ドラゴンの流儀 - 第二章 ドラゴンと人々

第二章 第一話 ドラゴンの再会?

「・・・盟主?」
「ええ、そう呼ばれる存在がいるらしいのです」

ソフィアからの報告を受けると、子爵を尋問した際、核心に至る情報こそないものの、断片的な情報からその存在があることが分かったという。
そして、その者が今回の黒幕であるとも。

「しかも、面倒なことに今回の事件は手始めの様で、場合によっては戦争も起こりうるかも知れません」
「戦争、か。馬鹿なことを考えるものだな」
「全くです」

戦争が起きれば、民が疲弊する。いつも割を食うのは弱い立場の者たちである。
何を思って起こすつもりかは知らんが、全くもって面倒なことだ。

「まあ、そうなったら我を呼べ」
「よろしいのですか?」
「ああ、知り合いが傷つくのは面白くないしな。戦争が起きれば犠牲は仕方ないとは言え、減らすことが出来るならそれに越したことはない」
「ご助力感謝します!」
「まあ、その時には、豪華な食事でも褒美として食いたいところだがな」
「・・・ふふふ。任せてください、うちの宮廷料理人が腕によりをかけてご馳走しますわ」
「ああ、頼んだ」


その後、2、3言葉をかわし、今回の騒動の解決の褒章に大量の金貨等もらって王都を後にする。
その後、王やらお偉い方との面倒な会話を終え、ローストの街に帰って来ると、適当な屋台でおやつを見繕い、宿屋にこもりライトノベルをおやつ片手に読みまくるのだった。


―――
気が付けば3つほど月が過ぎていた。
今日も今日とて屋台をフォルツァが冷やかしていると、

くいっ

「ん?」

服の裾を引っ張られ、振り返るとそこには何故か子供がいた。

「ねえねえおじちゃん」
「ん?何だ?俺に用か?」

子供からすれば我ももうおじちゃんなのか、とふと考えるも、とりあえず用を尋ねてみると、

「おじちゃん、お父さんより強い?」
「お父さんって、お前の父親か?」
「うん!」
「そりゃあ、強いだろうよ」

人の父親となれば、人であろう。であるならば、竜種である我の方が弱いことはあるまい。そう思い返答すると、

「本当!!じゃあ、ついてきて!!」
「お、おい」

子供は顔を輝かせてぐいぐい引っ張ってくる。
訳を聞くと、父親に自分より強い者を連れてきてほしい、と言われていたらしい。
まあ、暇つぶしにはなるか、ととりあえず軽い気持ちでついていくことにした。


―――
「・・・何でこんなところに腐竜が・・・」

そこでは、壮年の男が腐竜と互角の勝負を繰り広げていた。

腐竜。またの名をドラゴンゾンビ。
竜種が死亡したのち、その死体が周囲の魔素や瘴気を取り込み、魂が穢れ変質したことによってアンデットと化した存在。自我はほとんど存在せず、生きた存在を同族に引き込もうと暴れるだけの災厄に近い存在。元々が死んだ存在なので、四肢を切られようが頭を砕かれようが関係なく動ける限り動き回る。完全に倒すには高位の聖属性魔法などで浄化するしかない。


しかし、腐竜はそう簡単に生まれるものではない。例外も確かにあるが、通常、魔素や瘴気の濃い<魔界>とでも言われるような場所でなければまず出てくることはない。戦場の跡地であればまだないわけではないかもしれないが、こんな人里近くに現れることはまずない。

だが、今は原因を分析するよりも、

「加勢する!!」
「おお!?ご助力感謝する!」

まずは腐竜を黙らせることだ。
一見男と腐竜はいい勝負をしているように見えるが、相手は疲労の概念すらないアンデット。長期戦になれば休息を必要とする人が不利になるのは目に見えている。

と、

「気を付けろ、ブレスが来る!!」
男から注意の声が飛ぶ。
腐竜のブレスは、元となる竜種によって違いがあるが、一つ、共通の特徴がある。
それは、<腐食>。触れた存在を腐らせ、ボロボロにする。生身の人が喰らえばまず命はない。対処法は、その効果範囲から離脱する以外にない。

・・・普通の人ならば。


「範囲結界」
「何と!?」


結界。使う者によって効果に差はあるが、高位の術師なら竜種のブレスを数秒だが完全に封じ込めることも出来る。もし、仮に、竜種自身が結界を使えたなら・・・

結果、腐竜はブレスもろとも完全に封じ込められることになる。

「浄化の極光」
「!?」


古代魔法<浄化の極光>。
その昔古の賢者が編み出したとされる、古代魔法の一つ。その昔、禁忌の術に手を染め、一国をアンデットに変え、自らもリッチへと変わった術者がいた。それに対し、そのアンデット全てをただ一つの魔法で浄化し切ったとされる程の威力を持つ、伝説級の魔法。今では使える者も、その存在を知る者すらほとんどいないとされる魔法である。が、フォルツァにしてみれば大した難度の魔法でもないという感覚。


一瞬で腐竜はちりも残さず浄化され、その魂も元の高潔な光を取り戻し、空へと還っていった。



―――
「助かった、正直決め手に欠けていて自分一人では恐らく倒せなかっただろう。改めてご助力感謝する」
「いや、俺にとってもなじみの街に腐竜が被害を及ぼす前に送れてよかった。しかし、なんでまたこんなところに出てくるんだ?それと、あんた何者だ?ただの人にしちゃあやけに強いが・・・あ、俺はフォルツァっていうんだが」

名前を尋ねる時は自分から。流儀以前の一般常識である。

「おお、これは申し訳ない。自分は<災禍監察官>の者だ」

なんでも、災禍を事前に予期し、その結果を実働部隊に伝え、災いを防ぐことを生業とする国家機関。彼は、その実働部隊らしい。

・・・なんか、妙な感覚だ。どっかで見た気がするんだが、見た目は見覚えがない。過去に会って忘れてるだけか、と思ったが、起きてから3月ほどしか経っていないし、それより前にあった訳もなし。何せ200年は寝ていたのだ。人がそんなに長く生きられるはずがない。


とりあえず、そこら辺の疑問は棚上げにして、腐竜の原因究明。
なんでも、異常な魔力の高まりを検知し、現場に向かったら奴がいたらしい。
原因は不明。今も調査中とのこと。

「何にせよ、確かに街に被害が出る前でよかった。何か礼をしたいのだが・・・」
「そうだな・・・じゃ、今度飯おごってくれ」
「ふむ・・・わかった。美味いものを用意しよう」
「おお、それは楽しみだ」
「おじちゃん、またね!」
「ああ」

手を振る親子を見送る。もう2〜3調査することがあるらしい。

さて、今日は腐竜送還という異常事態があったものの、終わりよければすべてよし。
美味い飯も後で食えるしな。
我も、現在の拠点、ローストの街に戻ることにした。

後書き

今回、パソコントラブルで書いた内容が消える悲劇が発生。
今度はこまめに上書き保存しよう・・・

この小説について

タイトル 第二章 ドラゴンと人々
初版 2016年12月11日
改訂 2016年12月11日
小説ID 4850
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
投稿数 34
★の数 29
活動度 3463
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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