ドラゴンの流儀 - 第二章 ドラゴンと人々

閑話 ことごとく崩れる計略


「ほう、失敗したか」
「はっ、盟主様、申し訳ありません」
「よい、所詮は捨て駒。次がある」



封魔の宝珠を持ってくるよう命じたC級冒険者が奪取失敗。
所詮はうだつの上がらない三流冒険者。
期待もしていなかったし、まだまだ策はある。
それに、あれば便利というだけで、宝珠がなくても計画は実行できる。
実行までの時間が短縮できればそれに越したことはないが、無理をすることもない。
まあ、失敗することもないだろうが。

この時はまだ次の冒険者崩れの集団で手に入れられると思っていたが・・・



―――



「・・・子爵が捕まったか」
「はっ、例の黒髪の男の干渉があったようで・・・」
「そうか・・・報告ご苦労、下がってよし」
「はっ」

伝令兵が下がっていくのを見ながら、思案する盟主。

以前の報告で上がっていた黒髪の男。
なんでも、最初のC級の冒険者を捕らえたのも、冒険者崩れの者たちをまいたのも、子爵を自白に追い込んだのもその男が関わっているらしい。

まさか、宝珠が手に入らないだけではなく、こうも短時間で子爵が確保されるとは・・・
所詮捨て駒、たいして重要な情報を与えていないからこちらの素性がばれることもない。せいぜい<盟主という謎の存在がいる>ぐらいの推測が関の山。
失ってもいたくはないが、問題は作戦が失敗したという事実。
対策を打たなくては今後も黒髪の男に邪魔されるかもしれない。
まずは邪魔者の排除が必要か・・・

「ふむ・・・ちとはやいが、試してみるか」

計画の実行に向け、障害排除と実験を行うことにした。




―――



「<腐竜>仮召喚に成功しました!」
「おお、そうか!!」

とある宝具の起動実験の実験とも呼ぶべきもの。
宝具を十全に使うため、その本来の効果を疑似的に使うことにした。
加えて、黒の男の拠点であろうローストの街を襲わせることにした。
これで、敵の戦力もどの程度かわかるし、場合によっては仕留められるかもしれない。




数刻後、

「報告します!腐竜進行状に何者かが現れ、戦闘状態に移行。足止めを受けているようです!」
「・・・奴か?」
「いえ、聞いていた特徴と異なり、別の何者か、ということです」

また邪魔者か・・・まあ、いい。ただの人間ではあれの相手は荷が重いだろう。
そのうち諦めるか力尽きるだろうし、上手くすれば、奴をおびき出せるかもしれない。
腐竜の性能を確認するのにもちょうどいいだろう。
戦闘を継続させることを指示し、その時を待つ。



そして、


「観測班より報告!黒の男が現れた模様!!」
「ついにきたか、腐竜のブレスで森もろとも奴を抹殺しろ!」
「はっ!」


所詮、奴も同じ人族。高位の術師であろうと、ブレスを完璧に防ぐことは不可能なはず。
あっけなかったな、と嘲笑を浮かべながら作戦の成功を確信する盟主。

だが、彼は知らなかった。相手は想定していた少し頭の回るそこそこ強い人族ではなかった。
それどころか、人族ですらなく、竜種であったことに・・・


「報告します!黒の男が魔法を使用!完全にブレスを防いだ後、浄化魔法で腐竜を完全に浄化したとのこと!!」
「なんだと!!」

あの腐竜を浄化?
ブレスを防ぐだけならまだしも、浄化だと?

今この世界には効果の高い浄化魔法を使える者はそうそういない。
せいぜいがスケルトンやゾンビなどの低位のアンデットを浄化できる程度。
竜種のアンデットを浄化できるほどの使い手など、国に一人いるかいないか。
加えて、今回の腐竜召喚の素材に使った竜種はそれなりに高位のモノを使っていた。

あれを浄化できるほどの使い手・・・
これは、計画の変更が必要か・・・
まさか、こちらの計画に気づいていることはないだろうが・・・
いや、そう思って立て直した方がいいか。
相手が何を考えているかわからない以上、慎重すぎるということはないだろう。


思ったよりも厄介であったらしい相手に舌打ちをしつつも、

「黒の男を徹底的に調べろ!奴が何者なのか、何が弱点で何を目的にしているのか」
「はっ、直ちに!」

報告者が命令の実行に駆けていく中、
盟主は自らの目的を達成するため、深く思考の海へと沈んでいくのであった。

後書き

暗躍する盟主に、その計画をことごとく崩していたフォルツァ。
果たして、直接対峙する時は来るのか・・・

この小説について

タイトル 第二章 ドラゴンと人々
初版 2016年12月18日
改訂 2016年12月18日
小説ID 4858
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
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はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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