僕と寝ぼすけ男 - 僕と寝ぼすけ男

正直、怖い。
足だって震えるし、剣だって今にもすっぽ抜けそうだ。
だけど。
だけど、まだ僕は倒れるわけにはいけないんだ!











僕と寝ぼすけ男








暗雲が頭上に広がる。
雨はサヤの青髪を流れ、首筋を伝った。
ジリ、とコウタのブーツが雨に濡れた草を踏みにじる。


『ビビってんじゃねぇぞガキィ!!』
地面を勢いよく蹴る。
一瞬で間合いを詰め、少年の首を目掛けて剣を横に薙いだ。
しかし右手の細剣で受け、鞘を振り上げた。

「[烈天(レッテン)!]」
顎を打ち上げ、空いた胴を蹴り間合いを取った。
前足に重心をかけ、体制が崩れた相手との距離を詰める。

「[酒弁天(ササベンテン)]!」
右手を振り上げ、コウタの革鎧を掠めた。
手首を回して、刃の先を相手に向けるように持ち替える。
フォークでステーキを刺すようにコウタの肩に剣を振り下ろした!

『なぁんてなァ。本物も見極めきれないようじゃ俺には勝てないぜ』
声が聞こえた瞬間、サヤの前にいたコウタが「消えた」。
黒い残像が伸びていく。

そう、サヤが相手にしていたのは残像だったのだ。
「、   ・    そんな」


『終わりだ。     お前は良く頑張った』


赤剣が輝きを増した。
コウタの右手に握られた聖剣は真っ直ぐサヤの右肩から脇腹を切り裂いた。

鮮血が飛び散る。
青い髪に血が飛び、赤黒く固まっていく。








少年は死んだと思った。
視界は赤く、己の血で塗りつぶされたのだ。

「(………僕、死んだのか)」
コウタが剣に付いた血を払い、鞘に収めている。
想像はついた。彼は優しい彼じゃないのだ。自分の事なんか気にも留めないだろう。

『僕は、それでいいの?』
声がした。
何時の間にか周りは白く塗りつぶされていた。
目の前には微笑む[サヤ]。

「………君は?」
『僕はサヤ。サヤは僕』
訳がわからない、という顔でサヤは首をかしげた。
[サヤ]は微笑み、

『それより、君はこのままでいいの?』
傷が癒えていく。
少年の問いかけに、サヤは答えた。

「嫌だ、僕は、コウタを助けたい」
『…………どうして?』
間髪いれずに少年から問い掛けた。
「………」

答えられず、サヤは俯いた。
それを見た少年はサヤに歩み寄り、頬を撫でた。


『………そう。これが君の答えだね』
「え……?」
『この問いに答えなんてないよ。僕は君を試したんだ。    輝鳥レディアントを受け入れる心があるか』

少年の右手には輝く玉。
右手を差し出し、サヤの左手に置いた。

『君は僕を満足させられた。持っていって』


そうそう、と少年は忘れていたように言い出すと、




『僕はレディアント。 君の中にいつもいる』
『彼はジャネリオ。 君の助けたい彼の中にはそいつがいる』



白い世界は音も立てずに崩れていった。







水溜りに雨が落ち、波紋が広がる。
コウタの後ろから、ドガッ!! と光が爆発した。





黄金の羽が舞い散る。
背には大きな青い輪。輪の中心からは大きな6枚の翼が広がっている。
同色の青い髪は腰まで伸びて光を帯び、雨露を弾いていた。
今まで着込んでいた物とは違う、白を貴重とした足首まである長いクローク。
手には青く輝く聖剣を握っていた。


そして何よりも変わったのは、目。

無邪気な大きな瞳は真っ直ぐにコウタだけを捕らえて離さなかった。
サヤは鞘を握っていた左手を真っ直ぐ掲げ、口を開いた。









「コウタを離して          ジャネリオ」






左手は宙を踊り、さらさらと魔法陣を描いていく。
見慣れない魔法陣。サヤがいつも使うクロノス式魔術とは違う事はコウタにでも理解できた。
聖剣が光り、魔法陣を保護するように掲げられた。







「       [レディアント]       」













光は収束し、真っ直ぐにコウタを貫いた。











続く

後書き

続きです、はい。
畜生、結局魔法使わせちゃったよ(汗

この小説について

タイトル 僕と寝ぼすけ男
初版 2007年8月22日
改訂 2007年8月22日
小説ID 1630
閲覧数 1018
合計★ 3
霜柱 光の写真
ぬし
作家名 ★霜柱 光
作家ID 97
投稿数 45
★の数 80
活動度 5973
まったりファンタジー。
最近幽霊部員と化してましたが生きてます。

コメント (3)

★連理 コメントのみ 2007年8月22日 13時37分20秒
さっきはコメントどうもです。
霜柱さんは戦闘シーンが上手で羨ましいです。
自分は全然そういうの書けないので…。
★冬野 燕 コメントのみ 2007年8月23日 21時15分15秒
 ……ほぅ。思わずため息が出るほどの戦闘シーン。
 うーん、さすがです。

 ものっすごい久しぶりなのです。ツバメです。
 ジャネリオとレディアントの衝突。つ、続きが気になるっ。
 ところでクロノス式魔術とやらはどこから出てきたのかしら?
 ときどき細かな説明や単語の起点がないので「何、これ?」と思ってしまうのです。そこだけが残念です。
東城 春菜 2007年8月31日 16時50分41秒
元気が無くても、これは見に来ます!!

さぁ、続きが楽しみ♪
春菜もこんなくらい上手い小説を書きたいなぁ
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