アイとヒメ。 - アイとヒメ。第3話

「わぁー…。」
思わず息を飲んだ。
それはまるで絵本の中の世界の様な町並みだった。
可愛らしいデザインの建物が建ち並び、行く人々は皆楽しそうに笑っている。
そして山の上には豪華な城が建っている。
女の子なら一度は夢見る様な城。
夢みたいな世界……この風景…何処かで…見た……?
一瞬そんな考えが頭を過ぎったが、そんな筈は無い。
「ね。凄いでしょ。」
ノゾミは無邪気に笑ってヒメカの顔を覗き込んだ。
「はい!」
ヒメカも笑顔で返し、歩き出すノゾミについて行く。
「じゃあ…服屋さんでも行ってみる?私友達と買い物に行くのが夢だったんだ!」
「そうなんですか〜。是非行きます!」
“友達”と言われてとても嬉しかった。
…ああ、なんかテンション上がってきた!
石畳の道を5分程歩くと、服のマークが付いた看板をぶら下げた店が目に入った。
「あ、あの店だよ!」
ノゾミが勢い良くドアを押すと、カランカラン、という気持ちの良い音と共に
「いらっしゃいませー」
という優しそうな女性の声が聞こえた。
「あ、ノゾミじゃない。隣の子は?」
入り口で立ち止まる私達にその人は歩み寄る。
綺麗な黒髪を肩まで伸ばした女性が優しい笑みを浮かべている。
女の私でも惚れてしまいそうな位美人だ。歳は20歳前半位だろうか。
「やっほー、ミキ。この子はヒメカ。私の新しい友達だよ!」
「そう…。初めまして、ヒメカちゃん。私はミキ。宜しくね。」
言いながらミキがヒメカに向かって手を出す。
「あ、えっと、ヒ、ヒメカです!宜しくお願いします!」
若干噛み気味に自己紹介をすると、此方も手を出し、しっかりと握る。
ミキは嬉しそうに笑い、「さ、見てって」と短く言うと、店の奥に消えていった。
「じゃ、その辺で欲しい服あったら教えて。」
私は頷くと店の棚を見始める。
パステルカラーの服や、落ち着いた色の大人っぽい服。
ノゾミの家にあった様な淡い色調の服もあった。
10分程店内をぐるぐると周り、最終的に選んだのは真っ白なノースリーブワンピース。
「あの…、これを…。」
ワンピースを持ち近くにいるノゾミに声をかける。
「これでいいの?柄とか色とか何も無いけど…。」
「はい。これでお願いします。」
キッパリと言うと、ノゾミが店の奥のミキに声をかけた。
「ミキー。お願いしまーす。」
ミキは早足ですぐに来てくれた。
会計を済まし、ミキとノゾミにお礼を行って、店を出た。
「さ、次は何処に行こっか?」
「えーと…、あのお城って、何ですか?」
山の上の城を指差し、ノゾミに尋ねる。
「うーん…。よく分かんないんだよね、彼処。悪い魔女が住んでるとか、
とても可愛いお姫様が居るとか、国の王様が昔から住んでるとか…。
しかも、城に行くって言って、帰って来た人は居ない、なんて噂も…。」
「…謎が多いんですね。」
何だろう。あのお城に行かないといけない気がする。
これは、何?森に倒れる前の記憶…?



コンコン、と短い音が病室に響く。
「はーい。どなたですか?」
ノックに返事をすると、スライド式の真新しいドアが開かれ医師が入ってきた。
私は読んでいた本を閉じると、医師の方を見た。
「僕だよ。先生でーす。」
茶化す様に戯けて笑った医師は茶色の紙袋を持っていた。
「君のお父さんが少しでも思い出せる様に、ってさっき置いてったよ。」
医師はそのままベッドに近づき、紙袋をベッドの上にそっと置いた。
袋を開け、中を見るとアルバムや、子供が書いた様な絵が入っていた。
「僕は暫く此処に居るから何かあったら言ってね。」
「はい。有難う御座います。」
まず絵を見てみると、赤色の屋根に白色の壁のドールハウスの様な城が描いてあり、
扉の前には2人の人物が描かれていた。
1人は、黒色の髪を背中まで伸ばし、桃色の生地に白色のレースが付いた豪華なドレスに身を包んだ7歳程の子供。
もう1人は、栗色の髪を後ろで結い、白色に金色の刺繍をしたタキシード姿の7歳程の子供。
いわゆる、お姫様と王子様、という事だ。
2人とも顔は似ているが、髪色は全く違う。きっと小さい頃の友達だろう。
少し目を閉じ絵を仕舞うと、アルバムを取り出す。
少し汚れのついた青色のファイルを開くと、びっしりと写真が敷き詰められていた。
凄い…たくさんある。
心の中で呟きながらページをめくる。
パッと見60ページは有りそうだ。
最初のページは自分がまだ小さい頃の写真。
母親であろう女性に抱かれ、笑顔で眠る女の子。
幼稚園の入園式で、小さな緑色の椅子に腰掛けている女の子。
段々と年齢が上がり、母親は出てこなくなった。
小学校に上がり、嬉しそうにランドセルを背負う女の子。
30ページを超えた辺りから、何故か所々写真が抜けている部分があった。
…袋の中に落ちたのかな…?
そう思い紙袋に入っていたものを出し、紙袋を逆さまにする。
すると一枚の写真が落ちてきた。
…一枚だけか。あれだけ無い場所があったのに…。
そんな風に思いながら写真を表に向ける。
…あれ…?4人……?
思わず目を疑う。
そこには、4人の人物がいた。
左後方に立つ男性。和也だろう。
右後方の立つ女性。小さい頃の写真にも写っていた女性。きっと母親だ。
気になるのは前の2人だ。よく似た背の高さ、よく似た顔、よく似た服。
1人は黒色の髪、もう1人は栗色の髪。
「これは…誰…?」
見た事がある気がする。大切な人な気がする。
でも、思い出せない。
「…?どうかした?」
黙っていた愛花が呟いた言葉に、医師が反応する。
「さっき日奈森さんに母親は離婚して2人家族だって言われて…
兄弟もいないって言われたのに…。この写真には4人居る…。」
医師は暫く黙り考える素ぶりを見せ、周囲に人が居ないか確かめた後、
愛花にの耳に顔を近づけ、小さな声で何かを呟いた。
《続く》

後書き

初心者なので、下手かもしれませんが、
読んで貰えると嬉しいです。

この小説について

タイトル アイとヒメ。第3話
初版 2017年3月23日
改訂 2017年3月23日
小説ID 4902
閲覧数 28
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紅葵の写真
駆け出し
作家名 ★紅葵
作家ID 1077
投稿数 3
★の数 3
活動度 304
最初は下手ですが、段々と上手に書ける様になれば良いな、と
思いながら書いています。読んで貰えると嬉しいです‼

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