踊る大捜査線[青室青] - 殉情な告白を[青室青]

「室井さん、好きって言って下さい。」
「・・・職場だぞ馬鹿。」





-殉情な告白を- [如何なる運命でありしや?]





「室井しゃん、好きって言ってくらさいよぉう・・・。」

酒を一緒に飲んでいる時も。

「室井、さん・・・っ、好き、って、言って・・・?」

“コト”をしている最中も。

「好きって、言ってよ室井さー・・・」

寝ている時も。





「室井さん室井さん、好きって言っー・・・」
「煩いぞいい加減に」

少しイラッ、ときてその煩い口を塞いでやれば、「酷いよう」と押さえた青島の口が動いて訴える。

・・・今現在。

尚もねだられている、この青島の要望は、何回聞いたかわからない。耳にタコができるのではないか(断じて冗談ではない。)と言う程に聞いたのだ。

・・・ちなみに、青島のこのくどい要望に答えたことは、ない。

「んむっ、も、何で言ってくんないんすか」

禁煙室、2人きり。口を解放してやれば、不服そうに頬を膨らまして睨まれる。青島の表情は、何処か・・・まるで子供のようだと思うことがある。

「室井さん」

そうこう考える内に、青島の大きな手で自分の手は包まれており、・・・気づけば額が当たるのではないかと思う程に距離が縮められていた。

「俺はこんなに好きって言ってるじゃない」

飼い主に怒られた犬のように、しゅんとしては上目遣い。こちらの様子を伺っている。青島の尻尾(もちろんないのだが)がクゥン、と悲しげに下がる。(私にはそう見える。)

・・・計算高い奴だ、相変わらず。

「私は言わない」

厳しく吐き捨てる。すると、また酷いよう、愛がないよう、と嘆きながら青島が掴んだ手に力を込めた。

「うぅ・・・ダメ?」
「君が勝手に言ってればいい」

フン、と見捨てるように鼻をならす。

・・・何だ?

何故か青島がにやりと不適な笑みを浮かべる。
・・・嫌な予感。
長年の勘が伝えていた。そう思った時。

ぐらり。

突然手を引かれ、よろける。青島の胸にもたれるようになってしまった。

「あおっ・・・!」
「好きだよ」
「!」

体勢を戻そうとおこしかけた体は、青島に抱きこまれて願い虚しく敵わない。

「好き」
「っ、だから俺は!」
「好きだよ」
「なっ、」
「だーいすき」
「言わないって・・・!」
「愛してるよ室井さん」
「っ、」
「ずっとずっと、ね?」

“しまった”そう思うには時すでに遅し。青島が不適な笑みを浮かべた瞬間から、悲しいかな、こちらに主導権はなかった。

「室井さんが勝手に言ってればいいって言ったんすよ?」

耳元で低く囁く青島の声は、明らかに嘲り笑っている。

「・・・離せ。職場だ」
「誰も来ないっすよ。湾岸署、あんま煙草吸う人いないし。それに来たって・・・こんなとこ見たら。逃げちゃうでしょーし」

そういう問題じゃない。このアホ・・・、青島がクスクスと愉快そうに笑って告げる。

こうなったら何が何でも引き離す。

怒り(?)に青島の胸をドンっと一喝、叩いた。

「ぅっ、いって・・・」
「おい、離さないのか」

一発じゃ足りなかったか。情けない声は上がるも身は拘束されたまま・・・、むしろ逆効果。青島の腕の力が強まる。

ふと、青島の顔を見た。

悲しく寂しく、子供みたいにすねた表情。

「・・・」

さすがにその顔は反則だろう。仕方ない。ここは少し妥協してやるか。

「・・・どうしたら離してくれる」

答えは聞かなくても察しがついた。・・・が。

「・・・っ!い、いいんすか? じゃ、じゃあ!一回でいいんで、俺のこと下の名前で呼んで下さい!」
「・・・は」

予想外の答えに拍子抜け。今度は自分が間抜けな声で応答してしまった。

「一回でいいから」

「ダメかなぁ?」と遠慮がちに聞いてきては、コテン、と私の肩口に青島は顎を乗せる。ふぅ、と彼の吐いた一息が首を掠めてくすぐったい。

「下の名前・・・。」
「“俊作”です。え、まさか覚えてなかったとか・・・?・・・酷いっすよぉ」
「分かっていた。被害妄想するな」
「じゃあ呼んでくれますよね?」

すぅ、と少し身が離れると、至近距離目が合う形になる。どうやら逃がすつもりはさらさらないらしい。

・・・仕方がない。

はぁ、とわざと大きく息を吐き、目を閉じる。

・・・そしてゆっくりと、息を吸って目を開く。

「・・・俊作、」
「・・・はい。へへへ、」

へら、と頬を紅く染め、はにかむ青島を見て、真下署長の息子さんの笑顔を思い出す。(ようは青島が子供染みた笑顔だった。)たった1回名前を呼んだだけでこんなに嬉しそうにするなんて。

「ありがとうございます、へへ・・・、すんません、何か笑っちゃう」
「何か可笑しかったか」
「いえ、嬉しすぎただけ・・・っとと、約束の解放っ」

笑いながらパッ私の背中に回していた腕を離すと、満足げにしている。

同時に何だか申し訳ない気持ちが込み上げてきた。

「俊作」
「・・・え、」

その満足げな男の名前を二度呼ぶと赤いネクタイを引っ張って引き寄せる。
そして唇が当たりそうな距離で見つめると、



そっと、要望に答えてやる。



みるみるうちにネクタイと同じ、真っ赤に染まる青島。密かにほころんだ。

「・・・室井さん、ずる・・・」
「言ってほしかったんだろう」
「んな色っぽい声で囁かないで下さいよ」
「言っちゃダメだったか」
「うん。だからお仕置き」

チュウ、と吸い付くようなリップ音。
お仕置き・・・コイツは何か勘違いしているのではないか。うっすら目を開けて睨むと、青島が気づいて少し舌で唇を舐めると合わせた唇を離した。

「・・・盛るな」
「んな、殺生なこと言わないで下さいよ」

クスクスと笑う青島に、はぁ、と溜め息。呆れた。もう言ってやらない。











「室井さん室井さん」
「なんだ」

「殉情な告白ありがとうございました」

「すなおになった覚えはない」
「だから、純情・・・純粋の方じゃなくて、殉職の方の“殉情”。」
「・・・?」

「感情にゆだねた?」
「・・・」
「図星」
「・・・うるさい」
「プライド捨てての告白でしょ?」
「ある意味死んだ」
「・・・ふは、。それはそれは」
「・・・もう言わない」
「あぁ〜!それはダメっすよ!」

「そっちにひねないでぇ〜!」なんてまた青島がうるさい。

殉情な告白?

・・・ある意味、な。







        ーーー・・・了。

後書き

甘すぎですね…;;
大人なBLが書きたかったのに、
どうしてこうなった。
イチャイチャ・・・とは(?)、
んんっ、夫婦感丸出しですね。

この小説について

タイトル 殉情な告白を[青室青]
初版 2017年12月13日
改訂 2017年12月13日
小説ID 5002
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みずぬまの写真
駆け出し
作家名 ★みずぬま
作家ID 1099
投稿数 4
★の数 0
活動度 108
まだまだ未熟者ではありますが、たくさんの作品を執筆し、上達していきたいと思います。よろしくお願い致します。

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