陽だまりの日常 - 陽だまりの日常

プロローグ

そこは私にとって、楽園とも呼べるような場所だった。

楽しくて、明るくて、幸せで、

もしかしたら、魔法使いや妖精みたいなものがいるんじゃないかって、

そう、思ってた。



1話 小さい頃の記憶

「エースの7とダイヤの7、ほいっ、これであーがりっ」
「なっ、なんでまたっ・・・お前が勝つんだよ!」
現在、0勝8敗
手元には、一枚のジョーカーと一組も揃わない数字カード、
「だってさぁ、美緒の顔すっごく分かりやすいんだもん、ほんっと弱ぐはっ、」
目の前のニヤニヤとむかつくヤツを殴り、立ち上がる。
「私もう帰るから、」
「えっ、殴ったまま放置って酷くない!?夜ごはん食べてかないの?」
私の両親は離婚しており、お母さんは、あまり家に帰ってこない、それを心配してか、竜矢の家には夕食をご馳走になったり、お出かけに連れていってくれたりと、散々お世話になっている。
「最近ご馳走になってばかりだからな、そんな迷惑かけられないし」
竜矢のお母さんの料理はすごく美味しい、食べて行きたい所なのだが連日連夜お世話になる分けにもいかない。
「あら、うちは全然迷惑じゃないのよ?私も男二人だけのむさ苦しい夕食なんて嫌だし、美緒ちゃんみたいな可愛い子がいてくれたらうれしいわ」
竜矢のお母さんの由香里さんは、微笑みを浮かべながら結構酷いことを言っている。
「ゆ、ゆかちゃん!?」
竜矢のはお父さん似だと思う、色素の薄い瞳や、小柄な体格がそっくりだ。そんな二人の夫婦漫才を見届けてから返事をする。
「今日は帰ります。お誘い本当にありがとうございます」
「そう?またいつ来てもいいのよ」
「ぜひ、うちの竜矢と末永くお付き合いおうふっ」
「気にしないでいいのよ美緒ちゃん」
こんなところもそっくりだと言えよう、
由香里さんは紙袋にお惣菜をいくつか持たせてくれた。
「じゃあ、送ってくね」
「送ってくって言ったってすぐ隣だろ、」
竜矢のうちを出て10歩歩けばすぐ私の家だ、
「でも、もう暗いしさ!ね、」
「わかった。ありがとう、」
正直暗いのは苦手なのですごくありがたい。
「お邪魔しました。」
「また来てね〜」
挨拶をして竜矢のうちを出た。

帰り道の澄み渡った夜の空気が心地よく、夜空がとても綺麗で、真っ直ぐ家に帰らずたくさん話した。
だいぶ遅く帰ったはずなのにお母さんは帰ってなくて、開くことのないドアを見つめて眠ったのを覚えている。


これが、竜矢の両親が生きていた頃の一番鮮明な記憶。
この数ヶ月後、竜矢の両親は亡くなった、死因は土砂崩れによる窒息死だった。
お葬式は、生前の二人に似つかわしくない土砂降りのあめの日に行われた、竜矢は両親の遺影を持っていて一切悲しそうな顔をしなかったけど、その無表情が泣いているように見えた。


「竜矢くん、あの家で一人暮らしするんですって、中学生なのに大変よね、」
まだ、小学生だった私には余り理解出来なかったけど、お母さんが出かけざまに言ったその一言が、今でも印象にのこっている。



あれから、7年がたった。
16才の春、

「っていうことはさー、いま美緒はお母さんの再婚相手と暮らしてるってこと?」
「まあ、そういうことになるな」
お母さんの再婚で、一駅隣に引っ越し高校生になった私は友達もでき、わりと楽しくやっていた。
「連れ子もいるんでしょ?急によく知らない男の人と暮らして嫌じゃない?何かあったらいつでも相談にのるから!」
「何かって、私に限ってそんなことはないだろ、」
それに、誰にも秘密にしているが、好きな歌を歌って動画サイトにアップするのがとても楽しい。
「油断しちゃだめだよ!美緒はすっごく可愛いんだから!」
「お、おうわかった、」
「あっ、じゃあここでね、ばいばーい」
「またな」
あとは・・・、
駅には真っ直ぐ向かわず、昔の家のほうに行った。
「みっおっちゃーんっ!どうしてこっちにいるの?」
「うわっ、」
振り返ると、探していたあいつがすぐ目の前にいた。
「もしかして、僕にあいたかったとか?」
そう、ニヤニヤとむかつくあいつが。

後書き

初めまして、つばきです。
最後のほうちらっと、竜矢だしました。
読んでくださった天使様がいれば、感想よろしくお願いします。
2話では、よりよい作品に出来るようがんばりますので、
お付き合いいただけたら、さいわいです。

この小説について

タイトル 陽だまりの日常
初版 2016年8月11日
改訂 2016年8月11日
小説ID 4806
閲覧数 413
合計★ 8
つばきの写真
ゲスト
作家名 ★つばき
作家ID 1046
投稿数 1
★の数 8
活動度 94
格好よく情け無く、世界を救い破滅に導くような小説を書けるようがんばります。

コメント (5)

ゆき コメントのみ 2016年8月12日 22時09分07秒
細かい描写がとても綺麗ですね

次回の作品楽しみにしてます❣
匿名 2016年8月12日 22時18分54秒
★つばき コメントのみ 2016年8月12日 22時45分01秒
ゆきさん、あと匿名の方!
素敵な評価や星5ありがとうございます。
この小説がこんな素晴らしい評価をいただけるとは・・・!
ほろほろ、→(感激の涙)
これからも、がんばっていく所存なのでどうぞ最後までお付き合いくだされば光栄です。
弓射り 2016年8月15日 4時31分16秒
良い感じの出だしですね。
竜矢の両親のお葬式の場面、さらっと流れてしまいましたけど
次にこんな人生の大事なイベントを描くときは、もっと無表情にやどる天涯孤独感が読んだらぶわーっと伝わってくる言葉を選んでみるのは、どうでしょう。短くても効果的な伏線になって、物語が進めやすくなると思います。
仲よさ気な両親の会話→急逝と、なかなかに上手く読者を振り回す展開だと思います。

あと、竜矢の両親の急逝、美緒の両親の離婚→母の再婚 と
短い文章のなかで展開が急になっています、ワンクッションあると物語がスムーズに把握できます。場面転換の仕方は上手いなぁと思ったので、もう少し読者のペースに合わせるだけで、読み味が変わって工夫が生きるようになると思います。

頑張ってくださいー(⌒▽⌒)
★つばき コメントのみ 2016年8月16日 22時55分27秒
弓射りさん、的確なアドバイスをありがとうございます。
なんとお礼を言ったらいいか・・・本当に為になるお話です!
早いうちに2話だしますのでまだまだ未熟ものですがこれからもアドバイスなどよろしくお願いします!
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。