はじまり - 月と太陽 2

翌日


「じゃあ 次の48ページ・・影山さん?
読んで下さいっ」




ふふふ・・



つい、昨日のことを考えていたら、思い出し笑いしちゃった。



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わたしと朝陽くんと一緒にブランコに乗っていた。


「ねぇつきみお姉ちゃん?」


「なぁに?」


「僕と、お友達になって、」



「お友達?・・いいけれど、お姉ちゃんなんかでいいの?」


「うん!
だってお姉ちゃん、優しいし、きれいだし、あと、まろんすけもかわいいし、だから、ねッ! いいでしょう?」


「キッ、きれい?」


「うん!」


わぁ!



生まれて初めて言われた。きれいだって言われた、すごくうれしいな



「いいよ!じゃあ、今日から朝陽くんとお姉ちゃんはお友達ッ」


「やったあ!
僕の初めてのお友達!」



初めて?…


「明日も一緒に遊ぼう?」


「うん!遊ぼうね」


--------------------


ふふふ・・


あれ?

今の時間の記憶がとんでる…

あ、そうだ!
今国語の授業中で・・

あ〜!…

早乙女先生が…

こわい顔してる・・・



「さっきから呼んでたのに、ニヤニヤしながら無視ですか?・・影山さん?・もういいです、座りなさい
じゃあ、代わりに中山さん、読んで下さい・・」



「あッ!え?、ご、ごめんなさい・・・」

恥ずかしい・・


こんな事があっても、誰も教えてくれないし、笑ってもくれない


おまけにガヤガヤしてて・・私が怒られている事すら知らないなんて



何をしても見向きされない


やっぱり



私って



空気みたい





昼食タイム––––

1ヶ月も経つともうひとりにも慣れてしまった。


いつもの様に無印カバーをした恋愛本を片手に、サンドイッチを食べていた。


本の世界に入った自分が主人公になって恋をする・・


しかし、今日はいつもとちょっと違うのです。




あの笑顔、かわいい声

天使みたい・・・



本の中の相手が朝陽くんと重なる


考えてみたら、朝から朝陽くんのことばかり考えているではないか


まさか、恋?…
ブルブル…ひとりで顔を左右に振り、冷静に考えてみる。


相手は小学1年生、わたしは高校生・・
歳の差が・・愛に歳の差なんて言うけれどね、無理!話題が合わない、多分・・


ふふふ



バっカみたい


ちょっと妄想しすぎかな


また先生に怒られちゃうね



現実に戻ろう


はぁ〜あ


最後の一口を食べようとしていると、私の後ろから噂話が聞こえてきた。






「そういえばさぁ、5組にコーヨーくんているじゃない?」



私の席の後ろの彼女、いつも掃除当番代わってって言ってくる相原凛子さんが、1年5組の子のことを話しだしたのだ。


相手は相原さんといつも一緒の永田千夏さん、という子。

それと、盗み聞きしてる訳じゃないですので、自然に私の耳の中に言葉達が入ってくるだけですから・・
これもひとえに目立たない、空気みたいな存在のおかげなのかな?なんか透明人間になった気分、なんてね。


––––––


「コーヨー? あの、金髪が目立つ人でしょ、いつも派手な彼女が横にいる…」



「そう、あっ、でもね、あの子違うみたいだよ、片思いっぽい」


「ふ〜ん、そうなんだ、凛子くわしいね…でもさぁ私はパス!ってゆ〜か、浮気出来ないよ今更、それに、彼なんか不良っぽいし・・ピアスしてて、ネックレスが目立って、特にあの髪の色からしてさぁ、凄いんだろーなあ・・」


「凄いって、何が?」


「えっ?・・・アッチのこと?」



「やだぁ!、は、ハハハ、、?…いいよなあちなつは、一応カレシいるから…あたしも今メッチャ愛がほしいの、だから・・・彼みたいにちょっと怖そうでも、格好よかったら最高・・じつは〜、いつも偵察に行ってたんだぁあたし5組まで毎日・・
それでね、その、コーヨーくんが人を探してるみたいなんだけどぉ、彼に協力してあげたいのね、うまくいったら、彼に近づくチャンスかもって思ったりしてね…」



「一応じゃないし・・普通にカレシなんだけど・・・
で、ガチ?その人探しって?・・
いったいどんな人なの?」


「さぁ・・」


「さぁって・・それじゃあわからないよ、だって何か特徴とか、ふつうあるでしょ〜」



「あ、それならあの時あんまりよく聞きとれなかったけれど・・たしかね、なんとかだんご?あとは…そうだ!水玉模様のやつ!って言ってた」


「水玉模様に、お団子?
・・・美味しそうなひと?・・」


「それでね、
あいつには世話になったから、仮はかえしてやるぞって!う〜ん…そんなこと言ってたかなぁ」


「ちょっと待ってよ!・・それって復讐するって意味じゃないのかな?」


「え?そうなの?」


「前ね、カレシと、何とか組長物語とかってヤクザさんの映画見に行った時、同じようなセリフ言ってた気がする」


「ふ〜んそっか復讐かぁ?わかった!
それも協力しよう、そうすれば さ・ら・にぃ・好感度アップかもかも…」


「あなた、そんな・・・・補導されてもし〜らない・・・」



–––––––



なんか、相原さん達ってすごいことを話している気がする。


いつもだったら本の世界に入りこんで、話の内容とか耳に入らなかったけれど・・


ふ〜ん

永田さんて彼氏がいたんだ


すごいな


それより

ヤクザ?

復讐?

コワ〜・・・



まぁ

このわたしには、まったく関係のないお話ですが・・・


食べよ…あむ・・。


夕方––––



昨日の約束通り、まるすけと一緒に公園に来ました。




「ワンワンッ!」


「お〜い、まろんすけぇ!」


朝陽くんが、まるすけの名を呼びながら
走ってくる。


ふふっ、まろんすけだって…
舌足らずなところもまた、かわい〜・・


「朝陽くん!」


「つきみ!」


2人と一匹で一緒にガバッとハグをしました。

そして、勢いあまって、わたしのホッペに朝陽くんの唇がピトッ!


「チュッ!」

あっ!・・やわらか〜い・・

いきなりハグにいきなりチュウ!

さすが外国人(言葉は日本語だけど)



「つきみ?遊ぼう!」



「うん、遊ぼう!あさひ!」



そうか、友達ってお互いに名前で呼び合うのがふつうだったんだ!


追いかけっこをしていると


「わっ!」


「つ〜かまえた!・・・・次はあさひが鬼ね」


「あ〜ぁ・・・ねぇつきみ?」


「なに?」


「つきみって、だんごなの?」


「は?・・なにそれ?」


「違うの?」


「違わなくないけど、月見団子ってゆ〜のはあるよ、お月様にあげるおだんごだよ」


「ふ〜ん、お月様?か、やっぱり、つきみにあげるだんごだね」


「?ん?まぁね、そんな感じかな」


何が聞きたいのか良くわからないけど、かわいいから、何でもいい、ふふッ


影山家–––


「ただいま〜!」


「おかえり、また今日も遅かったわね」


「うん、お友達とちょっと公園で遊んでたの・・行こう、まるすけ!」


「ワンワン!」


ふ〜ん・・え?
お友達?



「つきみ!手を洗ったら、キッチンに来て!キャベツお願い!」


『は〜い! 』


・・・まるすけ以外にお友達?




最近の月美、笑顔が増えた?



その日キッチンにて––––



「いつもの様に千切りお願いね」


「は〜い」




『 ザク ザク ザク・・・ 』



あさひくん・・



すべり台をしていた時、朝陽くんのひざを見たら、まだ昨日のわたしの貼ってあげた絆創膏をしていた。


「これ、昨日のやつでしょ?
お母さんに替えてもらわなかったの?」


「う…うん…」


「毎日替えないとだめなんだよ、それでね、貼る時は綺麗にしてね、消毒液を綿棒にぬってポンポンするの・・そうしないとね、バイキンくんが・・・入っちゃうぞ〜!」

人さし指を頭に立てて鬼の真似しながら、あさひに襲いかかった。

「うわッ!・・ぽんぽん?…バイキンくんなんかへいきだ!、ぼくがやっつけてやる!・・・大丈夫だよ、つきみはぼくがまもるから・・」


「わたし?」 あさひ…


「つきみを守ってね、ありがとう!」


私の問いかけに、話をそらす朝陽くん

「あさひ?・・」

すると・・


あさひくんは、話を無視して急に滑りだした。


「い、いくぞ〜!」

「キャ〜!」



『 スルスルスル〜ザザザ〜〜! ボトッ』


「いたッ!」


「ハハハッ!」
「ふふっ!」


すべり台の最後で転んで尻もちをついてしまったふたり

その後もいっぱい遊んだふたり、そして帰る時間に



「あ〜楽しかった!
つきみ!また明日もね!」


しばらく、返事をせず朝陽の目を見つめた後


「あさひ?
今日はひざの絆創膏、ちゃんと替えるんだよ」



「やだ!」



「なんで?」


「つきみのじゃなきゃヤダ!」


「わたしの?」




そっか…


あさひ…


彼の汗と砂でクシュクシュになった、膝の水玉模様の絆創膏を見ながら、うれしさと半面切なさを感じながら



「しょうがない子、そしたらこれ、
ちょっと違うけれど、つきみのやつあげるから、ちゃんとお風呂に入った後、替えてもらうんだよ」


私はそう朝陽に言うと、ポシェットから、イチゴのマステで加工した絆創膏を取り出して、その小さな手に握らせてあげた。


「うん!」


「じゃあ、また明日!
落とさないようにね!
気をつけてかえるんだよ、バイバイ!」


「バイバイ、つきみ!」


わたしのあげた絆創膏を、あんなに気に入ってもらえるなんて・・


絆創膏マニア…?まさか…



『 ザク ・ザ・ あっ・・・』

「痛いッ!!」


「あっ!月美!?やだ、血が!」


「やっちゃった〜・・・」




左の人差し指負傷しました
全治3日?・・てとこかな



部屋でまるすけをお腹に乗せ、人差し指を見ながら


「まるすけ?
わたし、朝陽と同じになっちゃった・・・」


痛いけれど、愛しい気分…




翌日––––



昨日はドジっちゃったな



私は左の人差し指の絆創膏を見ながら
改札口を出た。


商店街を過ぎ、踏切を渡ると私の通う城東高等学校が見えてくる。




「おはようございます」


「おはよう!」


いつものように校門に立っている、教育指導の先生に挨拶をした後、昇降口で上履きに履き替えていた。



すると・・奥の下駄箱のほうから話し声が聞こえて来た。



「それだけじゃ、難しいんじゃ」


「大丈夫・・」


「だって、その子、何処の学校かもわからなんだろ?」


「ジョートーって情報が入った」



「そう・・」



「必ずさがし出す」




2人の男子生徒がそんな話をしながら、奥のら下駄箱の裏から出てきた。


立ち聞きするつもりは無かったけれど、ちょっと危険な感じがしたから、見つからないように、階段の所へ歩いてゆこうと下駄箱の端っこから覗くため、そ〜ッと・・・


顏を出した時でした。



『 ドンッ! 』


「キャッ」


覗いた瞬間、顔に何か硬い物がぶつかって、目の前が真っ暗になった。



?・・・

あれ?



ゆっくり上を見上げて行くと・・
シャツのボタンが3つくらい外れていて、まる見えの胸元にキラキラのネックレス・・

さらに上を見上げて行くと

みみたぶにはピアスがキラッと光り・・

そして

金色のふんわりウェーブの髪が私を覆い被さるように降りて来た。


と、同時に下から


大きな手の長い指先で、私の顎が持ち上げられて、彼の髪が私の頬に触るくらい顔が近づいてきた!



「ヒャッ!?」



「おまえ・・・なに?…」



「は!…あ、あの、ご!ごめんなさい!」


ど、どうしよう・・

き、金髪の人

胸元にネックレス・・・

え〜〜ッ!まさか!?

昨日、相原さんたちが話していた

ひと?

ど、どうしよう・・・・・・


「あ、あ、あ・・あの、な、なにもしてないし、き、聞いてませんから、ご、ごめんなさい・・」


私は怖くなり、上履きを持ったまま、裸足で走り去ろうとした…

でも、足がすくんで、思うように走れない

…、、、×



「おい! 待てよ!」


後ろから怒鳴るように大きな声で呼ばれたけれど・・


「ヒッ!・・・」

み、み、み…

見えない、知らない、聞こえない、何も〜ッ!・・

早く逃げなきゃ!はやく!


必死に走っているつもりなのに、怖くて、足が・・動かないよ〜!

すると

まだ追いかけてくる!


後ろから長い腕が伸びて来て、私の左手首を鷲掴みにされて、簡単に捕まってしまった。


更に強い力で手首が締まって行く


もうダメ・・・


力尽きた私は


その場にしゃがみこんでしまった。





しばらくすると



私の頭上から声が


「これ」


うつむいていた私は顔を上げた。


そこには、不思議そうな顔で私を見つめている、彼の姿があった。


「おまえんだろ?」


彼は、赤いラインの入った上履きを私にさしだした。

私は、持っている上履きを確認した。

が…

いつの間にか片方の上履きだけが私の手に、たぶん、逃げる時に落としたのだろう・・


この人、それを私に拾ってくれたんだ…
だから追いかけて来たんだ、いい人?


「なに腰ぬかしてんだよ・・オレに食べられるとでも思った?…」


た、た、たべる?…食べちゃうんですか?
そ、そんなことあり?

「た、食べても、お、おいしくないと思います…・や、いや…わ、悪いひとだ…ごにょごにょ…」



「はあ?なに言ってんの、変なやつ・・・・ほら…」


そう言うと、彼は立ち上がりながら、
私の左腕を支えて、立ち上がらせてくれた。



「ケガは?」



「・あ、はい・・いぇ、その、わたしも、ぶつかってしまって・さっきは、あの・・ごめ・・」


その時、彼は私の話も聞かず、掴んだ私の左手の人差し指をじっと見つめているのでした


そして、私の手を握りしめたかと思うと


「おまえ…もしかして…」



「…?」


「団子か?」


なに言ってるんだろう…
この人



だ、だんご!?この場合なんて返せば…

「月見団子のつきみとは一字違いの…
月美ですが…」



「やったぜ!一字違いのつきみだ!ま、じッ!や、やったぜ!つ!つきみだんご!しかもイチゴまで・・とうとう見つけた!!」


「え!光陽?・・もしかして・・この人が?
でも?・・たしか水玉模様じゃ・・」


「今はイチゴなんだよ!」



もう1人の男子生徒と光陽くんは手を取り合って喜びを表現していた。



だ、だんご?・イチゴ?・・

何言ってるの、この人達

わけわかんない…


見た目は不良で怖いけれど、ある意味、別な危険性を感じた私は



「あ、あの・しつれいします・・」



私は上履きを履いて、2人が喜びあっているすきに、一礼をした後、走って逃げた・・・

この小説について

タイトル 月と太陽 2
初版 2016年5月15日
改訂 2016年5月15日
小説ID 4789
閲覧数 352
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マロンだんごの写真
駆け出し
作家名 ★マロンだんご
作家ID 1021
投稿数 3
★の数 3
活動度 314
読みづらいかもしれませんが、よろしくお願いします。

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