よりも醜く演説し誰よりも強い意志を示した男。

第100回生徒会選挙。

「…と、言うわけで私はこの学校生活をより良いものにし生徒会長として創立100年と言われるこの伝統ある学校に相応しい1年を作ろうと思ってます!御清聴ありがとうございました」
「では次の立候補者、根暗川さんよろしくお願いします」
「…はい」

彼は緊張感なく爐い弔皚瓩鮹里蕕覆た佑ら見てもいつもどおりだと解る気だるそうな態度で立ち、堂々とあくびした。

『生徒会長立候補者、根暗川 です。よろしくお願いします』
『他の立候補者の方々の意見素晴らしいと思いました』
『素晴らしくつまらないありきたりな演説をありがとうございました』

静かだった体育館が無音で満たされる。

『では演説を始めます』
『いきなりで悪いのですが僕は生徒会長になりたい訳ではありません』
『爛燹璽疋瓠璽ー瓩砲覆蠅燭い里任后この学校の雰囲気をつくる』
『よく言うじゃないですか。ムードメーカーは人気者で元気があって友達が沢山いてかっこよくて』
『もちろん僕は人気者でもないし元気がある訳でも友達が沢山いる訳でもありません。ましてやかっこいいなんて事ももちろんありえません』
『その概念を壊したい』
『ムードメーカーは雰囲気をつくる者だ』
『僕は不人気者で元気なく友達も少なくかっこ悪くムードメーカーになりたい。そしてこの学校にいる全ての生徒。先生方』
『全員がムードメーカーであると胸をはって言いたい』
『この学校では全員が雰囲気をつくっているんだ』
『そう言いたい』
『その為に生徒会長に立候補した』

『よく1人が変わればみんなが変わると言う』
『それは嘘だ。まず“みんな”って誰だよ。変わった1人の周りの人間か?そいつのクラスメートか?』
『便所で独り弁当してる奴は“みんな”に含まれないのか?クラスで浮いたテンション高い奴は?生徒の為だと汚れ役でもある生徒指導をする先生は?』
『そいつらが“みんな”に含まれるんだとしたら、そいつらが変わったとしてお前らは変わるのか?』
『1人が変わってもみんなは変わらない』
『生徒会長が変わっても学校は変わらない』
『だが』
『1人が行動すればみんなは変わると』
『生徒会長が行動すれば学校は変わると』
『僕はそう思っている』
『僕はそれを証明する』
『たとえここで生徒会長に選ばれなかったとしても、だ』
『僕はみんなが変わるきっかけとなりたい』
『だから僕のマニフェストは』
『この学校の伝統をぶっ壊す』
『この学校の伝統を終わらせる』
『この学校の伝統は?』
『野球部と新入生だけが元気よくする挨拶か?』
『先生が見てる時だけ頑張ってるフリをする掃除か?』
『終われば絆薄れる体育祭か?』
『一部しか本気を出さない合唱コンクールか?』
『止めることのできない、止めようとする人すらいない噂話か?』
『汚く整頓された図書室の本棚か?』
『生徒の悪事を見て見ぬフリをする先生か?』
『キャンペーン中しかしない真面目な授業態度か?』

『そんなもんが伝統でいいのか?』

『違うだろ』

『違うだろ?』

『創立100年のこの学校を愛して卒業したい』
『学校を、だ』
『「2年と時のクラスは良かったー」「修学旅行は楽しかった」確かにいい思い出だ。だけど僕は「学校めちゃくちゃ楽しかったな」と。10年後、20年後、100年後も思い出すだけで頰が緩んでしまうような学校をつくりたい』
『全員がそう思える。全員が忘れる事ができない、忘れたくなくなるような学校をつくりたい』
『協力してくれ、とは言わない』
『一緒にやりたい』
『綺麗事かもしれないけど全員が主人公で全員がヒーローの学校を全員でつくりたいんだ』
『…丁寧な言葉を使った話ができず申し訳ありませんでした』
『御清聴、いや、ご静聴ありがとうございました』


ひとつ、またひとつと手を叩く音が増えていく。
体育館は初めて『指導されるのが嫌だから』ではない拍手で埋まった。
それは彼が目指した。いや、目指している《学校》への大きな前進だった。

彼は初めて人の心を動かし雰囲気をつくった。





この学校、創立100年の時だ。
不人気で元気なくかっこ悪い。ましてや友達なんてほとんどいない爛燹璽疋瓠璽ー瓩生徒会長になったらしい。
この話は噂と言うよりは伝説として今も生徒間、先生達の間で密かに囁かれている。

この伝説が薄れ無くなった時、この学校は彼がつくった伝統を伝統として残せているのだろうか。


今も校長室の引き出しに入っているアルバム。
その中に第100回生徒会実行委員メンバーの写真。
そのセンターにいるのは歴代生徒会長に類を見ない苦笑いで写真に写る根暗川の顔がある。
「まさか当選するとは」そんな声が聞こえてきそうな写真であった。

後書き

正直売名です。管理人様、違反であったり、気に食わなかった場合お手間かけますが削除の方お願いします。
Twitterは作者名そのまんま『@vega1187』
ぱろしょから来た、と言えばフォロバしまーす
fuyunokoharu0310@gmail.com
↑小説用のgmailです。コラボ、リク、アドバイス…と言ってもこのサイトはコメントできるからいいのかw

いつも書いてるサイトは『画像で1行小説』というサイトです。良かったら覗いてみてください。

この小説について

タイトル 根暗川 は生徒会長になりたいわけではない
初版 2015年7月4日
改訂 2015年7月4日
小説ID 4683
閲覧数 257
合計★ 0
vega1187の写真
駆け出し
作家名 ★vega1187
作家ID 932
投稿数 1
★の数 0
活動度 261

コメント (0)

名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。