夢とプリンとあんみつと(仮)第一話

 とある平日のこと。
 麻帆良学園中等部3年A組20番――長瀬楓はいつもより少し早く目が覚めた。
 せっかく早く起きたのだから、と楓は散歩にでることにした。
 すると部屋を出る前に、名前を呼ぶような声が聞こえてきた。
 しかし、風香殿の寝言でござろう、と彼女は思ったようで、あまり気にはとめずにさんぽに出た。


 外にでてみると、空気が清々しく小鳥たちのさえずりも聞こえてきた。
 少し歩を進めていると、教室でいつも目にする後姿を発見する。
「おや、ネギ坊主ではござらんか。おはようでござる」
 授業中によく見る姿――拙者がネギ坊主と呼ぶ担任のネギ先生だ。
「あ、楓さん、おはようございます。楓さんも朝のお散歩ですか?」
 そうでござるよ〜、と返し体を伸ばす。
「天気がいいと気持ちがいいですよね〜」
 ネギ坊主もそう言いながら伸びをする。
 お互い特に何かを話すわけでもなくのんびりと時間だけが過ぎていく。



 しばらくして、ネギ坊主が口を開いた。
「楓さん。そろそろこのかさんが朝食を作ってくれていると思うので、失礼しますね。また学校で〜」
 また〜でござる、と言い拙者も同じく寮に戻ることにしたのだった。





 一方そのころ、麻帆良学園中等部3年A組22番――鳴滝風香は砂吹雪の中にいた。
「な、なんで砂漠……?」
 辺りを見てもあるのは砂ばかり、砂漠に彼女は立っていたのだった。
「布団で寝てたはずなのになんで砂漠なのさ……」
 そこで風香はふとある考えに行き着いた。
「なるほど! これはきっと夢なんだ!」
 そう。じっくりと目を凝らして観察してみれば、いかにもどこかのアニメやマンガに出てきそうなサボテンが生えていたりするのだった。
「布団から砂漠に瞬間移動する〜、なんてのより夢だと思うほうが自然自然。だから、目を覚ませばまた布団の中……けど、どうやって目を覚ましたらいいもんかな?」
 風香はいろいろと思考を巡らせてみるが、打開策は浮かんでこないようであった。
「まぁ、夢なら朝になればさめるだろうから、あまり考えないでいっか。せっかく砂漠にいるんだしよく見ておこうっと」
 夢だと気づいてしまえばどうということでもないのだろうか、風香はずいぶんとプラス思考のようだ。
 

 風香は少しあたりを歩いてみることにした。ここが本当の砂漠であるならばいざ知らず、この場所は彼女の夢の中なのだから危険な要素などあるわけがない。
 

 あったとしても、それはすべて幻なのだから――
 




 風香は後ろから見ただけでは自分と髪形しか違わない双子のもう片方の姿を見つけた。
「あれ〜? 史伽じゃん〜。こんなところでなにしてるの〜?」
 いつも一緒にいる人物――妹の史伽があたりをきょろきょろと見回していた。
「なにしてるの〜? じゃないですよお姉ちゃん〜。どこにいってたですか〜!」
 どうやら史伽のほうは珍しく怒っているらしく、語気が荒い。
「何で怒ってるの? 史伽」
 風香のほうは急に怒られたこともあり頭の上に疑問符があるような顔をしている。
「お姉ちゃんこそなに言ってるですか。そろそろデス・ハイクが始まるですよ?」
 デス・ハイク――過去に風香がネギについた嘘の中のひとつ――嘘なのだから実在するわけがない、と風香は考えた。
 しかし、夢の世界だから何でもありなのだろうか? という考えに至った。
「……ちゃん! お姉ちゃん!」
「っと、ごめんごめん。ちょっと考え事してた」
 風香が思考を巡らせている間に史伽は話を進めていたらしく、またも語気が荒く言葉も早い。
「とにかく! もうデス・ハイクが始まるから早く行こうよ〜」
 史伽は一方的に会話を終わらせ、ずかずかと歩き始める。

 その瞬間風香の視界がグラリと歪んだ。








 う、うう……。
 誰かに呼ばれている気がする。
 毎日そばで聞いている声が。
 誰の声だっけ……。
 確か少し前にも聞いたような気がするのに――。




「……ちゃん! どうしたですか! お姉ちゃん!」
 誰の声かと思えば、史伽がボクを呼んでいるみたい。
「ん〜、あれ? 史伽? どうしたの、そんなに大声出して」
 ボクは目をこすりながら妹の史伽に問いかけた。
 すると史伽は心配そうにボクを見ながらこう言った。
「お姉ちゃんがすごくうなされてるみたいだったから、起こしたほうがいいかなと思って」
 あ、もしかして夢から覚めたのかな……?
 ボクは見慣れた部屋を確認したことで現実に戻ってきたことを認識した。
「怖い夢でも見たの? お姉ちゃん」
「え〜っとね、前にネギ坊主についた嘘と関係あると思うんだけど――」
 ボクは忘れつつある夢のことを少し話した。
「砂漠で……大変だったですね」
 史伽はボクの夢の話をときに面白そうに、ときに心配そうに聞いている。



 話に夢中で気がつかなかったけれど、そういえばかえで姉がいない。
「ところで史伽。かえで姉は?」
「かえで姉は散歩にでたみたいですよ〜。机の上にメモがありました〜」
 そういいながら史伽はそのメモを見せてくれた。
「ふむふむ… そっか。じゃあ、帰ってくるまで朝ごはんはお預けだね」
 そのときはボクは気づかなかった。ボクが見た夢が現実になるだなんてことは。



 授業も終わって放課後のこと。
 ボクと史伽はいつも通りさんぽ部の活動を行うことにした。
「史伽〜? 早く早く〜」
「お姉ちゃん早いですよ〜。待って〜」
 史伽は荷物の準備に少し手間取っていたみたい。
「史伽〜? まだ〜? ……お、これなんだろう」
 ボクは掲示板にビラみたいな紙が貼られているのをみつけた。
 そうだ! 史伽を待ってる間それを読んでることにした。
「……なになに〜? 『障害物もあるよ! なんでもありのさんぽ大会。麻帆良学園都市杯!』? 賞品は……!?」
 ボクはそのビラを見てすっごくびっくりしたんだ。だって、その賞品はかえで姉がすごく欲しがりそうだったからね。
「お姉ちゃん〜、なんです? そのチラシみたいなの〜」
「さんぽ大会だって。それで賞品がね――ゴニョゴニョ」
 ボクはひそひそ声で史伽にも教えてあげた。
「それは大変です〜! 早くかえで姉にも教えてあげなきゃ!」
「そうだね!」
 そんなわけで、ボクらはかえで姉を探すことにしたんだ。
 かえで姉がいそうなところといったらきっとあそこのはず……。




 場所は変わって。
 先ほどの双子が探しているかえで姉――長瀬楓は枝の上にいた。
 生徒達に世界樹と呼ばれている大樹の枝だ。
「やはりここは景色もいいし気持ちいいでござるな〜」
 そのお気に入りの場所である枝の上で彼女がのんびりしていると、大樹の根元のほうで声がする。
 どうやら彼女の担任教師のネギが呼んでいるらしい。
「こんにちは。楓さん」
「おや、ネギ坊主ではござらんか。こんにちはでござる」
「朝といい今といい奇遇ですね」
 ネギは微笑みながらの枝のほうを向く。
 ……ところで枝の上にいるのは『女生徒』である。 
 ネギは何かに気づいたようで慌てながら言う。
「あ、あの楓さん。隣に行ってもいいですか?」
 楓のほうはといえば何事もないようである。
「いいでござるよ〜」
 少しするとネギが楓の腰掛けているのいる枝まで登ってきた。
「や、やっぱり、こ、ここは景色がすばらしいですね……!」
 ネギは誤魔化そうとしているのか話題を変えようと必死のようだ。
「そうでござるな。ところでネギ坊主――」
 楓のほうはやっと気づいたのか、それともただ単に気にしていなかっただけなのだろうか。
 しかし、ついに核心をつく一言を発した。
「……ネギ坊主。拙者のスカートの中……見たでござるか?」
 そう、女生徒が普段はいているのはスカートだ。
 体育の授業があったわけではないので当然楓もスカートをはいていた。
「み、みみ見てませんよ〜!」
 ネギは顔を真っ赤にして慌てながら否定した。
「そんなこと言って〜。見たんでござろう?」
 対する楓は少しだけ意地悪そうな笑いを浮かべている。
「だから見てないですってば!」
 ネギは必死で弁解しているが顔は赤くなったり青くなったり。
「ふむ……。では、そういうことにしておくでござる」
 楓のほうは微笑を浮かべたままだ。
「楓さん。あんまりからかわないでくださいよう……」
 ネギは困りながら言った。
「あいあい。ちと悪ふざけが過ぎたでござるな」
 楓なりの冗談だったのだろうか。
 なにしろ楓は笑ったままだったのだから。


 
 そしてどのくらいの時間がたっただろうか。
 またも世界樹の根元のほうで楓を呼ぶ声がした。
 先ほど楓を探していた双子のようだ。
 双子はとても急いでいたらしく額に汗を浮かべている。
「かえで姉〜! ここにいるですか〜?」
「かえで姉〜? どこにいるんだよ〜」
 楓がここでござるよ〜、と手を振ると気づいたようで双子は世界樹を登り始めた。
 しばらくすると双子がネギたちが腰掛けている枝まで来た。
 すると、双子はすごい勢いで喋り始めた。
「かえで姉〜! すごく耳寄りな情報があるですよ〜!」
「そうそう! これはすごいよ!」
 対するネギと楓は顔を見合わせ固まっている。
 双子の話はまだまだ続く。
「それでね、どんな話なのかっていうと……今度さんぽ大会があるらしいんだ」
「確かに3人ともさんぽ部ですが、それのどこがすごく耳寄りな情報なんですか?」
 疑問を感じたネギはその疑問をちょうど喋っていた風香に伝えてみた。
「それはね、ネギ坊主。う〜ん……、教えてあげない」
 いひひひとイタズラな笑みを浮かべて風香はそういった。
「え〜!? ……僕にも教えてくださいよぉ〜」
 ネギはそういわれるとは予想していなかったようだ。
「ジョークジョーク。先にかえで姉に教えるけどいいよね?」
 ネギはこくりと頷いた。
 二人が小声で話していたためだろうか、楓のほうはまだ事態がつかめていないようだ。
「それで話を戻すんだけれど、かえで姉ちょっと耳をかして〜」
「む、わかったでござる」
 風香は楓のほうへと寄っていく。
「それでね。二位の賞品が……ゴニョゴニョ」
 風香の話を聞いた瞬間楓の目の色が変わりキラリと光る。
「そ、それは……まことでござるか?!」
 不自然なほどに体がカタカタと震えながら楓はそうたずねる。
「私も驚いたですけど、本当みたいですよ〜」
 それに史伽はやや驚きながら答えた。
「ならば……是が非でも参加せねばならぬでござるな」
 楓の後ろに炎が見えるような感覚がして、恐怖を覚えたネギはとりあえず内容を聞いてみることにした。
「あ、そうだったそうだった。ネギ坊主にも教えてあげなきゃね。実はさんぽ大会の賞品が――」
「なるほど。楓さんが目の色を変えた理由がわかりました」
 賞品の詳細にネギは納得したようすだった。
 しばらくするとカーンカーンと帰宅時間を告げる鐘が鳴り、帰宅を促す放送も入った。



 その日はその後特に何もなく終わったのだが……。
 数日後、教室での昼休みのこと。
 風香と史伽はいかにも怪しげな雰囲気で密談していた。
「お姉ちゃん、どうするですか? きっとあの人も出場してくるですよ」
「だいじょーぶだいじょーぶ。ボクに秘策あり!」
 風香があまりに自信満々だったので史伽は何も言えなくなってしまった。
「それで秘策っていうのは――」

後書き

投稿一作目です^^
まだまだ駆け出しなので下手です;;
ご指摘等いただけると非常に参考になりますゆえよろしくおねがいします。
あ、あまりにもカミソリすぎるとへこむレベルのヘタレなのでそこらへんヨロシクb(ぇ

この小説について

タイトル 夢とプリンとあんみつと(仮)第一話
初版 2006年7月22日
改訂 2006年8月3日
小説ID 817
閲覧数 1123
合計★ 3
Takeの写真
駆け出し
作家名 ★Take
作家ID 49
投稿数 1
★の数 3
活動度 369

コメント (2)

★ コメントのみ 2006年7月23日 14時19分47秒
久々の空の青色を楽しんでます。蒼です、こんにちわ。
ネギまの小説ですか。私は単行本で読んでいて内容は一応知ってます。
キャラクターの特性を掴んでいて、特に違和感なく書けてると思いますよ。

さんぽ大会の景品とは何なのか?
出場して来るという「あの人」とは一体誰のことなのか?
そして秘策とは?

次にどんな展開が待っているのか、期待してます。
★W.KOHICHI 2006年7月23日 23時13分37秒
まずは新たな第一歩を踏み出された事を祝福致します。

さーて、その中身は、

……いいですね。よくまとまっているし、程よく分からない部分を残して次回へと上手くつなげる事に成功しています。と、思いました。
経験がないと仰られていたので、不安な部分もありましたが、どうやら私の杞憂だったようです。

点数ですが、普通に面白かったので4点……と思いましたが、次回への期待も込めて、敢えて3点を差し上げます。
次回で完結させる必要は全くありません。まずは齟齬なくつなげる事を目指されると宜しいかと。
今後も期待しています、頑張って下さいね。



おまけ・支援ネタ
http://www.geocities.jp/mdjxtnwpat/NEGIma.html
私も閃きました。
名前 全角10文字以内
コメント 全角3000文字以内 書式タグは利用できません
[必須]

※このボタンを押すと確認画面へ進みます。