対漆黒の悪夢解放戦線

「・・・奴だ・・・奴がいた・・・」
「なにっ!?」

その場に激震が走る。
その者は、見たというのだ・・・あの漆黒の悪夢を。

「ばかなっ!?奴らは以前完全に駆逐したハズ!」

そう、あの大戦で多大な犠牲を払って、一匹残らず、奴らは殲滅したはずなのだ。

それが、無駄だったとでもいうのか!?

「だが、実際に俺は見た・・・」

仲間に動揺が広がる中、打開策を模索しようとするが・・・

「くっ、装備は、武器は!」
「前回使い果たし、もう残ってないぞ!!」
「トラップは!?」
「経年劣化で使い物にならない!」
「くそっ!!」

奴らに丸腰で挑むなど・・・無謀。
ただ徒に犠牲を増やすことにしかならない。
あの悪夢を繰り返すことに・・・いや、さらに凄惨なことになるだろう・・・

「補給は!?」
「駄目だ、まだまだ時間がかかるそうだ!」
「ちいっ!」

いつ奴らが襲い掛かってくるかわからないというのに、上がるのは絶望的な報告ばかり・・・
耳を澄まし、感覚を鋭敏に研ぎ澄ませる。
奴らがいつ不意を突いてくるかわからないからだ。

とにかく、警戒を続け、奴に対する策を練る。
何か、何か手は・・・

ザッ・・・

「こちらA班、こちらA班!!」
「っ!?どうした、何があった!!」

ここでA班からの通信が入る。
嫌な予感しかしないが、果たして・・・その予測は現実となる。

「奴だ、奴らが現れた!!至急応援を・・・うわあああああああああああああああ!!」

ザッ、ブツッ・・・
ツゥー、ツゥー、ツゥー・・・

「A班?・・・おい、どうした、返事をしろ、A班!!」

「A班、通信途絶!!」
「C班、接敵!被害甚大!!」
「B班より救援要請!!」
「くっ、どうしろってんだ!!」

次々と入る通信は、各戦場が危機的状況にあることを示している。

・・・仲間たちが無残にやられる中、何もできないのか、俺は!!

「・・・奴らを甘く見ていたようだ・・・」
「・・・班長」

深い悔恨の表情で、班長はぽつり、と呟くように告げる。

「あいつらは・・・太古の昔より生きてきたと聞く。時に、食料が足りなければ、同族の遺骸ですら口にし、生き延びてきたらしい・・・」
「・・・」
「俺達人間とは、決して、相いれないんだ。やられる前に、やるしかない・・・たとえ、どんな手を使っても!!だか・・・」





スパーン!!



「痛った!?」
「こらあ、男子共!!遊んでないで掃除しろう!!」
「げ、委員長!!」

班長の涙ながらの演説に割って入ったのは、委員長。
彼女の手には、スリッパが握られており、おそらく、それで班長の頭を叩いたのだろう。

「だ、だが、漆黒の悪夢が・・・」
「なあーにが、漆黒の悪夢よ!!ただのゴキブリじゃない」
「うわああ、その名を呼ぶなあ!!」

班長の抵抗を、バッサリ切り捨てる委員長。
班長は、ゴキブリという固有名詞で、鳥肌が立っている模様。

そう、俺たちが何してたかというと・・・体育館の大掃除だ。
広いので、A~F班まで、各自手分けして掃除してるわけだ。
去年、バ○サン焚いたから、漆黒の悪夢・・・もとい、ゴキブリは全滅したはずなんだがなあ・・・飛び出してきたゴキブリが顔面に飛びかかるという犠牲を経て。

予算の関係で、バル○ンとゴ○ジェットは今回手に入らなかった。
家が近い子が取りに帰っていたところだった。
ゴキブリホイ○イも埃が溜まってて使い物にならず。

「全く、ケータイ使って通信ごっこって・・・子供じゃないんだから」
「うっせえ!」

痛いところを刺激され、少し赤くなって言い返す班長。
・・・まあ、相手が委員長である、ということもあるかもしれんがな。ふっ。

「・・・何か言いたそうだな?」
「いや?別に?」

班長が何かに気づき、こちらを向くが・・・

「こら、よそ見するな!まだ話は終わってないでしょ!」
「へいへい」
「全く・・・ほら、手伝ってあげるから、そうじ終わらせちゃお?」
「お、おう・・・」

俺達班員は、にやにやとそのやり取りを眺めているが、委員長に注意されるので班長は俺たちに何も言えず、苦虫をかみつぶしたような顔で、掃除を続けるのだった。


―――
各種積もった埃を払い、雑巾で拭いて、汚れがひどいところは洗剤を使って洗浄。
無事掃除も終わり、先生が上に掛け合ってくれたようで、校長のポケットマネーでアー○レットプロα(くん煙剤)を入手。ゴキブリたちを殲滅し、対漆黒の悪夢解放戦線は勝利に終わった。
そして、彼らは第二の戦い、自分ん家の大掃除へと取り掛かるのだった。

〜了〜

この小説について

タイトル 対漆黒の悪夢解放戦線
初版 2016年10月16日
改訂 2016年10月16日
小説ID 4826
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
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活動度 3362
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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