ドラゴンの流儀 - 第二章 ドラゴンと人々

第六話 ドラゴンの作戦

「ほウ、なかナカヤルでハないカ?」

必殺の威力を込めた、ドラゴンの合成魔術。
それを受け、並み居るアンデットはほとんど消滅した。
・・・一体を残して。

「うそ、フォルツァ君の攻撃でも倒せないなんて・・・」
「・・・正直驚いたな、ライトノベルで生み出されたものがこんな力を持っていたとは・・・」


さすがのフォルツァも、これには驚かざるを得ない。
彼が持ちうる、ほとんど最高位の能力で放った一撃。
見れば、人型のアンデットの前には、闇色に輝く半透明な膜のようなものが張られていた。

「・・・驚いたのはこちらも同じであるがな。その方は、我が同盟の初代盟主。ルイン・ト・レーム様だ。<高貴な血>をささげたことで復活されたのだよ」

「初代盟主、ねえ」

エクスの言葉に、フォルツァは少し考え込む。
見たところ、敵にダメージが入った様子はない。
何らかの結界魔法で防いだようだが・・・

「なら、物理的に破壊するまでっ!!」

シェーンが勢いよく飛び出し、その竜爪を振るう。

ガギン!!

結界にはじかれ、距離を取るシェーン。
だが、よく見ると、結界にヒビのようなものが入っている。

「ふム、さスがハ竜シュ、我ガはいノ守護壁ヲ傷ツケルか。なら、我ガはいも本気をダストしよウ」

初代盟主とやらは、耳障りな声で何やらつぶやくと、

「なっ!?」
「・・・これは、ちと面倒そうだな・・・」


先ほどから初代盟主を守っていた守護壁とやらがその周囲に無数に展開する。
二重三重に展開されたそれは、難攻不落の城を連想させる。


「でハ、こちらノ番とイコウか」

展開された守護壁。その最も外側にある十数枚がフォルツァとシェーンに襲い掛かる。
上下左右あらゆる方向から襲い掛かってくる守護壁を、急旋回、急上昇急降下を繰り返し避けていく二体。

「当たりはしないが、少々面倒だな」
フォルツァがしっぽを一振りすると、ガリン、と近づいてきた守護壁は砕け散った。

・・・攻撃に使う守護壁は脆いのか?だが、元は同じもののはず・・・本体から遠ざかると効果が薄くなる性質なのか?

フォルツァが考察する間にも、しびれを切らしたのか、初代盟主が次々と守護壁を攻撃に回し始めた。

(シェーン)
(ん?フォルツァ君、何?)

フォルツァは念話を使い、シェーンに今思いついた作戦を伝える。
竜種など、ブレスといった口を攻撃に使う種族は攻撃時などに意思疎通ができるよう念話を使える個体が多い。
今回は、それを敵に作戦が知られぬよう使ったわけだ。


「シェーン、いったん距離を取るぞ!!」
「了解!!」

上空に一直線に駆け上がり、攻撃から避けるように見せかける。
はるか上空でフォルツァの影に一瞬シェーンが隠れ、すぐにまた姿を現す。
その後、別々の方向に二体は避け、それを追うように守護壁は数を増す。
流石にこの数では逃げ場も少なくなっていき、徐々に追い詰められていく。

「ふフ、我ガハイの守護壁からハ何物モ逃げられぬ。攻防一帯の我ハイに勝てぬものなどおらぬわ!」


そして、シェーンがついに逃げ遅れ、その首のあった場所を一枚の守護壁が通過した。
それは何の抵抗もなく過ぎ去り、一刀両断にされたかのように見えた・・・




―――

「くくく、赤竜といえども、大したコトはないな」
「・・・」
初代盟主の哄笑が響くも、フォルツァは黙して語らず。


「クははハハ、次は黒竜、キサマノば・・・がはっ!?」

次はフォルツアにその凶刃を向けようとした、その時。何者かに初代盟主が思いっきり吹き飛ばされた。

五体はかろうじて残っているが、千切れる寸前で、もはや戦闘の継続は不可能。
そして、その場に徐々に姿を現したのは・・・シェーンだった。

「うまくいったわね」
「ああ、上出来だ、シェーン」

今回の作戦、種を明かせば簡単で、シェーンがフォルツァの影に隠れたあの一瞬、シェーンに幻影系の魔法をかけて姿を消し、その後幻影の魔法でシェーンの幻影を生み出し錯覚させる。
姿を消したシェーンは密かに近づき幻影に気を取られ攻撃が命中した、と油断した初代盟主をぶっ飛ばす。これだけ。
守護壁で守るくらいだ、本体の耐久力はそれほど高くないはず。少なくとも守護壁よりは低いだろうと思ったが、かなりダメージは入ったようだな。

「ががが・・・」
「しぶといわね、さすがアンデット」

竜種の一撃を喰らい、それでもまだ原形をとどめている敵。
浄化魔法で片が付くかと思ったが、持続的に防護の効果がかかっているのか、なかなか浄化しきれない。
先ほどの守護壁もそうだが、物理的な守備力より魔法的な耐性の方が高いようだ。

このまま続ければいつかは浄化できるだろうが、少々面倒だ。
さて、誰か片を付けてくれる奴はいないものか・・・

「なら、私にまかせてちょうだい」
「む?・・・お前たちは、死神、だったか?」

そこに現れたのは、以前森でのアンデット討伐で出会った二人の死神。

その鎌をひとつ振り落とすと・・・初代盟主はぼろぼろと崩れ去って行った。
ライトノベルから生み出されたその中でも最強ともいえる個体を、だ。
それほどの力があるのか、死神には・・・ん?

そこで、ふと以前抱いた既視感について。
災禍監察官に会った時もそうだ。
この死神も、そういえばあの森に会う前どこかで・・・いや<何か>で知っていた。
実際に会ったことはないが<何か>で見たことがある。

そこで、<ライトノベルから生み出されたものは、ライトノベルで対抗するしかない>という言葉を思い出す。

対抗できるだけの力を持った存在・・・あるいはそれそのもの。

そして、あの宝珠事件解決で得られた報酬の一つであるライトノベルの写本のタイトルを思い出す。

<とある子供の日記と一般的な(町民とあんまり変わらない)衛兵の独り言>

宝物庫で見た時は気づかなかったが、借りた写本の中にあった一冊、

<―ニシキゴイ―>

それぞれの本、ライトノベルには災禍監察官と死神という登場人物がいた。

つまり、目の前の死神はライトノベルから生み出された存在。
だから、一瞬で初代盟主のアンデットを浄化できたのだろう。


「私たちの仕事は、魂を正しい場所に導くこと。ただ、あんな強力なアンデットは正直戦闘になったら私たちの手に余る。浄化だけならどんなに強力な個体でもなんとかなるから、今回は助かったわ」
「ふむ、我も面倒な浄化を代わりにしてくれて助かった」


さて、これで盟主エクスの手駒は全て尽きたはずだが・・・

『くくく、どうやらここまでのようだな、エクスよ』

突然、あたりに声が響き渡る。
見ると、倒れ伏していたはずの同盟員の一人がすうっと立ち上がり、そのまま空中に浮かび上がった。


・・・どうやら、まだ何かある様だな。

後書き

ここに来ての、謎の人物?登場。
さて、その正体は・・・

この小説について

タイトル 第二章 ドラゴンと人々
初版 2017年1月29日
改訂 2017年1月29日
小説ID 4878
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
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活動度 3362
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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