ドラゴンの流儀 - ドラゴンの流儀その4

第四話 ドラゴンの共同戦線

さて、いきなりだが、亜竜といった下位の竜は別として、基本的に竜種は毎日食事をする必要はない。200年昼寝して腹が減った程度で済んでいる上位竜がいるように、中には、1000年2000年単位で食事をしなくて済むものもいる。これは、竜種の体に宿る膨大な魔素を代替エネルギーとして消費し、生命活動を続けることを可能にしているからである。まあ、飽くまで代替なので、たまには食事しないとさすがに体に変調をきたすが。
そんな中で、竜種としては異常ともいえる程食事に関心を持つ高位竜がいるが、これは彼の過去に原因がある。本竜にとっては取るに足らない理由・・・と思いこもうとしているようだが、果たして、本当に取るに足らない理由なのか?
いずれ、気づくときもくるだろう・・・

―――
「・・・ひい、ふう、みい・・・結構いるな」

王都への道すがら、怪しい気配を感じ索敵魔法を使えば、全部で二桁以上の反応が出る。
恐らく、封魔の宝珠目当てだろう。

ソポルテは、仕入れに行くときは、他の店主たちと隊商を組み、合同で護衛を雇い大人数で行くらしい。盗賊も珍しくない現代。身を守るには、相応の手練れを頼む必要がある。そのため、街道では襲われなかったが街中に入り安心し、護衛と別れた瞬間をあの冒険者に狙われたのだろう。ちなみに、店の中ではまた別の護衛がいるとのこと。

とあるものを見せ、ソポルテに宝珠を王都に持っていくことを告げ納得してもらい、今は徒歩で王都に向かおうとしているところだが・・・
やはり、あの冒険者だけが刺客というわけもなく、黒幕は他にも人を雇っていたようだ。
どこかで見ていたのか、我が宝珠を持っているのを知っている模様。

「・・・面倒だ。<ミラージュ>」

幻影魔法を使用し、姿を消す。

「お、おい、消えたぞ!!」
「くそ、どこ行きやがった!?」

慌てふためく奴らを認識し、

「・・・登録完了。これで、いつでも探し出せる。さて、雑魚に構ってる時間も惜しい、<ハイスピード>」

慌てふためく奴らを無視し、早馬の数倍のスピードでさっさと王都に行くことにした。

―――
「次の者、身分証を提示してくれ」
「あいよ」

時刻は夕方になりかかる頃合い。王都入場の列に並ぶことしばし。ようやく我の番が来たので、ソポルテたちにも見せた身分証を見せる。

「ふむ・・・え、は!?しょ、しょうしょうお待ちを!!」

さっきまでの相手を見定める態度を崩し、焦った門番は詰め所に駆け込む。
ややあって、門番の上司と思われるものが出てきて、

「よ、ようこそいらっしゃいました。本日はどのようなご用件で?」
「ああ、少し、王城に用があってな。案内頼めるか?」
「は!承知いたしました!」

我の差し出した身分証・・・精緻な彫刻が刻まれ、一見してただものではないと思わせるそれは・・・王族の友人の証。国家に多大な貢献をしたものに送られる、この国では王族の身分証に次ぐ高位の身の証となる。

あの時、これを見せたソポルテはただただ驚き、平服しそうだったが、それはやめてもらった。まあ、アユーティはただきれいな短剣に見えただけだったようだが。

で、案内されつつも、王都を見学すると多彩な屋台が並んでいるのが見える。
串焼き、ヤキソバ、バターの乗った吹かし芋・・・

すぐにも食べたいところだが、今は王城に行くことを優先させる。
面倒事は先に片付け、あとでゆっくり食べるのだ。

「・・・人びとが皆明るく、笑顔だな。いいところだな」
「ええ、王の執政が行き届いている証でしょう」

門番の上司が誇らしげに答える。
今代の王は特に優秀で、日々民の暮らしがよくなっているらしい。去年の飢饉も備蓄された食料を惜しげもなく放出し、被害を最小限に食い止めたとか。

飢饉か・・・

過去の記憶が少し蘇るも、頭を振る。
と、気づけばもう、王城の門前に到着していた。

「では、身分証を」
「ああ。これだ」
「!?・・・確認が取れました。どうぞこちらへ」
近衛兵だろうか。門を守護する、質のいい装備をしている彼らに短剣を見せ一瞬驚いた顔をされるも、すぐに動揺は収まる。

「では、わたしはこれで」
「ああ、道案内助かった」

門番の上司にお礼をつげ、王城に足を踏み入れる。
華美になりすぎないよう、かといって質素でもない、絶妙なバランスの絵画や置物。持ち主の性格が表れているような廊下を歩き、

「救国の始祖竜様、本日はどのようなご用件で?」
と、近衛兵は訪ねてくる。
なぜ、フォルツァが竜であると知れたか。
それは、先ほどの短剣、王の友人であることの他にもう一つ意味がある。近衛兵以上の立場の者のみが知る、古代語の一部。短剣には、その古代語で持ち手が何者なのかが記されていたのだ。

「これを見つけたのでな」
「・・・!?これは、封魔の宝珠!!いったいどこで・・・」
「ま、詳しい話は、そこそこの立場の者を連れてきてからにしたいんだが、誰か呼んでくれるか?」
「は!只今呼んでまいります。こちらの応接室でお待ちください」

―――
「で、王女様が来たわけか」
「はい、ソフィア・エスパダ・ウィアームと申します」
金色の髪に、碧い瞳。年のほどは18くらいか?
王族は基本顔が整っているが、ソフィアは群を抜いて美しく、まるで彫像のようである。
だが、快活そうな雰囲気と強い意志を宿す瞳は、決して彼女を人形のような印象にさせない。
ゆったりとしたドレスを身にまとっているのでわかりずらいが、背が低いながらもおそらく、相当なプロポーションを誇ると思われる。


今更だが、この国の名はウィアームである。その名を冠する王女様。

「ま、話が通ればいいか。で、これなんだが・・・」

ソフィアはじっくりと調べ、

「・・・確かに、盗まれた宝珠に相違ありませんね。これをどこで?」
「ああ。これは・・・」

と、一通りの事情を話す。すると・・・

「・・・許せません。ケーキを悪事の隠れ蓑にするなど・・・」
ほう?と思う。

「ソフィア、といったな」
「はい」
「食べ物を粗末に扱うのは、どう思う?」
「万死に値する、と思っております。食糧は人が生きる糧。それをないがしろにする輩は断じて許せません!!」
「気が合いそうだな。我もそう思う。こんなにうまいものを無下に扱う輩は、断罪すべきであると思うのだが、どうか?」
「ええ、草の根分けても探し出し、後悔してもらいましょう。ケーキを冒涜した罪・・・と宝珠を盗んだ罪を」

ここに、食べものを至上とする、高位竜と王女との間で深い絆と共同戦線が張られることとなった。



・・・宝珠の件は、もはやおまけでしかなかった。

後書き

食べ物を粗末にしてはいけません。
食べ物の恨みは怖い・・・

この小説について

タイトル ドラゴンの流儀その4
初版 2016年11月13日
改訂 2016年11月13日
小説ID 4839
閲覧数 255
合計★ 3
teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
投稿数 34
★の数 29
活動度 3463
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

コメント (2)

弓射り 2016年11月19日 8時47分22秒
拙作にコメントありがとうございました。

3話と4話を拝見して、あまり話の区切りの意味がないなぁと思ったので、合わせて3話にしてはどうでしょう?
兎にも角にもフォルツァが動かないと話が進まない気がします。

ネーミング(キャラ名、街の名前)がソフィア以外ちょっとダサいのが難点かなぁ、、、オリジナルネーミングは冒険です。

グルメリポート風の食事の描写、ソフィアの容姿の描写に共通して、説明で終わってしまってるのが共通してます。これで伝わったでしょ、はい次いくよ、みたいな。
情報をもらってもしょうがないんだよなぁ、なんというか想像力を昂ぶらせるボタン、トリガー的なものを組み込めば情報なんて最小限で済むこともあります。これは紀州産10年ものの梅干しで、甘さと酸味のバランスが絶妙です、より、ひとこと、まっっっかな梅干しというほうが唾液が出そうじゃないですか?
ヒロインの振る舞いやセリフ、周囲の反応のほうが、描写を重ねるより効果があったりしますよね。

設定を美人にしとけばキャラが勝手に美人になってくれるわけではないのが面倒くさいところですね、、、
★teiwaz コメントのみ 2016年11月20日 13時39分14秒
弓射り 様

コメントありがとうございます!

ううむ、なかなか難しいものですね。
魅力的なキャラを創ってみたい、というのは以前から思っているのですが、実際に書いてみるととても難しいですよね・・・

今後とも頑張ります。
セリフ、文量等、色々と工夫してみたいと思います。
ポイントを突いたトリガー、使えるように精進します。

ちなみに、名前については外国語から引っ張って来てます。
作者のセンスの問題ですね・・・
3、4話の統合はどうするか、あとで考えてみます。

いつも的確なアドバイスありがとうございます。
では、今回もコメントありがとうございました。
またよろしくお願いします!
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。