omnibus Super Moon

omnibus  Super Moon

1、暗黒の淵(皆既日食)

物事がよく見える魔法を探しても、なかなか見つかるもんでもないし、諦めてしまえばこの世に彷徨い出た幽霊にさえ笑われるに違いない。無尽蔵な宇宙の拡がりなんて言われても、とても生きていることについては語ってくれない。一生かかっても数え切れない星空は、人を癒すことで手一杯だから、愚かな説教は絶対に無理だ。自ら命を絶つことほどに簡単ではないのが、生きていかなくてならない不自由であろう。いっそ自分以外に誰もいない空間にトリップしてしまえば、一週間の命を保つことさえ困難な状況に陥っていくだろうが、孤独程の悲しみを語るまでには到達できない。要するに個人は無責任な黒カラスの集団にも劣る微々たる命の集積に違いない。そんな気持ちに陥ってしまいそうな夕暮れ時に、涎を垂らしながら甘い囁きで夢に変えて見せるなどと宣う詐欺師の、忘れ形見のようなものには成りきれない事だろう。もはや清純な女などいない世界を彷徨っても、未来からの王子様が訪れようとしないではないか。凍りついた俺のリンパ腺を凍てつくタオルで何度かぶったならば、きっと優しい女は情熱を注いでくれるかも知れない。ちょっとしたアクシデントは一服の整腸剤で解決できるし、うたた寝をする野兎なんかに騙されちゃあいけないね。赤いお眼目は不倫の定番、きっと正気になれば骨の髄までとろけてしまう。アメリカ帰りのキュートな子猫たちが、抑えきれない腋臭をふりまきモンローウォークで歩く。指先につまんだ招待券をヒラヒラさせて、気休め程度のスカートハイテク、平和ボケしたチョイ悪おやじにチョチョイのチョイと魔法をかけて、でんぐり返ってお札に変える。すべてはタブレットの中に隠し持った四ギガほどの恋の手管、習わなくても慣れたもの、首に白く細い腕を回して、きわどいタイミングで自分撮り。シャター音は誰かの命を奪い、どこまでも悪魔の吐息は甘い。

2、光あふれる淵(スーパームーン)

ああ、又お逢いすることができましたね。

いったいあなたはどこまで慈愛に溢れているのでしょう。
世界中の孤独に対してわけ隔てなくしんしんと降り注ぐそれは、
もう那由他(なゆた)ほどの昔から、変わることなく粛々と艶やかに降り注ぐそれは、
誰にも諂う(へつらう)ことなく代償など微塵も求めないで、律儀に時間通りではありませんか。
下界の取るに足らない一握りの輩など素知らぬ顔をして、かまわないで通り過ぎればよいものを、
なぜにあなたはわけ隔てなく、神々しい光を降り注ぐのでしょう。

ああ、なんと穢れなき慈悲に満ちていることでしょう。

比べて食物連鎖の頂上に立った人類の、その渇きは絶えることなく欲望に走り、
挙句の果てには、人種不信の闘いに明け暮れて、底のない灼熱地獄をさまよい歩く。
地獄はこの世に存在するものであることを証明するために、きっと人が人を殺すのでしょうか。
何度も何度も過ちを繰り返して、何度も何度も懺悔を繰り返す。
そんな私たちに、あなたはいつまで光を降り注ぐのでしょう。
そんな私たちに、何をあなたは望むのでしょう。

いいえ、あなたは望まないのに、
今夜は世界中の人々が、示し合わせてあなたを見上げている。
数億の瞳が、天上に輝く古代から変わることのない奇跡を見ている。

そう、あなたの慈愛の引力で、海が大きく波打って、魚たちは飛び跳ねる。
ジャングルの奥地で数億の動植物が、あなたを見上げて祝杯を上げるでしょう。
ビルディングの狭間に佇む人々は、きっと赤く瞳を潤ませていることでしょう。
もしかしたら、原始の記憶を思い出したのかも知れません。
あなたという縁(えん)に触れて、人間を思い出したのかも知れません。

ああ、シャワーになって慈愛が降り注ぐ。
満天にスーパームーン。

H27・9・28


3、SF shot 古る〜い日本昔話  2012年10月20日(Sat) 作

昔々、あるところに正直者のお爺さんとお婆さんが、仲良く暮らしておりました。二人には子供がいませんでいた。それで隣村の意地悪爺さんに追い出されて、逃げ込んできた犬を飼うことにしました。名前をしろと名づけて可愛がりました。
お爺さんは毎日しろと一緒に、山に芝刈り出かけます。お婆さんはといえば洗濯が大好きで、毎日近くの川まで出かけます。
お爺さんは山にはいるたびに、可愛い女のまごっ子がほしいと、山の神様に祈るのでした。
お婆さんはお婆さんで川で洗濯をしながら、可愛い男のまごっ子がほしいと、川の神様に祈るのでした
その二人の願いが通じたのでしょうか、ある日お爺さんが山に入ると、サワサワと葉のこすれ会う竹林の中に、節がとっても光り輝く大きな竹があるのに気がつきました。
怖々とその竹の前まで近づいたお爺さんの目に、光る竹筒の中に誰かがいるような影が見て取れました。
そこでお爺さんは、丁寧に竹の節あたりを切りますと、何とも小さな躰に桜花の小袖で着飾った娘が現れました。
お爺さんが名前を訪ねると、まるで小鳥がさえずるような声で「かぐやと申します」と名のりました。

一方、お婆さんがいつものように川で洗濯をしていると、川の上流から大きな桃がドンブリコッコ、ドンブリコッコと流れてくるではありませんか。お婆さんは、その大きな桃に大変驚きました。川の中に入ってその桃を抱えようしましたが、どうにも大きすぎて抱え上げることができません。
それで大きな桃は何事も無かったようにドンブリコッコ、ドンブリコッコと川下に流れて行ってしまいました。

落胆したお婆さんは、洗濯物を抱えて立ち上がりました。
「あーあぁ、どうして川の神様は願いを叶えて下さらないのだろうか」と、しばれる両手に息を吹き込み、嘆き悲しみました。
すると足元で「お婆さん、お婆さん」と呼ぶ声がするではありませんか、お婆さんが声のする方を見ても誰もいません。
「ここです、ここです、お婆さん」思わずお婆さんがしゃがみ込んで、声のする辺りをよくよく眺めますと、水に浮かんだ大きめの木の葉の上に、幼い侍がすっくと立っているではありませんか。きっと木の葉の小舟で川の上流からやって来たのでしょう。
お婆さんが両手を使って木の葉ごとすくいあげて、小さな侍の名前を訪ねると「一寸ぼうし」だと名のりました。

その夜いろりを囲んで、お爺さんとお婆さんが自分達の孫として、かぐやと一寸ぼうしに一緒に暮らしてほしいと頼みました。
すると二人とも「私たちはそのつもりでやって来たのです。よろしくお願いいたします」と丁重に返事をいたしました。
お爺さんとお婆さんは大変に喜び、その日から二人を別け隔てなく大事に育てあげました。それで二人は瞬く間に大きく育ちました。

お爺さんとお婆さんが留守のあいだに、かぐやは慣れない手つきで掃除や夕飯をつくります。
一寸ぼうしは庭で自分より大きなナタで薪割をして、その薪でお風呂を沸かし、お爺さんとお婆さんが帰ってくるのを待つのでした。
その健気な姿を見たお爺さんとお婆さんは、涙を流して山の神様と川の神様に報告して、二人に感謝する毎日でした。

こうして7回目の冬がやって来る頃には、かぐやと一寸ぼうしは、すっかりお爺さんとお婆さんが見上げるほどに成長しました。
ある日、お爺さんとお婆さんは、大きく育った二人に対して「二人ともすっかり成人したのに、いつまでも子供の名前で呼ぶわけにはいけないだろう」と言い、器量良しの「かぐや姫」と力持ちの「金太郎」という名前を二人に与えました。そして離れた山里に行き、村人のすべてに二人をお披露目して回りました。

その村人の誰もが言うことには、毎年秋の収穫がすんだ今頃になると、鬼ヶ島の鬼が村里にやって来て、米や食べ物を取り上げて悪さをするので困っていると嘆くのでした。
「それなら私がその鬼退治をしましょう」と金太郎は約束をしました。それで村人たちは大変に喜び、鬼ヶ島への道中でお食べ下さいと、キビ団子と、村で大事に飼っていた雉と猿を、家来としてお使い下さいと差し出しました。するとしろも行きたいワンと吠えました。
お爺さんとお婆さんは、つつましやかに過ごせればもうそれだけで充分だと言って、薪や野菜売りで今までこつこつと貯めてきたお金を使い 、お爺さんは金太郎に若武者としての衣装と刀を買い求め、お婆さんはかぐや姫に十二単の着物を買い与えたのでした。

凛々しく育った金太郎は、ハチマキに丸く赤色の日の丸を描き、村人に見送られて旅立ちました。
お爺さんとお婆さんそれにかぐや姫は、金太郎が無事に帰ってくるように、お爺さんは山神に、お婆さんは川神に、そしてかぐや姫は月に向かって毎夜に祈るのでした。

鬼ヶ島では青鬼や赤鬼それに黄鬼が、どこかしこの村で巻き上げた酒や食べ物で毎夜に宴会を行っていました。
その鬼ヶ島に、金太郎は三日三晩で到着したのでありました。
早朝にたどり着いた金太郎と三匹の家来は、それぞれが手分けして鬼の寝込みを襲い、退治することになりました。
ところがよくよく数えて見るのですが、それはそれは数え切れないほどの鬼の数でした。それでも今さら引き上げる訳にもいかず、金太郎は「正義は必ず勝つ」と三匹を励まして立ち上がりました。

金太郎は鬼の一本角を素早い動きで切り落としていきました。すると角を切られた鬼たちは小さな蝙蝠に変化して、三々五々と海のかなたに逃げて行くのでした。
雉は目潰し攻撃です。猿はぴょんぴょんと岩から岩を移動して、鬼の背中に飛びついて引っ掻き攻撃です。犬はわんわんと吠えて、鬼に噛み付き追い詰めて海に落とします。
それでも後からあとから出て来る鬼の数は、いっこうに減る気配がありません。やがて金太郎と三匹の家来は疲れ果てて、後退するしか無い状況になりました。

すると岩穴の奥から大きな唸り声を立てて、ズシンズシンを足音を鳴らし、巨大な鬼が現れました。その鬼は2本の牙と額に大角を持つ怪獣です。その黒くて大きな鬼は、まさしく鬼の大将に違いありません。ゆうに8mはありそうな巨体の鬼には、金太郎の剣がまるで通用しません。雉も猿も犬までも、大鬼の吐き出す息で吹き飛ばされて、まったく手が出せないのでした。
ついに金太郎たちは断崖絶壁に追い詰められてしまいました。

その時、天空から大きな笑い声が沸き上がりました。金太郎たちが目を海の上に向けると、今まで見たことのない真っ白な船が、空に浮かんでいるではありませんか。よくよく見ると、その船の窓の中に人らしい誰かがいます。
そしてその人は空飛ぶオートバイに乗って、勇ましいテーマソングと共に、鬼ヶ島めざして颯爽とやってきました。

黒鬼が「お前は誰だ、邪魔立てすると承知しないぞ!」と牙をむき大きな声で叫びました。
すると白ターバンと覆面に黒いサングラス、白いタイツに黒ベルト、白いマフラーと白いマントをなびかせて、三日月のマークをひたいにつけたその人は言いました。
「わたしは月よりの使者で、正義のみかた月光仮面だ! かぐや姫の祈りに応えてやってきた。これより金太郎の助太刀をいたす」
そう言って、2丁拳銃で大鬼の二つの目をめがけて撃ちました。

大鬼がひるむ間に、金太郎は腰のキビ団子を思い出し食べました。すると金太郎の躰にみるみる力が湧いてきたのです。
金太郎は大鬼の右足にタックルして、その足を軽々と持ち上げました。大きな音をたてて倒れた大鬼にむかって、雉と猿と犬は飛び掛り、つつき引っ掻き噛み付きました。
たまらず大鬼は「降参降参、まいりました。もう悪いことはやめますのでお許し下さい」と言いました。
すると大鬼はだんだんと躰が縮み始めて、やがて小悪魔「サターンの爪」になり、鬼ヶ島の岩陰奥深くに隠れてしまいました。
それを見た数千の一本角の鬼たちは、とても敵わないと知り、数千の小舟にのって海を渡り、世界中に逃げていきました。

こうして金太郎たちは、鬼たちが日本中から奪った金銀財宝を取りもどして、それを一生かけて日本中の村々に届けたのでした。
もちろん、かぐや姫はお爺さんお婆さんを引き連れて、月光仮面とともに月の世界に帰りましたとさ。



後書き

1、については自動手記のように頭に浮かぶままで、極力添削をしないで書き連ねたものです。ダークな自分の心理分析をしてみたい気持ちです。
2、はお利口さんな私の極力比喩を使わないインスピレーションな詩です。
3、は、文字数不足とのことっで、『おまけ』です。これはテレビのauコマーシャル発想とは違います。(笑)私は預言者でもあるのです。(大笑)

この小説について

タイトル omnibus Super Moon
初版 2015年9月29日
改訂 2015年9月29日
小説ID 4715
閲覧数 318
合計★ 0
そら てんごの写真
ぬし
作家名 ★そら てんご
作家ID 675
投稿数 30
★の数 106
活動度 7730

コメント (0)

名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。