とある子供の日記と一般的な(町民とあんまり変わらない)衛兵の独り言

〜とある子供の日記〜
10月8日 土曜日
今日は、大っきなはらっぱでうさぎさんといっしょに遊びました。
いっしょにぴょんぴょんじゃんぷして遊んでたのしかったです!

10月9日 日曜日
今日はオオカミさんと追いかけっこして遊びました。
森の中をずうっと走って行きました。
どこまで行ってもついてきてくれるので、とてもたのしかったです!
さいごはつかれちゃって、オオカミさんは休んでしまったのですが、親切なえいへいさんがお世話してくれるそうで、つれていってくれてほっとしました!
あと、いっぱいやくそうを取ってきたので、あとでおくすりでも作ろうかな?

10月10日 月曜日
今日も森の中で遊びたかったけど、えいへいさんにきけんだからそうげんで遊びなさい、と言われました。そのとき、えいへいさんがおやつをくれたので、ちゃんとありがとう!って言って、またうさぎさんと遊ぼうとしたら、なんだか顔色のわるい人がうさぎさんを木の棒でいじめようとしたので、「めっ!」しました。やっぱりぐあいがわるかったのかな?ちょっと頭をたたいただけでねむってしまったようでした。
どうしよう?と思っていたら、またまた親切なえいへいさんがぼうけんしゃぎるど?につれていってくれるそうです。
この町のえいへいさんもとってもいい人です!

10月11日 火曜日
今日は外で遊びたかったけど、だれも町の外に出ちゃいけないんだって。
しかたがないので、やくそうをつかって、おくすりを作ることにしました。
ごりごりごり、とすりつぶして、
じゃーーー、とお水を入れて、
ごとごと、とにこみます。
いいタイミングで火をとめて、布でこして、ビンにつめれば、かんせい!
いっぱいできたのでえいへいさんに「ひごろのかんしゃ」をこめてとどけにいきました。

すると、もんのところで、血がいっぱい出てる人がいたので、いそいでおくすりをわたしました。さいしょはえいへいさんが変な顔してたけど、そのあとぱっと表情を変えていそいでおくすりをつかってくれました。
ぶじケガがなおって、ケガしてた人とえいへいさんにたくさんお礼を言われました。
どういたしまして!

10月12日 水曜日
今日はお父さんの「お仕事」が終わったので、次の町へと出発の日です。
えいへいさんやケガしてた人、町のいっぱいの人たちに見おくられながらバイバイしました。えいへいさん達にいっぱいおかしをもらったので、食べながらしゅっぱつしました。
次はどんな町なのかなあ・・・楽しみです!


〜一般的な衛兵の独り言〜
10月8日 土曜日 快晴
今日は晴れ渡って、気持ちのいい1日だ。
草原では、子供がホワイトラビットと遊んでいた。最下級とはいえ、一応魔物なので街門の警備の傍ら、危険がないかそれとなく見ていたが、特に問題もなく日暮れに帰ってきた。さて、明日に備え交代の奴に後は任せ、休むとするか。

10月9日 日曜日 曇り
曇り空の中、信じられないものを見た。
昨日の子供が元気いっぱい森に遊びに行って数時間後、ばっと飛び出してきたかと思うと、何と、フォレストウルフが飛び出してきた!?
急いで助けようとしたが、どうもフォレストウルフは疲れ切っていて、その場にうずくまり、子供は普通に町の中へ。後のことはこっちで処理する、と告げ子供には帰ってもらったが・・・

ランクBの魔物、フォレストウルフ。
そこそこ腕の立つ冒険者が装備を整えればソロでも狩れる魔物だが、一般人が相手取るには命の危険すら伴うくらいには危険。それも子供ともあれば、まず命はない・・・はずだった。
運よく出会ったとき、魔物が疲れていたのだろうか?
だが、森の中で3〜4時間全力疾走してやっと疲れ果てる、と聞いていたが・・・
何にせよ、今までフォレストウルフが森の浅いところに出たことはほとんどない。
上に報告しといた方がいいな。

さて、それはそれとして・・・
獣魔ギルドで現在、テイムの実験とやらで生きた魔物の引き取りを行っていたので、とりあえず連れていく。
・・・臨時収入になったので、あの子にはおやつでも買ってあげよう。

10月10日 月曜日 晴れ
とりあえず、昨日の子供がまた遊びに行くというので、おやつを渡しながらも、「絶対に森には入らないよう」言い含める。
やはり、フォレストウルフの件は上も問題視しているらしく、安全が確認されるまで森へは立ち入り禁止。明日、調査隊が森を調べるそうだ。何もなければいいが・・・
などと考えていると、今度はゴブリンが草原に出てきた!?
馬鹿な、魔物が自分から森を出るなんて・・・
今まで、森の中で食糧確保が十分だったのか、めったに魔物が出てくることは無かった。
2日立て続けに・・・

等と考えていると、ゴブリンが、ホワイトラビットを狩ろうとしていたが・・・

『めっ!』

いつのまにか来ていた、あの子供が一撃でゴブリンを昏倒させる・・・
あっけにとられていると、何やら悩んでいる様子。
とりあえず、フォレストウルフと同様、こちらが処理することを伝え、帰ってもらう。
一体、今何が起きているんだ・・・
そして、あの子供は何者なんだ・・・

10月11日 火曜日 曇天
・・・くそっ・・・
今朝方出ていった調査隊。そのうちの一人が大ケガをして運び出されてきた。
現在は、「主力」が原因を排除中らしいが、このままじゃこいつは助からない・・・
町の薬師が全速力で治癒薬を作っているが、間に合うかどうか・・・
と、<あの子供>がやってきた。
手には緑色の液体をもって。
何でも、薬をたくさん作ったから『日頃の感謝』に持ってきたとか。
正直、子供が作る薬など、下手したら状況を悪化させかねない。
だが、少しでも効果があれば、薬師の治癒薬が出来るまでのつなぎぐらいにはなるかもしれない・・・それに、この子なら、何とかしてくれるのではないか?

ここ最近のことを思い出し、どこか不思議なこの子に、一縷の望みをかけて日ごろから使っているスキル<鑑定>を使うと・・・

―――

傷薬
ランクS++
傷を治す薬。
本来は切り傷を直す程度だが、作り手の絶妙な配合と製造方法により品質の最高ランクであるはずのSを大幅にこえる、もはや測定不可能な品質まで達している。
このことにより、切り傷はおろか、部位欠損であっても、傷口が新しく、また、その部位があればくっつけて治癒させることが可能。
また、配合時に各種殺菌・消毒の効果のある薬草も配合されているので、破傷風等への備えも安心。

―――
・・・マジか。
呆けたのは一瞬。
一刻を争う事態であることを瞬時に思い出し、傷口へ傷薬を振りかける。
バッサリと切り裂かれていた腹部はみるみるうちに塞がり、血を洗い流すとそこには、傷跡は全く残っていなかった。
・・・傷薬の数段上の効能を持つという薬師の作る治癒薬ですら、傷跡は残るというのに・・・

大ケガをした彼も意識を取り戻し、<恩人>にお礼を言う。
『どういたしまして』
と、それだけ答える。自分がどれだけすごいことをしたのかわかっていない様子だった。
・・・のちの英雄とは、こういう幼少期を過ごすものなのだろうか・・・
と、ふと思い、あながちそれは間違っていないように思えた。
小さな英雄は、誇らしげに帰途についていった。


―――

その後、「主力」が「目標」を撃破したとの報告が来た。
なんと、その主力とは、小さな英雄の父親らしい。
何でも、ゴブリンの集落が森に出来つつあり、上位種はおろか、ゴブリンキングまでいた模様。それを一人で蹴散らしたとか。
尚、それを「視た」者からの報告でこの町を訪れていたというが・・・
本来、ゴブリンは下位の魔物ではあるが、率いる固体、上位種がいるかどうかで大きく力が変わる。ゴブリンキングともなれば、王都の騎士団を派遣しなければならないほど。
この街の衛兵隊程度ではひとたまりもなかっただろう・・・

常識はずれな実力。
そして、「視た」という言葉・・・
聞いたことがある。

<災禍監察官>
災禍を事前に予期し、その結果を実働部隊に伝え、災いを防ぐことを生業とする国家機関。その実力は、一人一人が一国の軍に匹敵するといわれる。
恐らく、彼は災禍監察官の実働部隊なのだろう。
そして、あの小さな英雄ももしかしたら、あの二つ名の子なのかも知れない。

<平和の体現者>
いくら災禍監察官の実働部隊が強いとはいえ、犠牲は出る。
その災禍が大きければ大きいほど、事前に予期しても、誰かが死ぬことがある。
そんな中、とある一つの実働部隊だけは犠牲が出ない。
ケガを負うことはあっても、必ず助かる。
そして、助けるのは決まって、一人の子供だという。

10月12日 水曜日 快晴
今日は、英雄達の旅立ちの日。
正直言えば、街を救ってくれ、彼を助けてくれた恩人たちをもっともてなし、お礼をしたかった。
だか、多忙を極める人たちであることも承知している。
小さな英雄には、とにかくたくさんのお菓子を、それも、こんな小さな町では貴重な砂糖を使った、それこそ、町中から集めた甘味を旅立ちの選別として、お礼として渡した。とにかく、感謝の気持ちを伝えたかった。
父親の方は、『国から給金がでている』と、頑なに金品を受取ろうとはしなかった。
言葉の限り、お礼の言葉と感謝を伝え・・・

とにかく、町人総出で見送り、姿が見えなくなるまで、見えなくなっても、どこまでも見送り続けるのだった・・・

〜終〜

この小説について

タイトル とある子供の日記と一般的な(町民とあんまり変わらない)衛兵の独り言
初版 2016年10月8日
改訂 2016年10月10日
小説ID 4822
閲覧数 192
合計★ 3
teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
投稿数 33
★の数 29
活動度 3362
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

コメント (2)

弓射り 2016年10月10日 7時52分44秒
尺と内容が見合っているか、と僕はよく作家さんに問いかけているのですが、このお話ももっと膨らませたほうが良いかなぁと思いました。teiwazさんは短編しか書かないのかしら。
短編のみであれば、どのネタなら短い尺で効果的な展開になるのか、嗅覚を使って選り好みしていったほうが、質の高い作品が生まれると思います。勿論、ガンガン執筆していくのは腕を上げるには良い方法です。

内容ですが、衛兵が子供相手にやけに礼儀正しいのが気になります。お役所仕事、無骨な男がやる、ずっと立っているので退屈な仕事です。礼儀正しい奴がいて悪いことはないですが、一般的には部外者を追い出したり、とりつくしまのないキャラで描かれるのが普通かなぁ。タイトルにわざわざ「一般的に」って付けてますし。そのへん、普通のイメージと違うことを意識したほうが良いかも。イメージとのギャップに説明がないと「ん? 」って余計な所でひっかかってしまいます。

構成はわかりやすいです。子供の日記でばらまいた伏線を大人の目線であとから回収する。もうちょっと日記に、思い切って読者を突き放す謎だらけの伏線と、リアリティが欲しいところです。一読して、誰もわからねーだろう、くらいがショートショートには丁度良い。
今回は習作っぽいわざとらしさがあります。
構成のわかりやすさは、ショートショートには重要な要素ですが、トガッてナンボです。短く太い文章で、いかに読者の心に問答無用の一太刀をあびせるか。
そういう意味で大人しい印象の作品です。
匿名 コメントのみ 2016年10月10日 20時38分43秒
弓射り 様

今回もコメント、ありがとうございます!

特に何の気なしに、一般的と衛兵につけましたが、確かに、一般的な衛兵じゃないかもしれませんね・・・
タイトルちょっといじってみます。

そして、子供の日記ということをもっとうまく使い、意味不明な伏線で回収時、さらに驚きを与えられるような内容にできたかもですね。

長編については、そのうち書くかもしれません。
・・・いつになるかはわかりませんが。

いつも的確なアドバイス、ありがとうございます。
よりよい作品が書けるよう、嗅覚を鍛え、少しづつ吸収していきたいと思います。

それでは、ありがとうございました!!

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