月読島の月隠し - 二夜目 【上陸】

深夜
「いーやっほーい!」
「うるせえ」 「うるさいです」
「えー!?なんでなんでー?念願のあの、民話の舞台に到着…いえ、上陸したのよ?なのになんつーテンションなの?理由を三百字以内で述べよ!」
「どうして俺達は、あの話の後すぐさまどこ行きかも分からんフェリーに押し込まれてどこかも分からん島にいるんだ?説明してくれ」

俺がツラツラとアイカに不満やら何やらを三百字以内におさめて述べたところ、奴はこういい放った。

「だって、いわくつきの島よ?夏休みなのよ?行くっきゃないでしょ?」
「この際夏休みなのは置いといて金はどうしたよ」
「・・・確かに僕らのサークルにそんな余裕は…」
「え?教授に可愛く媚びてあげたらくれたけど。金払いいいのよね、あの人」

それは軽く犯罪ではと思ったが、女子大生に媚びられてそんな大金をみすみす渡した教授も教授なのでもうその辺は諦めるしかないだろう。
に、してもだ。

「お前さ、ここの宿とかちゃんととってんのか?」
「え?してないけど」
「お前なぁ、一応観光フェリーあるくらいなら島のHMPあったろうに…」
「あ、今から僕がサクッと探してみますね」
「おー悪いな草間」

と、俺は草間がメジャーバッグから取り出した薄型端末を覗きこむ。
早速、草間は慣れた手つきで、
『月読島 宿 予約』
と検索エンジンに単語を丸投げした。
大抵、すぐ帰ってくる結果は俺達の予想斜め上を低空飛行した。

『現在その情報はサービスによりアクセス不可、又は削除されています』

「・・・?・・・っあれおっかしいな?もう一度…」

しかしまたもや結果は同じだった。
おい、何だか妙な事になってきたぞ。

「「なにしてんのー」」

「え?」

聞き慣れない声に顔をあげると、容姿のよく似た少女と少年が立っていた。双子だろうか。なんにせよ、島民との初セッションだ。
早速愛想よく(俺らには胡散臭く映る)笑顔でアイカが接触を試みた。

「ねぇねぇ!君達、行きずりのお姉さん達にちと、協力してくれないかい?」

案の定、双子(?)は顔を見合わせてヒソヒソやっている。

『どう思うアイト』
『やめようよ僕は帰るよ、リーダーにも知らない人とは関わるなって言われてるでしょ』
『それもそうだね、あんな胡散臭い女ともやしっ子と通行人Aみたいなの放っとこうか、勝手に死ぬだろうし』

おい、全部聞こえてるからな。最後らへん悪口だろおい。前半は共感するけど。てか、最後の一言めっさ不穏なんですけど。
そこにアイカがズイズイ割り込む。待つのに飽きたそうです。

「やぁ!話はまとまったかい?」
「え、えーと」

完全に視線逸らしたがってんな。あと、アイカ顔近い。

「(どういう訳なんだか)そういう訳で僕達帰ります!」
とかなんとか全身からこれ以上関わるなオーラ前回でアイカから離れようとした双子に更なる追い打ちがかかる。
あ、露骨に嫌な顔した。

「・・・なんでしょうか」

少女が嫌々話を聞いてくれる。ごめんな?お兄さん後で叱っとくから。

「君達の家に泊まらせてくれ!もしくは宿を教えてくれ!」

「は?」「えっ?」
「ちょ!?」 「アイカさん!?」

四人同時に間抜けた声が出る。

「いやいや!お前厚かましいにも程があんだろ、普通提示順逆だろアホか!」
「えー効率いいよねぇ?」
「効率関係ねぇ!」

誰かこのバカを何とかしてください。
すると、同情めいた声で二人の内、少年の方が囁く。

『あなた方っていっつもこれが平常運転なんですか…?』
「ああ」

俺はできるだけ端的に返した。おい、そんな目で見るな。やめろ。

『ふぁいなるあんさー・・・?』
「ファイナルァサーだよ」

少年は何か考え込んで一言。

『…お疲れ様です』

今はお疲れ様ですよりも優しい言葉が欲しいです。あー本土に帰りたいよー。あ、ヤバイ泣きそう。
その直後俺の耳には奇跡かと思える提案が転がりこむ。確かに俺達の目を見て、少女が言ったのだ。

「・・・泊めてあげましょうか?」

数秒遅れて聞き返す。夢じゃないだろうな。

「・・・マジで?」

「ライトがいいって言ったらね…」


やっとこさ俺達に希望が見えてきました。ありがとう神様。

この小説について

タイトル 二夜目 【上陸】
初版 2017年10月1日
改訂 2017年10月1日
小説ID 4977
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