ドラゴンの流儀 - 第二章 ドラゴンと人々

第七話 ドラゴンの逡巡


謎の人物?の出現。
ここに最終決戦の幕があがる・・・かと思いきや、終わりは唐突に訪れた。

『が、なんだ、これは・・・』

突然、浮かび上がった同盟員だったものが、端から石化していく。

『まさか、エクス、貴様あ!!』

見れば、盟主エクスが先ほど手にしていた本に牙のようなものを突き刺していた。
同時に、エクスの牙を持つ手も徐々に石化していた。

「・・・少々予定は狂ったが、貴様を葬れればそれでいい。これで最大の懸案事項が解決だ」
『ぐ、だが、再び蘇って、この世界を・・・』

ゴトリ。

空中に浮かび上がった何かは、完全に石化し、力なく床に転がった。

「どういうことだ?」

仲間割れ?
辺りを窺っても、これ以上脅威に感じる存在は感知できない。
フォルツァとシェーンは、事情を知るであろうエクスに聞くため、人化し、会場へと戻って行った。


―――

「一体、どういうことだ?アレは何だ?」
フォルツァの問いかけに、右腕まで石化が広がったエクスは、


「アレは、存在してはならないものだ。死者の怨念と魂の塊。浄化せねばならんが・・・その手間は省けたようだな」

石化した何かに、死神の二人が交互に鎌を振り下ろしている。
その姿は、岩につるはしを打ち付けているようにも見えるが、恐らく、封じられている魂が多すぎて、一振りだけでは浄化しきれないのだろう。

「この今は石化した本、名を死者の法典というのはすでに話したな?先々代の盟主が見つけ出した禁書なのだが・・・内容は名の通り死者を操る術、アンデット召喚や死者蘇生に関する様々な方法が記されている。代償には、生きている人の命を使うというのだから笑えない話だ。ここにいる者達も、死んではいないが、寿命の半分ぐらいはなくなっただろう・・・」

確かに、顔面は蒼白で苦しそうだが、息はしていた。
衰弱して気絶している状態のようだ。

「この死者の法典で、呼び出してはいけないものを、先々代は呼び出してしまった・・・先ほど、貴殿が使った<浄化の極光>、古代にそれが使われたときにいた、リッチ化した術者・・・名をカイダというが、そいつをライトノベルの術式で蘇らせてしまったんだよ・・・」

カイダ。過去最も多くの人を犠牲にしたとして災厄の死霊術師として古い資料にのこっている。
人を人と思わず、ただ自らの研究のために、殺し、死者を弄び、ことごとくアンデットに変えていったという。

そんな者が今に蘇ったらどうなるか。
しかも、ライトノベルという宝具でよみがえらせるというおまけつき。

当然、当時の盟主はカイダの手綱を握ることが出来ず、カイダを野放しに。
そして、カイダは、研究を行うため、そして、二度と邪魔されないために準備を整えようとする。

だが、ここでカイダにも誤算がでてきた。
死者の法典の効果範囲は半径10キロ。
好き勝手にしようとしていたが、移動範囲が限られる。
加えて、法典によって蘇ったものは所有者を害することが出来ない。
これらのルールからカイダは身動きが取れずにいた。

一方、エクスの方も、法典の所有者を受け継いだ時、この事実を知り、悩むことになる。
カイダの排除は絶対だが、厄介なことに、カイダは姿を変え、同盟員に紛れ込んでいた。
どこにいるかもわからない。

倒す方法も色々と模索する。最後の手段として、今持つ宝具<石化の呪具>も用意した。
これは、法典の最終回で使われたもので、死霊術師を封じるために、自らを代償とし、共に石化することでその暴虐を止めた。

「・・・これは本当に最後の手段とするものだった。本来は、軍勢を率いて世界を征服し、物量でカイダを探し出し、討伐するつもりだった。召喚のエネルギー源として貴殿の封印術式から竜種の魔力を少しづつ頂いて貯蔵していた。貴殿が起きた後は、予定に足りないエネルギーを封魔の宝珠で補おうとしたが、失敗に終わったな。・・・結局軍勢は貴殿らに殲滅され、その方法はもうとれぬ、とこれを使うことにしたわけだ」

・・・あの結界の元凶はこれだったのか。
だが、

「我らが倒すのを待つ、とは考えなかったのか?」
「確かに、その手はあるが、アレを見た瞬間、今どんな手を使っても滅ぼすべきだと思ったのだ。あれはそんな生易しいものではない。賭けに出て、貴殿らが倒され手駒にされたら?あるいは、倒す前に逃げられたら?さらにアレは力をつけて、用心して襲い掛かってくるだろう。倒せるうちに倒しておくべき存在なんだ、アレは。まあ、この法典が奪われるとまずいと思ったのか、アレが出てきて首尾よく石化できたのは僥倖といってもいいぐらいだがな」

話すうちに、体の半分ほどが石化していっている。

ふと振り向くと、死神たちもこちらに来ていた。

「終わったわ。数えるのも億劫なくらいの魂の数だった。で、この人はどうするの?」
「ふむ・・・」

助けるかどうか、ということだろう。

「気づかいは無用だ。この呪具を使った以上、ワタシはもう助からん」

敵の盟主を倒しに来たと思ったら、何だか妙な展開になってきたな。

さて、どうしたものか。

後書き

さて、どうしたものか・・・

この小説について

タイトル 第二章 ドラゴンと人々
初版 2017年2月5日
改訂 2017年2月5日
小説ID 4883
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
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はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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