孫子の兵法 概論

わいわい、がやがや・・・

「・・・おお、私の講義にこれだけ人が集まるとは・・・」
「・・・まあ、今までが何かよくわからないタイトルの講義でしたからねえ。孫子の兵法って言えば、有名ですし、戦略とか戦いとか、我々のような人種は興味を惹かれますからねえ」
「ふむ。そういうものかね。まあいい、では講義を始める」
「「「よろしくおねがいします!」」」
「おお、大勢の挨拶・・・」
「いいから、先進めてください」
「あ、はい。・・・さて、では君らの孫子の兵法のイメージを教えてくれるか?」

「孫子の兵法のイメージですか?そりゃあ、戦いに役立つとか」
「絶対に勝てる無敵の戦術とか」
「とにかく、勝つためのもの、ですよね?」
「ふむ・・・まあ、必ずしも間違ってはいないが、正確ではないな」
「え?違うんですか?」
「ああ。少なくとも、孫子は勝つことそのものを最重要視しているわけではない」

「そんな、戦いは勝てなかったら意味ないじゃないですか」
「ああ、そうだな。だが、ただ勝つだけではそれもまた意味がない」
「?勝てばそれで終わりじゃないですか。他に何を求めると?」
「利益だよ」
「利益?」

「そう。例え戦争で勝ったとして、利益が得られなければ意味がない。例えば、食料が欲しくて戦争を起こしたのに、穀倉地帯を全て焼き払い、食糧庫を全て爆破するような戦術を取って戦争を終わらせたらどうなるか。勝つには勝ったが、何も得るものはない戦争だった。しかも、兵たちを戦わせるのに大量の軍事物資を使い、自国の食料を費やしていたとしたら?意味がないどころか大損害だ」
「「た、確かに・・・」」
「孫子の兵法は、いかに利益を得るか。戦争での勝利は利益を得るための手段であり、目的ではない。究極的に言えば、利益が出れば戦う必要すらないんだ」

「戦わずに利益ってどうやって・・・」
「例えばそれは敵の戦意を削ぐこと。敵に『駄目だ・・・絶対に奴には勝てない・・・』と思わせ、敵が諦めるようにすればいい。そのために、剣や槍を使わずとも、情報を操作し圧倒的戦力差があればそれを悟らせる、あるいは何もないのに、そこに勝てない何かがあると思わせ諦めさせる、他の利益をちらつかせて敵を味方にしたり、配下に取り込む、とかな。むしろ、戦わずに利益を得る、ほしいものを手にすることこそ最高の策だとも言っているな」
「何か、イメージと違いますね。もっと、こう、兵法って好戦的な物かと・・・」
「まあ、他の兵法ってのはその手の物も多いがな。故に、孫子の兵法はもっとも好戦的でない兵法書とも呼ばれることがあるな」
「へえー」

「また、孫子の兵法は13篇からなっており、最初は準備から始まり、篇が進むにつれてだんだんと危険な戦場を想定してそれに対する備えと対処法が書いてある形だ。第一篇が準備に関することが書かれていることからも、孫子は準備を戦いにおいて重要視していることが分かる。勝つのが難しい戦で勝てる将が優秀である、と一般的な人は考えるが、孫子は逆に絶対に勝てるような戦で勝利するような将の方が有能であると考えているんだ」
「?逆じゃないですか?勝って当たり前の戦いに勝つのは、そっちの方が簡単な気がしますが・・・」
「まあ、普通はそう考えるな。だが、孫子は違う。そもそも、勝てるかどうかわからない戦いになった時点でその将の戦略ミスであり、有能な将というのは戦の前に徹底的に準備し、絶対に勝てる、というほど場を整えたうえで戦を仕掛ける将こそが有能であると。無理に不利な戦場で戦わずとも、時には引き、自軍に有利な地点で戦いを挑めばいいというわけだ」

「ほー、なるほど。考え方が我々一般人とは違うんですね。でも、どうしても戦わなくちゃならないときってどうするんですか?」
「ふむ、言い質問だ。戦場に絶対はないし、常に有利に戦えるような余裕があるとも限らない。それを想定して、戦場の様子や危険度別に様々な対策が記されている。それらを参考に、自身の戦場を見極め、応用し戦いに挑むわけだ。孫子の兵法は、この応用の幅が広いことが特徴だ。ハウツー本のように、この場合はこれ、という決まった答えはないが、使い方によっては戦場以外でも、それこそ日常生活やビジネスにも使えるとのことで様々な本が出ているな」
「兵法をどうやって戦い以外に使うんですか?」

「何事も考え方次第さ。頭がいい奴というのは、一手一手を大量に暗記できる奴ではなく、暗記した内容や知識を応用して使えるモノにすることだと私は思っている。この孫子の兵法は殊更その傾向が強いな。例えば、戦わずに勝つ。この孫子の考えを応用するなら、お菓子のケーキが全員に行き渡るほどなかったとする」
「急に即物的になりましたね・・・」
「まあ、そういうな。で、ここでケーキを食おうと戦いを挑む、じゃんけんなり、口論成り、武力行使(喧嘩)なり・・・ここで他の戦わない選択をとる。それは例えば、ケーキを二つに分けることで取り分は減るが、負けて1個も食べられないのを防ぐのだったり、何か交換条件を出してケーキを手に入れるのだったり、そもそもケーキはあきらめて、皆がケーキに夢中になってる間に他の菓子を先に大量に食べてしまう、とかな」

「あ、ケーキそのものにはこだわらないという選択もあるんですね」
「まあ、場合によるがな。絶対に手にしないといけない目標なら敗北だが、他により少ない労力でより大きな成果が出るなら、意地になって固執するよりよほど利益が多く建設的ということだ。・・・おっと、もう時間か」
「もう時間ですか・・・」
「とりあえずまとめると、孫子の兵法は利益を得るために行動を起こすのであって、勝つことそのものが目的なわけではない。むしろ、ただ勝つだけで得られるものがなければ、全く意味がなく、損失になることすらある。それは避けなくてはならない。窮地の中で勝ちを得る将より、準備を整え、ほぼ勝てる状態を作り出して勝って当たり前の戦いにして勝つ、勝つべくして勝った将の方が有能である。さらに、戦わずにして勝つことこそが最高の策である。最後に、孫子の兵法とは、限定的な戦術・戦略ではなく、様々な場面を想定し、自分で応用することで戦場のみならず日常やビジネスでも使うことが出来る兵法である。では、本日の講義は以上となる。お疲れ様」
「「「お疲れさまでした!」」」
「あ、それと、アンケートカードを配るので、講義の感想よろしく」
「「「はーい」」」

終。

後書き

続きは・・・希望があれば書く、かも?

最後に宣伝。

只今、「まったりれー」というものを青樹 凛音さんと構想中。
興味のある方は感想か、トピック<ぱろしょを盛り上げたい>まで。

宜しくお願い致します。

この小説について

タイトル 孫子の兵法 概論
初版 2017年4月16日
改訂 2017年4月16日
小説ID 4922
閲覧数 136
合計★ 3
teiwazの写真
ぬし
作家名 ★teiwaz
作家ID 1049
投稿数 34
★の数 29
活動度 3463
はじめまして。teiwazといいます。
思いついた作品を思いついたときに投稿しますので、よかったら見てみてください。
これからよろしくお願いします!

尚、小説のタイトルと紹介文は必ずしも小説の内容全てを表しているわけではありませんのでご注意下さい。

コメント (2)

弓射り 2017年4月19日 5時46分06秒
前から思ってますけど、ふむ、とか、まぁ、とか、ほー、とか「た、確かに」とか、いらないのでは。
内容がない話の水増しみたいなキャラ付けしたら勿体無いです。
講義って言ってるのに対話形式なのも謎というかチグハグ。

内容のわかりやすさで稼いだ点がみるみる目減りしていきます。しっかり設定作ってガチガチに書きたい訳じゃないんだろうけど、脇が甘いと素直に面白いとか言いづらいわけで。どうにかしてほしいです。誤字もあります。
★teiwaz コメントのみ 2017年4月22日 22時32分01秒
弓射り 様

感想ありがとうございます!

うーむ、痛いところを突かれましたね…
自分としては余り気にしてませんでしたが、読まれる方にはちょっと要らない要素になって来ちゃうんですね…
気を付けていきます。

講義は、イメージとして、一対一で行うものや、生徒に質問して答えさせる授業のようなイメージで、自分としては、これも講義の
一種かな、と思っていました。が、調べてみると、「対話形式」というものに当たるみたいですね。タグについては考えてみます。


誤字に関しては、ただただ申し訳ないです。
見直しはしているんですが、どうしても見逃してしまうようで…
こちらも気を付けます。

感想とアドバイスありがとうございました。
今後とも感想、改善点等ありましたら、よろしくお願いします!
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