詰め合わせ

川崎大輝
   死神
 私は今日死んだ。どうして死んでしまったのかは分からない。気づいたら死んでいた。
 自分がなぜ死んだのかを知るために自分の死体を探している。私のもとに一匹の猫が歩み寄ってきた。動物には幽霊が見えるものらしい。さっきも犬に吠えられた。猫がすり寄ってきたが、私は幽霊だから触れることができずバランスを崩した。
 猫が歩き出した。数メートル歩いたところで、こっちを見て座り込んだ。私が猫の方へ歩いて行くと猫も私の歩く速さに合わせて歩き出した。
 病院へやって来た。中に入ってもにこは来なかったが、目で奥へ行くように訴えている。猫は入り口で待っている。幽霊なので扉をすり抜けることができる。手術台には私が寝ていた。私はもう助からないらしい。
 戻ると猫が待っていた。また歩き出した。自分の死体を見て辛かったが猫について行かなければならない気がした。
 次に来た場所は動物病院だった。中に入るとその猫がいた。後ろにも同じ猫がいた。猫が会釈したように見えた。そして消えた。
 猫は意識を戻した。どうやら私は猫を助けたようだ。そのお礼をしに来たらしい。私も行くべき場所に行こうと思う。
   罪の量
 佐藤博士はある機械を作った。これをつけた人間が、死ぬに値する罪を蓄積した時に、体内に毒を放出してその人間を殺す機械だ。罪とは犯罪だけではなく、非道徳的な行為や迷惑行為のことも言う。その毒に苦痛は一切なく、検出は楽だが作るのが難しい。また検出不可能な毒はすでに存在する。
 この機械をつける事を義務にする案が出た。その案を出した者達は既にこの機械をつけていた。
 判断は国民にゆだねられた。国民投票を行なった結果、全ての国民が生まれた直後にこれをつけると決まった。
 それが発表された瞬間、この案を提案した者達のリーダーが死んだ。博士も死んだ。死因は毒による者だった。
 それから40年。明らかに犯罪は減った。しかし、国の人口も減った。このことを問題視する者は少なくなかった。
 ある日デモが起きた。たくさんの人が国会の前にいた。通行規制、それによって迷惑する人。それによって取引先に遅れたサラリーマンは何人いることだろうか。デモ隊の何人か死んだ。もちろん死因は機械だ。
 この機械の廃止の案が出された。デモは起きなかった。死にたく無いからだ。この案はすぐに可決された。この案を提案した者達のリーダーが死んだ。
 彼らを縛るものは少なくなった。
個人の良心に従ったことのない評論家が言う。
「これからは個人の良心に従って社会で生きることが大切になるでしょう」
彼らは死の恐怖から解放された。彼らの自由は保証された。

   諸正義
    一人目
 私は博士だ。正義を愛している。ある日私は悪の組織の存在を知った。
 どうやら彼らは電波で人間だけを殺す機械を発明したようだ。そのその機械を使って世界の半分の人間を殺すつもりらしい。かなり人間を恨んでる連中に違いない。絶対に阻止してみせる。
 私は見事阻止した。殺してはいない。連中は警察に渡した。危機は去った。今日も世界は平和だ。
    二人目
 私は博士だ。正義を愛してもいないし嫌ってもいない。
 ある日私は悪の組織の存在を知った。その組織は世界の半分の人間を殺すつもりらしい。彼らは電波で人間だけを殺すことができる。
 今、人口は増えすぎている。彼らは非情だが、このままでは食糧難などの問題が起きてしまう。死んでしまう人々には申し訳ないが人類存続のためには仕方のないことだ。私にできる事は各分野の技術者にこの事を伝えて人類が減っても対応できるようにする事だ。
 テレビは犯罪や事故のニュースをやっている。
 世界はいつ平和になるのだろうか。
    三人目
 私は博士ではない。しかし技術はある。そんな私は俗に言う悪の組織にはいっている。
 私は正義が大嫌いだ。自分の正義を他人に押し付ける奴を見ると吐き気がする。だからそんな奴を見つけたら電波を飛ばして殺す人口衛星を作ってやった。これを使えば私はスカッとするに違いない。手元には起動スイッチがある。
 混沌の世界になるがいい。

この小説について

タイトル 詰め合わせ
初版 2017年4月20日
改訂 2017年4月20日
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