アイとヒメ。 - アイとヒメ。第1話

雀の鳴く声で目を覚ます。
私__ヒメカはぐーっと伸びをするとベッドから起き上がった。
「あれ?此処は…何処?」
周りを見渡してみると、時計が見えた。
今は…朝7時23分。
他には焦げ茶色のクローゼットに、ベージュのテーブル、同じ色の椅子に大きな鏡。
最後に自分が寝ていたベッドを確認する。
真っ白のシーツにふわふわの掛け布団。
「…取り敢えず、外に出てみよ。」
まだ寝ていたい、という気持ちをどうにか捨てて立ち上がる。
クローゼットの前に立つと、戸惑いながらもその扉を開ける。
そこには淡い色調の服が沢山並んでいた。
その中から淡い紅色の七分袖のワンピースを取り出すと、自分の身体に当てて鏡を見る。
「サイズはぴったり、か。ちょっとお借りしまーす…。」
クローゼットに並ぶ洋服に向かって軽く頭を下げると着ていたネグリジェを脱ぎ始める。
ワンピースを頭から被り、袖を通す。
裸足のまま近くの扉に手を掛け、大きく深呼吸をしてからドアを引き開けた。
扉を開けた先には、元気そうな雰囲気の女の子がソファに腰掛けていた。
扉の開く音に気付いたのかその女の子はこちらを向いてにっこりと微笑んだ。
「あ、起きた?おはよーっ。」
「お、お早う御座います。」
いきなり話しかけられた事に少し驚きながらも挨拶を返す。
「あの…貴女は?」
女の子に近づき、戸惑いながら尋ねる。
「私はノゾミ。キミはヒメカちゃんだよね?あ、何で知ってるの?って顔してる。
それは…って、聞きたい事はいっぱいあるよね。順番に説明するから…その辺に座って?」
私は言おうとした言葉を飲み込むと、言われた通りにノゾミの反対側の椅子に座った。
「まず、私の名前はノゾミ。歳は15歳。此処は私の家だよ。
何故ヒメカちゃんが私の家に居るかって言うと、
森にキミが倒れてたから私が連れて帰ってきたからなんだ。で、其処に…これが。」
ノゾミはポケットから桃色のハンカチを取り出すと、テーブルの上に乗せた。
「ほら…ここ。HIMEKAって。」
ノゾミ指を指した場所を見ると【HIMEKA】と刺繍がしてあった。
「だからキミはヒメカって子なのかな…って。」
このハンカチは…私の物なのかな?全く覚えが無いけど…。
っていうか…森?何で森なんかに倒れて…?
黙ったままのヒメカを気遣う様にノゾミが「大丈夫?」と声をかける。
1つ疑問が解けたと思ったらまた疑問が…。
「有難う御座いました。本当に。それで、あの…。」
ぺこりと頭を下げてから、言いにくそうに話を続ける。
「良かったら、もう少しだけこの家に居ても…。」
「もっちろん!最近寂しかったから丁度良いよ!」
嬉しそうに言うノゾミに、ヒメカはもう一度頭を下げると、今日1番の顔で笑った。



「…ほ…うに無事…んで…か?」
「…い。後…目を…せば…」
誰かの話し声で目を覚ます。
此処は…何処だろう。
白い天井に白い壁紙。ベッドの横に小さなパイプ椅子。
話し声は仕切りのカーテンの向こうから聞こえる。
「…病院?」
下を見ながらぽつりと呟いた。
するとそれに反応した様に閉められた仕切りのカーテンが一気に開けられた。
「……愛花‼目を覚ましたのか⁉」
目に涙を浮かべて笑顔を見せる男性。
私はその男性を不思議そうに見ながら言った。
「あなたは…誰?」
その場にいた2人が凍りつき、男性の笑みが薄れていく。
男性は膝から崩れ落ち、泣いていた。
何故この人は泣いているの?私は誰なの?
その疑問を見透かした様に隣の白衣の男が優しく言った。
「君は日奈森愛花、っていう名前の女の子だ。この人は日奈森和也さん。君のお父さん。
__覚えていないのかい?」
私は男が《お父さん》と呼んだ男性を一瞥してから、コクリと頷いた。
日奈森…愛花。何の覚えも無いし、思い出せない。
思い出そうとすると…頭痛がする。
「愛花ちゃん。7×6は分かるかい?」
「…42。」
「この文章が読めるかい?」
男は持っていたメモ用紙に【〆宿有郷里1撚茵曚判颪、愛花に見せた。
「すなはま、きょうり、えいが。」
唐突な質問に素直に答えると、男は満足した様に頷いた。
「よし、愛花ちゃん。少し…休んでいて。」
笑顔で男は言うと、隣の男性を連れて部屋を出て行った。
そして、静かに瞼を閉じた。
誰も居ない位に静かな部屋に、7時23分を指す時計の秒針の音が響いた。

《続く》









後書き

初めて書く小説なので、下手かもしれませんが、
読んで貰えると嬉しいです。。

この小説について

タイトル アイとヒメ。第1話
初版 2017年3月13日
改訂 2017年3月13日
小説ID 4898
閲覧数 35
合計★ 3
紅葵の写真
駆け出し
作家名 ★紅葵
作家ID 1077
投稿数 3
★の数 3
活動度 304
最初は下手ですが、段々と上手に書ける様になれば良いな、と
思いながら書いています。読んで貰えると嬉しいです‼

コメント (2)

弓射り 2017年3月15日 15時59分43秒
頭のなかでアニメのようにきちんとキャラを動かしているのが伝わってきます。
焦げ茶のクローゼット、ベージュのテーブル、淡い紅色のワンピースなど色彩の描写が盛り込まれているのもイメージが膨らみます。
今のところ、着眼点は色だけですが、たとえばそれが使い込まれた古い感じなのか、IKEAで買ったばかりでニスの匂いがするような新品なのか、ワンピースはヒメカの趣味的にどうなのか、とか視点が増えると描写の密度が増すでしょう。全部にやってしまうとクドくなりますが^^;

物語の冒頭はとても世界観の導入が難しいです。僕は、スタンダードな描写の割に展開が急ぎ足のような気がしました。後半のほうが自然な感じがします。
>>私__ヒメカはぐーっと伸びをするとベッドから起き上がった。
とか
>>「…取り敢えず、外に出てみよ。」
は、気持ちはわかるのですが、不自然な文(セリフ)だなぁと思ってしまいます。このへんを自然、かつスタイリッシュに、個性的にするためにほとんどの作家は苦心していると思います。安易に書いた訳ではないと察しますが、二話からでも冒頭は気をつけるべきでしょう。
ご自身が下手とおっしゃっていますが、このような点でボロを出さなければ、むしろ上手な文章だと思いますし、上手い下手が気にならなくなれば、面白いか面白くないかで勝負が出来るはず。僕は面白くなる気配を感じています。楽しみにしております。
紅葵 コメントのみ 2017年3月15日 17時23分53秒
弓射り様
コメント有難う御座います‼しかも細かいアドバイスまで…‼
弓射り様のアドバイスを参考に2話も書きたいと思います(*^^*)
(((アドバイスを上手く表現(?)出来るか心配ですが…… 泣
今後とも宜しくお願い致しますmm
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