ドラゴンの流儀 - 第二章 ドラゴンと人々

第二話 ドラゴンのヒロイン?

今日も今日とて昼飯を食いに行くフォルツァ。
だが、今日はいつも以上に活気がある模様。

ひとつの屋台にかなりの行列ができていた。

「何だ?一体?」
不思議に思い列の最後尾に行き、見知った顔があるので聞いてみることにする。

「バレット、これは一体何の行列だ?」
「ん?おお、フォルツァさんか。何でも、<竜焼き>って菓子を売ってるらしいぜ?」
「竜焼き?」

バレット。以前ケーキ強盗にあっていたソポルテとアユーティを救うため、衛兵を呼びに行った男だ。それ以来、何やかやで知り合いとなりそこそこ交流がある人物。

それはそれとして、本題に戻ると、

「竜焼きってえのは、生地を竜を模った鉄板に入れて焼き、中にアンコってえのを入れてもう一枚の鉄板で挟むように焼き上げたものらしいぜ?味も絶品だが、見た目もデフォルメされた竜がかわいいと、女たちにも好評らしいぜ?」
「ほう・・・」

ふむ、美味そうだな。
アンコとは確か、優しい甘さの甘味だったな。
あれを使ったものでハズレは今のところないし、これは食いだな。

と、列に並ぶことにしたフォルツァ。
並ぶことしばし、自分の番が来たので注文しようとするが・・・


「竜焼きをひと・・・つ?」
「あいよ、竜焼き一つお待ち!」
「・・・こんなところで何してるんだ?<シェーン>?」
「何してるって、そりゃあ・・・あなたを待ってたにきまってるでしょ?<フォルツァ君♪>」

竜焼きの屋台の女店主・・・シェーンはさも当然のように答える。
それを見て呆れたようにため息をはくフォルツァ。
始祖竜が一柱、<赤竜>が一体何をしているんだ、と。

「もうちょっとで今日の分売れきれるから、そこのベンチにでも座って待っててよ、一緒に話そ?」
「まあ、それは構わないが・・・いつも突然だな、シェーン・・・」
「ふふっ」
それに微笑みで返すシェーン。肩までかかる赤髪は邪魔にならないようポニーテールにまとめ、快活そうな瞳と相まって活動的な印象の彼女だが、その実、本当にフットワークが軽い。こうして突然現れるくらいには。


―――
「ふー、終わったあ」
「お疲れさん、大人気だったな」
「ふふ、商品も私も魅力的だったからね」
「言ってろ」


こうしてシェーンと会うのは200年ぶりになるのか。
何か知らないが、こいつはいつも何かと理由をつけて我に会いに来る。
まあ、うっとうしい時もあるが、こうして語らうのは割と楽しんでいる自分もいるので悪い気はしないのだが。

「それにしても、長かったなあ。フォルツァ君、ずっと寝てるんだもん」
「我も、あれほど眠りこけるとは思わなかった。何やら結界のようなもののせいで余計に寝ることになってしまったようでな」
「そう、それよ!フォルツァ君を封印しようなんて!おかげで会うのが遅くなっちゃったじゃない!!」

ぷんすか!という言葉を全身で表現するシェーン。
それに対し、

「会うのが遅くなる以前に、そのまま封印されるとか思わなかったのか?」
「フォルツァ君に限ってそれはないって。仮にも、私に<勝った>んだから」
「はは、そりゃどうも」

自分としては、<あれ>が勝負という意識もないが、シェーンにとっては<負けた>と思っているらしい。

あれ以来、何やら信頼されているようで喜んでいいのかどうか。


「何でも、盟主とかいうやつらしい、我に結界を張っていたのは」
「ふうん」

シェーンの目がギラリと光る。

「それじゃあ、その盟主って奴に、<お礼>をしないといけないわね」
大体何考えてるかわかるが、かなり物騒な雰囲気を帯びているな。

「ほどほどにしとけよ、一国を<更地>にするとか無しだからな?」
「分かってるわよ、関係ない<人族>は巻き込まないわ。フォルツァ君は私を何だと思ってるのよ?」
「キレると怖い暴走竜」
「ちょ、」
「冗談だ、あれから丸くなったと思ってる。今では慈悲深い女帝ってところかな?」
「もう」


200年ぶりの<友人>との再会に話は盛り上がり、気が付けば夕方。

「あっ、もうこんな時間」
「そろそろ夕食だな、一緒にどうだ?宿の食堂でいつも食べてるんだが、結構うまいぞ?」
「そう?じゃ、ご相伴に預かろうかしら」


―――
「へえ、この街の人族もなかなかやるわね」
「だろ?」

宿の食堂で出されたのは、レッドボアという魔獣の肉が入ったシチュー。
シンプルな味付けながら、ほとんど溶ける勢いになるまで煮込まれたもも肉がたまらない、食べる人にもお財布にも優しい一品。

「ふう、ごちそうさま」
満足、といった風情のシェーン。
彼女も俺に劣らず食道楽な面がある。
我が眠りにつく前に大陸中の屋台や食堂を回って行った食旅はいい思い出だ。

「では、宿まで送っていく」
「あら、私に勝てる人族なんていないから一人で帰れるわよ?」
「女性を送っていくのは男として当然、だろ?我の流儀の一つだ」
「ふふ、流儀、ね。言うようになったわね。じゃ、お言葉に甘えようかしら」


シェーンを送り、また宿へと戻す道すがらふと思う。
友人とは・・・見知った顔がいる、というのは貴重でありがたいことだな、と。


こうして、物語の舞台に人々、竜たちも集い、軋みをあげていた歯車はカチリと噛み合いゆっくりと動いていく。

その先に何があるのか、それはまだ誰にも分からない・・・

後書き

書いててフォルツァの口調とかキャラがいまいち定まらない時があります・・・


1月9日 投稿タイトルをちょっとミスってたので、第二章の他のものと統一しました。内容は全く変わってません。

この小説について

タイトル 第二章 ドラゴンと人々
初版 2016年12月25日
改訂 2017年1月9日
小説ID 4859
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
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活動度 3247
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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