それぞれのエコ

パキッ

「いただきます」

割り箸を割り、学食の本日のおすすめを食べ始める俺。
すると・・・

「お、お前も飯か?」

友人Aが近くに寄って来て、どかりと席に座る。

「おお、友人A、お疲れ」
「ああ、お疲れ」

友人Aは、もってたカバンから徐に細長いケースを取り出した。

「友人A、なんだ、それ?」
「ん?マイ箸だが?」

若干得意そうに、友人Aは漆黒の箸を取り出す。
懐かしいな、マイ箸って響き・・・

と、感慨に浸っていると、

「何だ友人B、お前割り箸使ってんのか?」
「ん?ああ、そうだけど?」
「全く、今の時代エコに気を使わないと。俺みたいにな」

と、自分の箸を得意げに見せる友人A。
こいつ、悪い奴じゃないんだが、何か偶に何かに凝ってることがあるんだよな。
マイブーム?的な感じで。

「マイ箸ねえ・・・ここの学食、国産の間伐材使った割り箸だから、わりとエコだと思うが?」
「間伐材?何それ?」

友人A・・・エコにはまるなら、それぐらい知っといてくれ。
こいつはこういう所あるからなあ・・・熱心に取り組む割には、基礎的な知識が不足してたりな。

「間伐材ってのは、森の環境を整えるためにある程度木を間引いたときの木材のことだ」
「ふーん。でも、間引くって言っても、枝かなんか落としてそれを材料にするんだろ?それじゃ微々たるものなんじゃないか?」

ああ、そういう認識になるのか。

「いや、間伐・・・木を間引くことだが、枝とは言わず、木一本丸々間引くぞ?」
「は?それじゃ、森林破壊なんじゃねえの?」

まあ、普通はそう思うわな。

「いや、森の成長のためには必要なことなんだ。木を間引かずに、そのままにしておくと、木が生えすぎてしまい、うまく育たないんだ。木の距離が近すぎれば、根が邪魔になってお互い深く根が張れず、葉っぱがありすぎれば、それより低い木や若い木が光を浴びられず、成長しずらくなってしまうんだ。下生えっていうんだが、そういった低い木や草が成長できないと、水をとどめておく力や土壌を保全しとく能力も落ちて、豊かな森にならず、下手したら土砂崩れが起きやすくなってしまうんだ」
「へー、そんなことが・・・」
「日本の森林は、人工的に植えた物が多いから特に間伐は必要だ・・・が、無計画に切ればいいってもんじゃなく、しっかりと環境を保全できるようにしないと逆効果にもなるがな。例えば、下生えを守るために間伐するのに、伐った木を搬出しずらいからと草を刈ったりしたら最悪だがな。余計土砂崩れの危険が増すし・・・まあ、それは置いといて、こういったどうしても切らなきゃいけない木を伐ってそれから作られてるからある程度はエコと言えるんだよ」
「でも、木は木だろ?割り箸として使い捨てにしちゃもったいないんじゃね?」

ふむ、もっともな意見だな。こいつも考えるようになったな。
と、友人Aに対して若干失礼な感想を抱きながらも、答える俺。

「まず第一に、割り箸の材料となる間伐材は、他に使用法のないものを使っているんだ。伐採した木を使える部分は使い、もうこれ以上他には使えない、という端材を使って作ってるから捨てる部分を使ってる、ともいえるんだ」
「ふむふむ」
「第二に、そもそも間伐材を全てうまく使いきれず、間伐した木をそのまま放置して朽ちさせてる、なんてもったいないことが割と起こってるんだ」
「え?なんで?」
「昔は木製の製品とか結構使われてたけど、今は便利なプラスチックや金属ばかり。間伐してその木材を使おうとしても以前ほど利益が出ず、逆に赤字になる場合もあるらしい。それでも、森を放置するのはまずいから間伐を行ってるって感じかな?」
「無計画すぎるだろ・・・」
「まあ、昔はとにかく木材が必要だったから、とにかく植えたんだろうな。植えてもいいが、使い方の計画をちゃんと考えとけって話だよな・・・で、そんななかでも、木材の自給率は30%前後らしいぜ?」
「おいおい・・・間伐材使えよ、放置されてるの、あるんだろ?」
「ああ。結局は金の問題さ。わざわざ手をかけて間伐したものを使うより、輸入したものの方が安いからな。赤字になるなら輸入するってわけさ。ちなみに、日本で売られてる割り箸のほとんどは中国製で、国産割りばしは3%にも満たないとか。日本の国産間伐材でつくった割り箸は輸入品と比べて三倍くらい違うらしいから、やっぱ安い方買っちゃうんだろうな」
「そうだったのか・・・」
「もうひとつちなみに、輸入品の割り箸は間伐材を使わずに、無計画に森林伐採して作ったものもあるから、それ使ったらエコではないわな。使うなら国産の割り箸か、何を材料として作っているのかしっかり見て選ぶことだな。どうせ元から捨てられてしまうなら、間伐材を有効利用した方がいい。マイ箸を使うのもエコだが、割り箸も物によってはエコってことだな」
「・・・」

友人Aは、俺の話が余程ショックだったらしく、黙ってしまった。
と、そこへ。

「ん?何の話してんだ?」
と、友人Cがやってきた。

「まあ、ちょっとエコの話をな」
「?」

不思議そうな顔をしながらも、席に着く友人C。

「そういや、友人C。お前は割り箸派?それともマイ箸派?」
「ん?俺はどちらでもないぞ?」
「「は?」」

いや、どっちでもって、じゃあ何で食ってんだよ。
と俺と友人Aが困惑してると、徐に友人Cは今日の気まぐれメニューの肉まんをつかみ、

「俺は手づかみ派」
「「・・・そ、そうか」」


割り箸でもなく、マイ箸でもなく、手づかみ・・・
何のコストもかからないその選択は、ある意味究極のエコなのかもしれない・・・


終わり。

後書き

実際は常に手づかみってハードル高いですよね。

この小説について

タイトル それぞれのエコ
初版 2017年4月2日
改訂 2017年4月2日
小説ID 4912
閲覧数 68
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teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
投稿数 34
★の数 29
活動度 3463
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

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