世界終了チャイム - 世界終了チャイム*1*

つい先ほど響き渡ったチャイムのせいで、世界中は混乱に陥った。
それは、1年後に世界が終了するという、『世界終了(おわり)チャイム』。そして僕は、世界を救うべく立ち上がった救命隊『輪廻』に選ばれた。

『輪廻』のメンバーは全部で5人。
<ナツ>。
<リオ>。
<エミ>。
<レノ>。
そして、僕、通称<トオ>こと、唐須 透(からす とおる)。
僕以外の本名はわからない。非公開で、教えると罰が下るらしい。
みんなの年齢は14歳、日本国籍、性別は入り混じっている。

明日、彼らと初めて会う。
それなのになぜ、名前などを知っているかって?
それは、このメンバー構成を世界中の常識と化すために、TVすべてのチャンネルが、新聞のすべての記事が、ネットニュースのすべてが同じことを報道したためである。

***

「初めまして、トオです。宜しくお願いします。」
僕の自己紹介は最後だった。
この中で男子は僕、ナツ、リオの三人。
やっぱり本名は出なかったし、僕も出さなかった。
それから、組織トップの<サラ>さんから話があった。
「初めまして、サラ、という者だ。君たちを『輪廻』に招待したのには、訳がある。世界終了チャイム。君たちも聞いたな?」
世界終了チャイムは世界中のありとあらゆる場所で流れた。聞いていない人がいたらそれこそ大事件だというくらいだ。
「その世界終了チャイムが鳴ると、1年後に世界は、滅びる。」
サラさんの口から「滅びる」という言葉が出た瞬間に、この部屋に流れる空気が凍った。サラさんの口から聞くと、現実味が増す。
「そこでだ。それを止めるために、君たちに活動してもらう。活動内容は...」
止めることができる世界の滅亡なんてあるのか。その方法は口で言うのは簡単でも、実行に移すのには勇気がいることだった。
条件は、世界から<<悲しみ>>をなくすこと。それを聞いた時は小学生の道徳の時間かと思った。悲しみ。それは人の心の中に存在するものであり、それを消すというのは相当大変なことだ。しかも、今は一年後に世界が滅亡すると知ってさらに悲しみが増えているというのに。それを一つづつ僕らの手で潰していけというのだ。
驚くことはこれだけじゃなかった。
そして移動手段は、魔法。
この世界にそんなものが実在したなんて。ただし、それは僕たち五人の秘密で、他人に漏らした瞬間に効果が消えるようだ。
やり方は、五人で円になって手を合わせて呪文を唱え、呪文の最後に行き先を入れる。重要なのは声を合わせること。それだけ。少し訓練がいるようだが、すぐできるようになるよ、とサラさんは言っていた。
「訓練は、急いでやる。ついてこれなかったやつは脱会、と言いたいところだがこっちにも事情があって君たちを脱会させられない。なので、頑張って、ついてきてくれ。」
今まで無表情に近い状態でしゃべっていたサラさんが初めて顔を歪めた瞬間だった。

円になって、手を合わせる。行き先は、隣の部屋。それくらい近いところから始めた方がいいのだそうだ。並び順も決まっている。僕の右隣がナツ、左隣がリオ。たまたまなのか知らないが、男子はそこに集合したことになる。
サラさんの合図で呪文を唱える。
「シンラ・ラプツ・アエル・隣の部屋」
一人、遅れたな。そう思った。耳だけはいい、とよく言われるから、間違いない。だけ、に少し引っかかるが、そんなことは気にしない。案の定、僕らは隣の部屋にはたどり着けず、部屋と部屋をつなぐ廊下に立っていた。
サラさんはわかっていたようで、ドアを開けて部屋から出てくる。
「エミが遅れた。残念だったな。でも最初からうまくいくやつはそういない。頑張れ。一年後にまたこの地球で、生きているために。」
最後の言葉は、僕らの合言葉のようなものだ。『一年後にまたこの地球で、生きているために。』そのために、そのためだけに、僕らは集められた。そのことを忘れないように。すべては世界すべての国の、すべての人のために。

後書き

初めまして、ポンダンです。
世界終了チャイム。それは、世界終了、と書いておわり、と読ませたいな〜という考えからできたものです。
つたない文章ですが、少しでも多くの人に楽しんでいただけたらいいな、と思います。
どうぞ宜しくお願いします。

この小説について

タイトル 世界終了チャイム*1*
初版 2016年4月28日
改訂 2016年4月28日
小説ID 4778
閲覧数 2210
合計★ 0
ポンダンの写真
駆け出し
作家名 ★ポンダン
作家ID 1011
投稿数 4
★の数 10
活動度 441

コメント (2)

弓射り コメントのみ 2016年4月29日 20時56分28秒
キャラのネーミングセンスが良いです。呪文もかっこいい。

設定は文章から拝見する限り、作り込まれているような気配ですね。次話に期待させる分量の設定の盛込み方だと思います。

プロローグの文章はこれで良いとして、個人的には次のはなしをどんな書き方でくるかが大事だと思ってます。二話次第でプロローグが生きるか、無駄になってしまうか。

2週間以内に続きが読みたいです!(笑)
★ポンダン コメントのみ 2016年4月30日 18時56分11秒
弓射り様

コメントありがとうございます。
褒めていただいて、とても嬉しいです!

次の話もプロローグを生かすように頑張りたいと思います。

2週間で頑張って書いてみたいと思います....(笑)
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