ドラゴンの流儀 - 第二章 ドラゴンと人々

最終話 ドラゴンの流儀


「贖罪の祝福」

フォルツァはエクスに対し魔法を使う。
すると、エクスを侵食していた石化が止まった。

「これは・・・ワタシを助ける、というのか?」

まさか助けられるとは思わなかった、信じられない、という顔をするエクスに対し、

「いや、正確には違うな」
「違う?」
「我は、お前に罪を償ってもらうつもりだ」

贖罪の祝福。
それは、あらゆる呪いを解呪することを可能とする魔法。
だが、発動条件はかなり厳しい。
その名の通り、贖罪、つまり、罪を犯したものがその罪を償うことによって効果を発揮する魔法だ。発動時に対象者に掛けられたすべての呪いは止まり、その後の対象者の行動によって効果が発揮される。

積極的に罪を償い、その者が犯した罪を償うに足るに十分だ、と判断されればその度少しずつ呪いは解けていく。

だが、反対に、さらに罪を重ねるような行動をとれば・・・さらに呪いが進行することになる。それも、魔法をかけられる前以上に強く。

どんな呪いでも癒すことが出来るが、同時に聖人君子のような行動も義務づけられる、そんな魔法なのである。

「だから、助けるとは少し違うな」
「だが、そのまま見捨てることも出来たはずだ。何故?」
エクスの言葉に、フォルツァは、

「それはだな、人とは、知性ある生物とは必ず間違いを起こすからだ」

知性がある分、なまじ選択肢が多く、自由に選べる。その分、必ずまずい選択肢を選ぶことがある。先が見えないのだから当たり前だ。

過ちを犯すことは誰にでもある。だが、それがどのような物であっても、償えるなら償った方がいい。償いきれるかどうかは分からないが、何もしないよりはましだ。

「お前が過去に何を犠牲にしたかはしらん。だが、何もせず、ただ石化して死んで終わり、そんな償い方はくだらない。そう思ったから贖罪の祝福を掛けた、それだけだ」
「・・・」
「これから、外の国軍につかまり、禁固刑だか何だかは知らないが、罰せられることは確か。そこで真面目に罪を償うかどうかはお前次第だ。極刑だけは何とか避けるようにしてやる。精々頑張れ」
「・・・そう、か」

そう一言だけ残し、エクスは押し黙った。

「さて、シェーン、外の国軍が心配だ、被害が出てないか、見に行くぞ」
「うん、そうだね。行こう!」

―――

結論から言うと、国軍に死者は一人も出なかった。
けが人位はいたが、アンデットとの戦いで再起不能まで追い込まれたものは不思議と出なかったそうだ。
また、このソヴァールの住人も命は削られているものの、死者は一人もいなかった。
戦闘時は、地下の祈禱室、術式に命をささげるための部屋にいて、戦闘には参加していなかったのだ。

尚、後でわかったのだが、あの災禍監察官の子供。<平和の体現者>などという大層な二つ名がついているそうでその者がいるところでは、何が起こっても死人が出たことがないというのだ。不思議な偶然などで助かるらしい。それでついた二つ名だとか(ライトノベルに書かれてた)。
今回もここに来ており、おかげで国軍や住人に犠牲者は出なかったという。

―――

「フォルツァ様、シェーン様、ありがとうございました」

深々と頭を下げるソフィア。
今は、捕らえた盟主軍をひとまとめにして、国軍には休憩と炊き出しが行われているところだ。

皆、死地から生還したといった顔で安堵がうかがえる。

「まあ、降りかかる火の粉を振り払っただけだ、気にするな」
「いえ、あれらが解き放たればウィアーム・・・いえ、それだけではなく全世界に被害が出ていたでしょう。それを未然に防げたのは、お二方のおかげです」
「ま、いいってことよ」

シェーンは得意げに胸を張り、フォルツァは、

「ふむ、それなら以前に約束した、<豪華な食事>を後でいただこう」
「・・・ふふ、フォルツァ様はいつもそれですね」
「まあ、美味い飯のために力を振るのは、<我の流儀>だからな」

その場には和やかな空気が流れ、ひとしきり彼らは笑いあった。



こうして、盟主の脅威は去り、カイダの討伐は成り、ひと時の平穏が訪れた。

この先も、世界に危機が訪れれば、人を守るため、美味い飯のために竜は・・・ドラゴンはその力を振るって護ることだろう。ドラゴンの流儀に則って。


ドラゴンの流儀

完。

後書き

あとがき

どうも、作者のTeiwazです。
本作を最後までお読みくださり、ありがとうございました!

ぽろしょで私が投稿した、初の連載小説でしたが、いかがでしたでしょうか?
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。

毎週投稿するとき(正月休みは勝手に頂いちゃいましたが・・・)、閲覧数が増えていると、毎週欠かさず読んでくれる方がいるのだなあ、ととてもうれしく思い、書く原動力になりました。おかげさまで完結まで書くことが出来ました。本当にありがとうございます!

また、感想とアドバイスを下さった弓射り様。作品を書く上で自分では気づかない点、より良い作品を書く上で貴重な材料となりました。そして、感想もうれしかったです。ありがとうございました!

さて、今後はまたしばらく短編を執筆しつつ、次の連載小説の構想を練りたいと思います(いつになるかはわかりませんが)。もしよろしかったら読んでみてください。

ドラゴンの流儀、本編はこちらで終わりですが、もし、「ここの伏線回収できてねーよ!」とか、「この人の過去とか将来とかが知りたい!」なんて意見があれば、特別篇として短編を書くかもしれませんし、書かないかもしれません。

(それにしても、「ドラゴンの備忘録」、なんであんなに閲覧数のびてるんだろう・・・ただの人物紹介のはずなのに、本編より見てくれる人が多いような・・・)

ではでは、また次の作品でお会いしましょう!
改めて、皆さま、本当にありがとうございました!

この小説について

タイトル 第二章 ドラゴンと人々
初版 2017年2月12日
改訂 2017年2月12日
小説ID 4885
閲覧数 69
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
投稿数 33
★の数 29
活動度 3362
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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