ドラゴンの流儀 - 第二章 ドラゴンと人々

第三話 ドラゴンの邂逅

「・・・またアンデットか」

あの腐竜の突然の出現から、全くと言っていいほどアンデットの出なかったこの森に度々アンデットが出現するようになった。
最初は数月に1〜2体ほどであったが、ここ最近は毎週のように出現している。
流石に、腐竜レベルの個体はおらず、せいぜいがアンデットウォーリアー程度であり、Eランク冒険者がパーティを組んで見回れば事足りる程度。
だが、街近くの森にアンデットが出現するなど、色々と問題となっている。
街の者たちも不気味に思っているようだし。

「何者かの仕業、かしらね」
フォルツァの言葉に相槌を打つシェーンだが、その何者かは大体予想がついているらしい。
予想はついているが、呼称以外正体はつかめていないのがもどかしいところだが。

ここ最近は二体で森の巡回を行うことが多い。
フォルツァは、食事を提供してくれる屋台や街に対しての、ちょっとしたボランティアついで。
シェーンは、ただ単にフォルツァと一緒に居たいらしく。

と、

「む?」
「なにか、いるわね・・・」

視線の先、目には見づらいが、何やら気配を感じる。
そして、同時にアンデットがそこに近づいてくる。

「黒幕の登場かしら?」
「ふむ、どうだろうな」

とにもかくにも、確認しないことには始まらないので、二体も気配を殺しつつ、その何者かを見に行くことにした。

―――
???「うわあ・・・めんどうだなあ・・・」
???「何言ってるのよ、仕事なんだから真面目にやりなさい」
???「分かってますよ、先輩」

二体の視線の先では、黒いローブを身にまとい、凝った意匠の真っ黒い大鎌を持った二人が会話しながら<仕事>とやらを行っているようだ。
声の感じから、片方は男。もう片方は女のようで、男が女を先輩と呼んでいるよう。
手に持つ大鎌をアンデットに振るうと、すぐに対象が灰化し、さらさらと崩れていく。
まるで、司祭が放つ浄化魔法のような効果を発している。

「・・・アンデットを倒しているということは、あいつらの仲間ではない?」
「確信はないが、恐らく、な」


???「さて、あなたたちから見て私たちはどう映っているのかしら?」
「え!?」
「ほう」
???「ん?先輩、何言ってるんですか?」

黒いローブの女は、不可視の魔法がかかっているはずのフォルツァとシェーンを見据え、はっきりという。
大して男の方は、突然独り言を言い出したと思ったのか、怪訝そうにしている。
低位の魔法とはいえ、竜種が掛けた魔法を見破るとはなかなかだな、と感心したフォルツァは魔法を解除し、その者たちの間に姿を現す。

???「え!?何で急に人が!?」
???「さっきからいたわよ。あなたも、看破の術式くらい使えるようになりなさいな」
???「先輩は最初からわかってたんですか?」
???「ええ、ちょっと疑われてたようなので、私たちの目的が何か、実際に見てもらった方が早いと思ってね。で、疑いは晴れたのかしら?」

と、フォルツァの方に確認をとる女。

「2、3質問してもいいか?」
???「ええ、どうぞ」
「まず、お前たちは何者だ?」
???「そうね・・・<死神>なんだけど、信じてもらえるかしら?」
「ああ」

フォルツァがあっさり頷いたのを見て、逆に女、自称死神の方がいぶかしがる。

「あら、そんなに簡単に信じていいの?」
「問題ない。我の<目>は真偽を見抜く。嘘をついているかどうか、すぐにわかる」
「へえ、面白い能力ね。詳しく聞きたいところだけど、簡単には教えてもらえそうもないわよね」
「まあ、そうだな。で、お前たちの目的は・・・アンデット退治、なのか?」
「間違ってはないけど、正確でもないわね」

そういい、死神の女は、考えを纏めるようにし、

「私たち死神の仕事は、魂を正しい場所に導くこと」
「死者に引導を渡す、ということか?」
「今回のように、そういうときもあるわね。もう死んでいるのに、現世にとどまっては魂は歪み、本来の輝きを失い、こうしたアンデットや悪霊になる。死すべき命は速やかに冥界に送る必要があるのよ」
「まあ、そうだろうな」

この世界では、アンデットは魂が生に執着しゆがんだ結果、肉体にも影響を与え、死してなお動く災厄として位置付けられている。
そうならないよう、適切な道に導くことは必要なことであろう。

「まあ、<逆>もあるけどね」
「逆?」
「死すべきでない命・・・例えば、まだ寿命が残ってるのに、自ら命を絶とうとしている人を説得し、しっかりと一生を全うできるようにするのも私たちの仕事ね」
「ほう・・・」

それは初耳だった。
本来死神と言えば、人に死を振りまくことしかイメージにないが、そんな慈善事業のボランティアのようなことをしているとは思わなかった。
まあ、仕事らしいので、ボランティアとは違うのであろうか。

「・・・説得とか、結構面倒なんだよな・・・」
そのときの仕事内容を思い出したのか、男の方がなにやらぼやいているが。
それはほっとくとして、

「じゃ、一応あなたたちは味方ってことでいいのかな?」
「ええ、少なくとも敵ではないと思うわ」
「おおう!?また人が出てきた!?」

同じく魔法をといたシェーンをみて驚く男と、全く動じず答える女。

「まあ、何にせよ、敵でないならいいだろう」

少なくとも、奴らの仲間ではないことを確認し、アンデットも消え失せたことで2体は街へと戻ることにした。

―――

森での予想外の邂逅から街へと戻ると・・・


ドンっ

「ん?」

何者かがぶつかり、走り去っていった。

「フォルツァ君、大丈夫?何も盗られてない?」

竜種の体は頑丈で、ちょっとやそっとじゃびくともしない。
故に、シェーンは、スリに遭っていないかどうかだけ心配したのだ。

「ああ、重要なものはアイテムボックスにしまっているしな・・・ん?」

何も盗られているものはなかったが、増えているものがあった。

「ほう・・・奴らの方から来てくれるとはな」
「・・・これは」


フォルツァのポケットに入っていたもの。
それは・・・盟主エクス・ト・レームからのパーティへの招待状だった。

後書き

そろそろ終盤です。

この小説について

タイトル 第二章 ドラゴンと人々
初版 2017年1月9日
改訂 2017年1月9日
小説ID 4866
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
投稿数 33
★の数 29
活動度 3362
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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